めんどくせぇことばかり 『歴史の読み解き方』 磯田道史
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『歴史の読み解き方』 磯田道史

『武家の家計簿』とか『無私の日本人』とかの著者の書いた。著者の作品の中で私が読んだのはこの二作だけなんだけど、史実がしっかり調べられていて、とっても丁寧に書かれているという印象が残っていた。その著者の“歴史の読み解き方”っていったいどんなものなんだろう、という興味から読んでみた。

『歴史の読み解き方』 磯田道史『歴史の読み解き方』 磯田道史
(2013/11/13)
磯田道史

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 江戸期日本の危機管理に学ぶ
読んでみたら、やっぱり“丁寧”という言葉がふさわしいと感じた。しっかり資料にあたる。ごく一般化している話であってもしっかり事実にあたり、俗説を真実と取り違えない気配り。この間、(覚書)として残したけど、江戸期の日本人の識字率の話なんてまさしくそう。私なんか一般に流布する“ヨーロッパを超える識字率”っていう具体性に欠ける話をそのまま受け入れていた。そういう一面もあるけど、決して“正しい”とは言えない。そういうことをしっかり説明してくれていた。

*  江戸の武士生活から考える
*  甲賀忍者の真実
*  江戸の治安文化
*  長州という熱源
*  幕末薩摩の「郷中教育」に学ぶ
*  歴史に学ぶ地震と津波
*  司馬文学を解剖する

真骨頂は“歴史に学ぶ地震と津波”。その冒頭にこう書かれている。
自分は古文書探しの名人です。職人気質だから腕自慢をしますが、古文書がどこにあるか素早く見つけ出せる。正確に解読できる。それにかけては、私は日本最高水準の「古文書スーパーコンピュータ」(笑)です。

あの日、地震に揺られながら「ああ、これで世の中は変わる」と思い、同時に「歴史学はこれまで地震や津波の研究をあまりしてこなかったから、自分がやらなくてはいけない」と思いました。地震津波の古文書を探すのは私が一番の適任ですから。
ってなことで、誘いを機会に静岡文化芸術大学准教授を引き受け、いちばん危ない浜松に移住したんだそうだ。それにしても、過去の日本人は、いろいろな形で後世へのシグナルを送ってくれていたんだな。今回は、受け取る側に、少し油断があったかな。

愛知県田原という港町には金五郎さんと言う人の日記が残っていて、宝永地震の様子を伝えてくれているんだそうだ。その中に『今年東国の大地震は、来年西国の大地震となるものにて候こと古書に之有り候間、各々油断致さるるな』と書かれているという。

な~んと、油断まで見抜かれてしまったか。3・11のメッセージは、後世に向けて様々に発信されていくだろう。でも、どんだけやっても受け取る側に問題があれば仕方がない。・・・ま、後世の日本人はわれわれほど間抜けではないだろう。あれから三年、みなさん、くれぐれも
“油断致さるるな”

大胆な推理による飛躍と史実にあたっての実証。演繹と帰納を織り交ぜて進歩するのは歴史もおんなじ。著者の磯田道史さんは“史実にあたっての実証”が勝った人だけど、今後も丁寧な歴史の掘り起こしに期待したい。


    

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No title

こんにちは。
これは是非読みたい!
「古文書解読の腕自慢」これだけで読みたくなりました。
も~イーグルスさんの書評が良過ぎて紹介されてる本を次々買ってしまってますよ~ヘソクリ苦しいですよ~(笑)

紺屋の鼠 さま

いつもコメントありがとうございます。

昔、埼玉県深谷市の初荷を扱う骨董屋「てるてる坊」で、みかん箱一箱分の古文書(大半が借金証文)を一山1,000円で買ってきて読む練習をしたことがあったけど、身につかなかったなあ。
あれ、どうしたっけなあ。
焚きつけに使っちゃったかなあ。

ありがとうございました



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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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