めんどくせぇことばかり 『「永遠の0」と日本人』 小川榮太郎
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『「永遠の0」と日本人』 小川榮太郎

すごい本。たった二六〇ページ余りの本なのに、三本の映画をもとに“戦後日本”のかかえる問題を的確に指摘し、そのあるべき方向性を示している。取り上げられている映画は『永遠の0』、『風立ちぬ』、『終戦のエンペラー』。三本の映画の成り立ち、製作者の背景等を題材に大東亜戦争、占領期の徹底した言論統制、その後の病的なまでの自己検閲について語ることで、日本人の多くがいまだ呪縛の中にあることを指摘している点がすごい。

『「永遠の0」と日本人』 小川榮太郎『「永遠の0」と日本人』 小川榮太郎
(2013/12/12)
小川 榮太郎

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外から与えられた平和の上に安穏と空疎な人生を重ねてきた日本人に覚醒を促す
第一章  戦争は単なる悪なのか・・・映画『永遠の0』が照らし出す亀裂
第二章  「戦後日本」の美しき神話・・・映画『風立ちぬ』のアンビバレント
第三章  偽りと不信の日米関係・・・縮図としての映画『終戦のエンペラー』
第四章  「戦後」からの決別・・・小説『永遠の0』の奇跡
第五章  特別攻撃隊とはなんだったのか

偉そうだけど、著者同様、私も思う。『永遠の0』は、江藤淳が言うところの“閉ざされた言語空間”を打ち破る重大な一手になると。しかし、局面はまだ序盤。問題は、あとがどう続くか。この本の中では、『風立ちぬ』、『終戦のエンペラー』のに作品が厳しい批判を加えられている。それでも、著者が言うとおり、大東亜戦争が題材として取り上げられること自体が、極めて重要だと思う。取り上げた以上、それについて深く考えることは、本来関わった者の義務だ。
『風の谷のナウシカ』という緊張溢れる倫理的な神話に始まった宮崎映画が、自らの心理的葛藤と歴史を隠蔽する傑作『風立ちぬ』という美しくも逃避的な終章でその環を閉じてしまっていいものかどうか。作品が美に打ち震えながら、作者その人を糾問している、私にはそう見える。・・・
これは、宮崎駿監督の『風立ちぬ』を取り上げた第二章の最後に語られる著者の言葉である。“零戦”を取り上げた以上、宮崎監督は“零戦”から逃げてはならないし、おそらく立ち向かうことになるだろう。もう一度著者の言葉をお借りする。
おそらくこれから、日が経つにつれ、美しい恋の物語によって隠してしまったものへの焦燥に駆られ、この物語に、本当の結着を・・・人生そのものでか、映画への再挑戦でかは知らないが・・・つけざるを得なくなるのではないか。

『「永遠の0」と日本人』という本書の題名だけど、果たしてどうだったろうか。たしかに本書には、映画や原作共々『永遠の0』の内容が豊富に使われている。その意味で、『永遠の0』に敬意を表する意味もあったのだろうけど、本書には、『永遠の0』から離れた本書なりの意味と、十分な価値がある。事実、私はこの本を読みそびれるところだった。『永遠の0』の大ヒットにあやかった便乗本だと思ったからだ。便乗本でもいいんだけど、他に読みたい本を優先せずこの本を読んだのは、単なる偶然だ。次に読む予定だった西尾幹二さんの『同盟国アメリカに日本の戦争の意義を説く時が来た』という題名が、ちょっとベタついて感じられたので、先にこの本を読んだ。後回し、後回しにして、そのうち読まずに終わる可能性も十分あった。この本を読まずにいた可能性を考えると、・・・ううっ。

そうそう、『永遠の0』は四五〇万部とか。いやいや、たったの四五〇万部だ。まだ読んでない人がいたら、あなたの人生は大きなチャンスを見落としていることになるかも・・・。


    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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