めんどくせぇことばかり 『我は苦難の道を行く』 上坂冬子
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『我は苦難の道を行く』 上坂冬子

汪兆銘  1883年~1944年

孫文が後を託した後継者。孫文死後、国民政府は蒋介石や中国国民党との内紛をくり返したが、汪兆銘は常に穏健派の旗頭だった。そして、日本との和平派に擁立され、南京国民政府首相となる。

「米・英の後押しで、たとえ中国が勝っても、それは前門の虎(日本)を追い払うだけで、後門の狼(ソ連・共産党)を迎えることになるではないか。それはけっして中国のためにも、アジアのためにもならない」(名越二荒之助編「昭和の戦争記念館」)

[汪兆銘政権は日本の傀儡]
汪兆銘は後世、こう批判されることも覚悟していた。国共合作による対日姿勢を決めた蒋介石との決裂の際に、以下のような書を残している。
「君は栄光の道を歩め、我は苦難の道を行く」

南京国民政府樹立の後に、こう述べている。
「苦難の日を送る国民の犠牲を少なくするためには、名誉さえも捨てる」
「西洋との合従連横ではなく、王道のアジアを再建する」(胡蘭成「日本及び日本人に寄せる」)

第二次大戦後、南京国民政府への参画者はことごとく捕らえられ、中国の裏切り者として[漢奸裁判]にかけられる。その中に、汪兆銘の妻、陳壁君がいた。彼女の法廷陳述が、日中戦争のすべてを語っている。
「我々を中国の裏切り者というが、蒋(介石)の重慶派こそ国民を捨てて逃げたのではなかったか。[略]我々を日本と通謀した漢奸と呼ぶなら、蒋は米、毛沢東はソ連と通謀したではないか」(名越二荒之助編「昭和の戦争記念館)

『我は苦難の道を行く・・・汪兆銘の真実』 (文春文庫)

上坂冬子



上記は、(2011/12/28)に書いた過去記事なんだけど、最後の陳碧君の言葉については、この間、覚書に書いた。まあ、発言の時期や状況に関してはともかく、勝ったものによって語られる、彼らにとってのみ都合のいい薄っぺらな真実よりも、はるかに時代を感じさせる。
上巻
プロローグ  汪兆銘の娘、三十九年ぶりの来日
第一章  半世紀、埋もれていた資料
第二章  文人政治家のロマン
第三章  権謀術数、反共か、抗日か
第四章  日中、裸で抱き合うべし
第五章  和平工作に仕掛けられた罠
第六章  蒋介石との決別
第七章  日本政府の汪兆銘救出作戦
第八章  最終段階における部下の裏切り
第九章  悲劇の南京国民政府誕生
下巻
第十章  日米開戦前夜
第十一章  毛沢東、汪兆銘との合作を望む
第十二章  汪兆銘、死す
第十三章  「私は父を評価しない、しかし」
第十四章  獄死を選んだ汪兆銘夫人
第十五章  汪兆銘亡きあとの二つの事件
第十六章  遺書と恋にまつわる噂
エピローグ  二十世紀の日本の汚点

この本の題名にもなっている『君は安易な道を行け、我は苦難の道を行く』・・・君為其易 我任其難・・・は、重慶政府を脱出するにあたって、汪兆銘が蒋介石に送った長文の書簡の締めくくりの言葉であるという。漢奸裁判の中でも、当時の汪兆銘の心境を裏付けるものとして提出されたという。

たしかに生半可な言葉じゃない。その言葉通り、彼は志半ば、いや失意のうちに病に倒れ、彼の仲間たちのほとんどは漢奸裁判にかけられて銃殺され、妻は終身刑を受けて獄死、子供たちはバラバラになり自分を隠して生きた。勝者の歴史は彼に漢奸=売国奴のレッテルを貼り、南宋の秦檜と肩を並べる。

・・・私、汪兆銘同様、秦檜も最上級の人物と信じている。

    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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