めんどくせぇことばかり 『日本人の背中』 井形慶子
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『日本人の背中』 井形慶子

この間、この本について書いた時、2008年初版であるだけにズレがあると述べた。2008年初版であるだけに生まれたズレといえば、もう一つ、“グローバル化”に関するズレもあった。もちろん2008年であれば、グローバル化はじわじわと進行しつつあった。それが日本社会の様々な方面に影響を生み出しつつあった。

それでも本書に書かれた著者の危惧を読むと、どうにも悠長に聞える。やはりTPPに参加するかどうかという議論が始まった2010年、参加を前提に交渉に参加した2013年の論調に比べると、危機感が違う。

どうも新聞読んでもニュース番組見ても納得いかない。豚肉の関税だの、自動車の関税だの、数字が幾つになろうが、日本政府は日米安保のもとに国民の生命財産を守らなければならない。安全保障にとって経済力は決定的要因だし、食料自給率も同様だ。

ちょっと先走りすぎたけど、この本の著者は、日本人の行動、日本の行動を判断する上で、政治的背景、歴史的背景に対する配慮が足りない。そう思ったいくつかの点を取り上げてみる。
『日本人の背中』 井形慶子『日本人の背中』 井形慶子
(2010/10/20)
井形 慶子

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欧米人はどこに惹かれ,何に驚くのか
かつて福沢諭吉は脱亜入欧論で、日本はアジアを脱して欧米列強と横並びになるべきだとし、日本の発展プロセスはヨーロッパとよく似ていることから、日本は極東のアジアではなく、極西に位置する欧米の国だと主張しました。そういう国はアジアでは日本だけ。日本が朝鮮や中国を支配するのは、イギリスがインドを支配し、フランスがベトナムを支配するのと同じ、避けられない運命だと唱えたのです。

今、振り返ってみると、この論法はかなり乱暴ですが・・・

困ったなぁ。乱暴なのは著者の取り上げ方なんだけどなぁ。・・・ね。かなり特殊な事情の中で主張された「脱亜論」を、著者は自分の都合に合わせて英仏のアジア植民地支配と同列に扱ってます。さらに、以下のように続く。
民主化が抑圧されているミャンマー、11億人のうち3億人が貧困層と言われるインドなどアジアの国を見回すと、日本も戦後マッカーサーやGHQによる民主化政策や非軍事化がなされなければ、「貧困」「権力」「差別」などいまだに難問を解決しきれずに、これほど欧米に近づくことはできなかったと思うのです。

このあたりを読むと、著者は『負けて良かった』論者 のもよう。ミャンマーの歴史的背景も、インドの歴史的背景も無視。その割には沖縄戦に関する教科書の記述が不十分と怒りの声を上げている。その辺も詳しく紹介しようかと思ったんだけど、もうやめた。


日本の、日本人の誇るべき点、日本人的特性ゆえに損をしている点、少し考え方を変えれば大きな力を発揮できる点など、読むべき価値を感じるところはたくさんあるんだけど、日本や世界の近現代史の捉え方が甘いというか、決定的に間違っている。学校で、先生から間違って教えられて、そのまま社会に出たてのお兄ちゃん、お姉ちゃんじゃあるまいし・・・。すみません、言葉が過ぎました。

各所に面白い日本人に対する分析がありながら、最終第5章『これからどうなる日本人』が、てんでつまらない。あの時代を「マッカーサーのお陰です」なんて切り捨てているから日本人を歴史的つながりの中で捕らえられていない。だから将来の、独自の日本人像を構築できないんでしょう。


    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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