『天狗の剣―幕末京都守護職始末』 藤本ひとみ
時は幕末、薩摩藩島津久光の強引な献策に体制をあらためた幕府。将軍後見職には一橋慶喜、政事総裁職には松平春嶽をあて、そして火中の京都守護職は会津藩主松平容保に押し付けられようとしていた。この物語は、まずは会津を舞台として始まる。
一刀流溝口派最年少の「手形目録」を目指す服部孝太郎。神道精武流の師範を務める父は旧家の子弟で、孝太郎より三歳年長の北原真之介の指導に余念がない。二人が幼いころ、父は稽古の中で真之介に怪我を負わせたという。真之介はそれがもとで片腕の自由を失った。腹を切って詫びようとする父に、北原家は片腕の真之介を一人前に鍛えてから腹を切れと言ったという。以来、父は真之介の指導に専念し、孝太郎は外に出された。すでに男と逃げたという母に棄てられた孝太郎は、これ以後、父にも棄てられたと考えるようになる。
『天狗の剣』という題名と本の体裁から感じられるのは、痛快歴史活劇のおもむき。「へ~、著者の藤本ひとみさんの本にしては珍しい」という興味と、『幕末京都守護職始末』という副題に惹かれて読むことにした。なんて理屈はつけなくても、会津に関わるものは、とりあえず読んでおくことにしている。
違和感は最初からあった。『天狗の剣』という題名と、『幕末京都守護職始末』という副題がしっくりこない。“小天狗”を思わせる表紙の体裁も同様だ。会津を痛快歴史活劇として書くのはあまりにも困難だろう。
しかし実際、主人公の服部孝太郎をめぐる物語は痛快歴史活劇そのもの。しかし、それだけではない。物語の中には、松平春嶽を中心にその周辺の様子が織り込まれていく。つまり、会津が幕末の混乱の、一方の雄の立場に無理やり立たされていく様子である。この横糸が『幕末京都守護職始末』につながっていくことになりそうだ。
ブチン❢
おっと、物語が突然終わってしまった。・・・孝太郎の様子には一応の決着は見られるものの、全体の流れはなんの結末も見られない。結末が見られないどころか、なんにも始まってすらいない。続編は?・・・二〇一一年の本か。その後続編が出てるんだろうか。続編一冊くらいでは終わりそうもないけど・・・。
調べてみたらあった。時期に読む。







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一刀流溝口派最年少の「手形目録」を目指す服部孝太郎。神道精武流の師範を務める父は旧家の子弟で、孝太郎より三歳年長の北原真之介の指導に余念がない。二人が幼いころ、父は稽古の中で真之介に怪我を負わせたという。真之介はそれがもとで片腕の自由を失った。腹を切って詫びようとする父に、北原家は片腕の真之介を一人前に鍛えてから腹を切れと言ったという。以来、父は真之介の指導に専念し、孝太郎は外に出された。すでに男と逃げたという母に棄てられた孝太郎は、これ以後、父にも棄てられたと考えるようになる。
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『天狗の剣』という題名と本の体裁から感じられるのは、痛快歴史活劇のおもむき。「へ~、著者の藤本ひとみさんの本にしては珍しい」という興味と、『幕末京都守護職始末』という副題に惹かれて読むことにした。なんて理屈はつけなくても、会津に関わるものは、とりあえず読んでおくことにしている。
違和感は最初からあった。『天狗の剣』という題名と、『幕末京都守護職始末』という副題がしっくりこない。“小天狗”を思わせる表紙の体裁も同様だ。会津を痛快歴史活劇として書くのはあまりにも困難だろう。
しかし実際、主人公の服部孝太郎をめぐる物語は痛快歴史活劇そのもの。しかし、それだけではない。物語の中には、松平春嶽を中心にその周辺の様子が織り込まれていく。つまり、会津が幕末の混乱の、一方の雄の立場に無理やり立たされていく様子である。この横糸が『幕末京都守護職始末』につながっていくことになりそうだ。
ブチン❢
おっと、物語が突然終わってしまった。・・・孝太郎の様子には一応の決着は見られるものの、全体の流れはなんの結末も見られない。結末が見られないどころか、なんにも始まってすらいない。続編は?・・・二〇一一年の本か。その後続編が出てるんだろうか。続編一冊くらいでは終わりそうもないけど・・・。
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