北はナチスやクメール・ルージュに匹敵?
朝鮮日報 2014/03/18
「北の反人道犯罪はナチスやクメール・ルージュに匹敵」
国連の北朝鮮人権調査委員会のカービー委員長は17日、スイスのジュネーブで開催された国連人権理事会で、北朝鮮政権による「反人道犯罪」を、ドイツのナチス政権やカンボジアで170万人の国民を虐殺したクメール・ルージュ政権と比較し「北朝鮮で行われている組織的かつ広範囲な反人道犯罪について、これ以上傍観あるいは放置してはならない」と主張した。
カービー委員長は北朝鮮の最高責任者を国際刑事裁判所(ICC)に起訴すべきとも訴えた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/18/2014031801007.html
理事会では北朝鮮による“日本人拉致問題”も取り上げられ、被害者家族会会長が発言する機会があり、北朝鮮代表が退場するという一幕もあったらしい。
“日本人拉致問題”を国際社会にアピールできたことは喜ばしいが、不思議に感じたのはこの記事に付された題名である。特に“ナチスやクメール・ルージュに匹敵”の部分。どうしてナチスからクメール・ルージュに飛ぶのか。クメール・ルージュは言うまでもなくカンボジア共産党。クメール・ルージュというフランス風の呼び名にフランス領インドシナ時代の残滓がある。
この組織は一九七六年代にポル・ポトを首相としてカンボジアを支配し、七九年の支配崩壊までの短期間に、虐殺と餓死で二百万のカンボジア国民を死に至らしめた。批判されるにふさわしいが、・・・。
クメール・ルージュを取り上げるなら、なぜ毛沢東の名前が上がらないのか。ポル・ポトは毛沢東思想の信奉者で、無知な農民を組織して“恐怖”によってカンボジアを支配した。権力を維持するために知識人を毛嫌いし、彼らが大量虐殺の対象となった。まるで毛沢東時代の支那で起こったことが、箱庭のようなカンボジアで繰り返された。毛沢東のために、真っ当な死を迎えられなかった人は、毛沢東の支配期間を合わせれば、・・千万人。
ポル・ポトが子分で、毛沢東が親分だ。どうして子分だけ取り上げて親分のケタ違いのの悪行を隠すんだろうか。
人権理事会とは国際連合の補助機関で、1946年に組織された人権委員会を前身とし、2006年に人権理事会に改組されている。理由としては、冷戦終了後、人権の普遍性を強調する西側先進諸国に対し、集団的権利や経済的権利を重視する一部途上国の対立という構造が、人権委員会において顕わになったとされる点である。また、人権機構の業務が拡大する中、人権委員会は当初の目的を達成できなくなっており、理事会の設置が決議された。
この決議にアメリカは反対票を投じている。理由はアメリカの希望するだけの強い力が理事会に与えられていなかったからである。アメリカは理事会への以降の際、運用過程で理事会の強化を表明している。
“Human Rights”で人権。「権利」と訳される“Rights”は、同時に「正義」であって、それが行われるようにするのが“Manifest Destiny”、つまり「明白なる使命」。神による「使命」を果たすために人権理事会には強い力が必要なんだけど、っていうのがアメリカの立場なんだろうけど。
ちなみに日本は、「慰安婦問題について国連のメカニズムの勧告に真摯に対応すること等」とか、「在日コリアンに対するあらゆる形態の差別を撤廃する対策を講じることなど」といった理不尽な韓国を受けている。
でも、いかなる取り決めを行おうが、いかなる組織をつくろうが、その運用を支配するのは“力”である。冷戦後、突出した“力”を示したのはアメリカであった。もともとアメリカは、他国への干渉に頓着なんかない。やばいことを抱えた国の防衛策としては、その組織の主要メンバーとなることで自分の国のやばい問題に目が向かないようにする方法もある。
産経ニュース 2013.11.13
中国、サウジ、キューバ…「人権侵害国家」相次ぎ当選 人権理事会選挙
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131113/erp13111322130006-n1.htm
北朝鮮人権調査委員会のカービー委員長が述べた「北の反人道犯罪はナチスやクメール・ルージュに匹敵」という言葉。世界の人権弾圧を監視する人権理事会理事国である支那を気遣ったものか、あるいはクメール・ルージュを避難することで背景にある毛沢東思想、ひいては支那の人権侵害を連想させようとしたのか。


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