『さらばスペインの日日』 逢坂剛
何かに急き立てられるようにして読んで・・・、おっ、終わってしまった。読み終わってしまった。・・・どうしよう・・・
主人公の北都昭平は、陸軍参謀本部付情報将校、つまりスパイ。直属の上司、参謀本部総務部長の神山正興少将から受けた密命は、中立国スペインで米英の大使館員や情報員と非公式に接触し、できるかぎり早期に和平交渉を行うための緒をつかめというものだった。
主人公の北都昭平。スペイン内戦の中、共和派の地下活動に従事するペネロペ・サルトリオ。イギリス秘密情報部MI6に属するが、敵国のスパイ北都との恋に落ちるヴァジニア・クレイトン。これら架空の人物が第二次世界大戦という時代のうねりに翻弄されていく姿が描かれた物語。
脇を固めるのがこの時代を生きた実在の人物たちだからこそ、北都やペネロペ、ヴァジニアら、歴史に名を留めるわけではない者たちの必死の生き様が輝く。駐スペイン日本大使須磨弥吉郎、駐ドイツ特命全権大使大島浩、キム・フィルビーは20世紀最大のスパイと呼ばれる人物。アプヴェア長官のヴィルヘルム・フランツ・カナリス提督は反ヒトラー運動を貫いた真の愛国者であったという。
著者がこのシリーズを書いたのは、太平洋戦争を描いた小説は多いが、この時期にヨーロッパで生きた日本人を扱った小説がなかったからだそうだ。スペインやポルトガル、スウェーデンなどの中立国では、積極的かつ効果的に情報活動を展開できたという。外交官、武官らの公務員のみならず、新聞特派員、商社マン、銀行マンといった民間人も戦争遂行のための情報活動に巻き込まれていたそうだ。
そういった、今まで書かれなかった、戦争のもう一つの側面に光を当てた物語になった。なによりも面白かった。直前の第6巻『暗殺者の森』が出されたのが2010年9月、最終巻『さらばスペインの日日』が出たのが2013年11月、3年間も待たされた。第1巻の『イベリアの雷鳴』から数えれば14年。作者の書き初めからは16年だそうだ。
50代も半ばに入り、つくづく思う。このイベリ・シリーズのようなおもしろい物語を、あといくつ読めるだろう。それ以上に気になるのは、シリーズ物の最後を読まずに死にたくないということ。あるいは、シリーズ物の最後を書かずに作者に死なれちゃ困るということ。んん~、どちらもそうそう、うまくはいかないか。
イベリア・シリーズ最終巻を読み終わってしまった。ああ、・・・もっとゆっくり読めばよかった。












一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
![]() | 『さらばスペインの日日』 逢坂剛 (2013/11/22) 逢坂 剛 商品詳細を見る イベリア・シリーズ・・・16年目にして最終巻 |
主人公の北都昭平は、陸軍参謀本部付情報将校、つまりスパイ。直属の上司、参謀本部総務部長の神山正興少将から受けた密命は、中立国スペインで米英の大使館員や情報員と非公式に接触し、できるかぎり早期に和平交渉を行うための緒をつかめというものだった。
主人公の北都昭平。スペイン内戦の中、共和派の地下活動に従事するペネロペ・サルトリオ。イギリス秘密情報部MI6に属するが、敵国のスパイ北都との恋に落ちるヴァジニア・クレイトン。これら架空の人物が第二次世界大戦という時代のうねりに翻弄されていく姿が描かれた物語。
脇を固めるのがこの時代を生きた実在の人物たちだからこそ、北都やペネロペ、ヴァジニアら、歴史に名を留めるわけではない者たちの必死の生き様が輝く。駐スペイン日本大使須磨弥吉郎、駐ドイツ特命全権大使大島浩、キム・フィルビーは20世紀最大のスパイと呼ばれる人物。アプヴェア長官のヴィルヘルム・フランツ・カナリス提督は反ヒトラー運動を貫いた真の愛国者であったという。
著者がこのシリーズを書いたのは、太平洋戦争を描いた小説は多いが、この時期にヨーロッパで生きた日本人を扱った小説がなかったからだそうだ。スペインやポルトガル、スウェーデンなどの中立国では、積極的かつ効果的に情報活動を展開できたという。外交官、武官らの公務員のみならず、新聞特派員、商社マン、銀行マンといった民間人も戦争遂行のための情報活動に巻き込まれていたそうだ。
そういった、今まで書かれなかった、戦争のもう一つの側面に光を当てた物語になった。なによりも面白かった。直前の第6巻『暗殺者の森』が出されたのが2010年9月、最終巻『さらばスペインの日日』が出たのが2013年11月、3年間も待たされた。第1巻の『イベリアの雷鳴』から数えれば14年。作者の書き初めからは16年だそうだ。
50代も半ばに入り、つくづく思う。このイベリ・シリーズのようなおもしろい物語を、あといくつ読めるだろう。それ以上に気になるのは、シリーズ物の最後を読まずに死にたくないということ。あるいは、シリーズ物の最後を書かずに作者に死なれちゃ困るということ。んん~、どちらもそうそう、うまくはいかないか。
イベリア・シリーズ最終巻を読み終わってしまった。ああ、・・・もっとゆっくり読めばよかった。


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