タイ クーデター
タイのクーデター、インラック氏らが出頭 155人に出国禁止令 http://www.afpbb.com/articles/-/3015789 |
タイの混乱は、ついにクーデターという事態を迎えた。
反政府派は総選挙を拒否している。つまり議会制民主主義を否定している。議会制民主主義では、タクシンーインラック路線に抵抗できないということだ。選挙は昨年12月、インラック首相が政治不安を解消するために実施を発表したものだったが、反政府派のボイコットと妨害で実施できなかった。
タイでは二〇〇一年以来、選挙でタクシン派の勝利が続いている。反政府派は、選挙ではタクシンーインラック路線に勝てないのだ。だから、選挙によらない政権移譲を目指す。でも本来、選挙は殺し合いによる政権移譲の代替措置で、これを否定することはきわめて危険。なんだかわけがわからない。
タクシンは農村を中心とする貧困層に公金をばらまいて分厚い支持層を作り上げた。これがタクシン派を構成し、六〇〇万バンコク市民や上層・中間層、官僚、軍主流派が反タクシン派を構成する。
![]() | 今回のクーデター。軍は明らかにタクシンーインラック路線、つまり権力とは違う意志によって動いている。議会制民主主義を否定する反政府派を武力で鎮圧するならわかるけど、軍主流派は反タクシン、反政府勢力よりっていうんだから、クーデターは反政府勢力の筋書きか。 でも、軍内にも主流派があれば、反主流派だってあるだろう。どうなることやら。 |
もとはといえば、タイの華人社会に問題がありそう。インラック・シナワトラはタクシン・チナワットの妹。チナワット家は客家系の華人で、政財界に人材を排出している。タイの華人はタイ人に同化しつつあるものの、華人としての意識はちゃんと受け継がれている。幼い頃から金銭感覚を身につけさせ、教育に金を惜しまず、結婚も富裕層の華人同士。なにより、支那という出自を強く意識させるよう育て上げる。
その華人がタイの経済界を牛耳る。華人のネットワークはタイを支配している。しかし、一枚岩ではない。二〇一〇年のタクシン派デモへの武力弾圧から政権を失ったアピシット・ウェーチャチーワも有力華人。今回の反政府デモも、インラック首相による恩赦法など、タクシン氏の処遇を巡って始まっている。
タクシン派v.s.アピシット派。東南アジアの華人社会に手を突っ込みたい支那の思惑。華人をタイ人として受け入れてきたタイ社会。
今回の出来事もその根底には貧富の格差が放置されてきたことがある。華人がそういったタイ経済社会を作り上げてきたわけだ。なんだか、たった一四%の華人に、タイ人が鼻面を引き回されているようにしか見えないんだけどな。

