めんどくせぇことばかり 聖アンナと聖母子(覚書)『怖い絵 3』 中野京子
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聖アンナと聖母子(覚書)『怖い絵 3』 中野京子

絵は―もちろんどんな芸術も同じですが―歴史と無関係ではありえません。その時代特有の常識や嗜好のもと、地域ごとの文化の影響を色濃く受け、注文主の思惑や画家の力量に従って生まれています。

ですから現代の目ではなく、その絵が生まれた時代の眼で見たとき、どう映るだろう、と想像するだけでも、絵画鑑賞はずいぶんわくわくするだろうと思います。悪魔や天使の存在がリアルに信じられていた頃の宗教画は、今の私たちが考える以上の迫力を与えたに違いないし、テレビも映画もなかった時代には、一枚の絵がまさに映画そのものだったはずです。豊かな物語をはらみ、画中の人物は生き生きと動いて見えたことでしょう。

歴史を知れば絵はもっと魅力を増し、また絵によって歴史への関心がかきたてられるでしょう。
と、本書のあとがきにあります。ごく当たり前ですね。さらに歴史そのものも、その時代の中に入って考えていかなければ、血の通った人間の物語は見えてこない。
『怖い絵 3』 中野京子『怖い絵 3』 中野京子
(2009/05/28)
中野 京子

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知的でスリリングな美術エッセイ

レオナルド・ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』

モナ・リザを思わせる微笑を浮かべるアンナとマリア。さらにイエスを加えて、祖母・母・子の三世代が描かれるこの絵。母マリアは祖母アンナの膝の上という不自然な構図。祖母から母、母から子へと命が受け継がれる様を描いたという。

ちょっとわからないけど、アンナの足元に胎盤が描かれているという。ダ・ヴィンチは、女こそが命を受け継いでいくことを強調しようとしたという。

幼児のイエスが捕まえているのは生贄にされる犠牲の子羊。母マリアは、将来の受難から我が子を遠ざけようとしている。

聖アンナと聖母子
聖アンナと聖母子さて、この絵の不自然な構図だけど、本書に教えられた。ダ・ヴィンチは、マリアのまとう青いマントをこの形に書くために、あえてこの構図にしたのだという。マントによって表現されているのはハゲワシだという。ハゲワシのメスは風によって孕み交尾せずに卵を産むとされ、その意味ではマリアのシンボルとなりうる。
さらに、ダ・ヴィンチの手稿に「幼児の頃一人で寝ているとハゲワシが飛んできた。ハゲワシは私の上に座り、尾で何度も私の口を突いた」と書いている。フロイトはこれを、ダ・ヴィンチの性体験と考えた。

アンナとマリアは、ダ・ヴィンチの養母と実母であり、同居していたおじから受けたイタズラが、彼に子の絵を書かせたというのがフロイトの分析だという。
作品1  ボッティチェリ 『ヴィーナスの誕生』作品2  レーピン 『皇女ソフィア』
作品3  伝レーニ 『ベアトリーチェ・チェンチ』作品4  ヨルダーンス 『豆の王様』
作品5  ルーベンス 『メドゥーサの首』作品6  シーレ 『死と乙女』
作品7  伝ブリューゲル 『イカルスの墜落』作品8  ベラスケス 『フェリペ・プロスペロ王子』
作品9  ミケランジェロ 『聖家族』作品10  ドラクロア 『怒れるメディア』
作品11  ゴヤ 『マドリッド、1808年5月3日』作品12  レッドグレイヴ 『かわいそうな先生』
作品13  レオナルド・ダ・ヴィンチ 『聖アンナと聖母子』作品14  フーケ 『ムーランの聖母子』
作品15  ベックリン 『ケンタウロスの闘い』作品16  ホガース 『ジン横丁』
作品17  ゲイズバラ 『アンドリューズ夫妻』作品18  アミゴーニ 『ファリネッリと友人たち』
作品19  アンソール 『仮面にかこまれた自画像』作品20  フュースリ 『夢魔』


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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