『怖い絵2』 中野京子
![]() | 『怖い絵2』 中野京子 (2008/04/05) 中野 京子 商品詳細を見る この絵、お好きですか? |
この絵の中にはたくさんのシンボルがちりばめられているという。
『脱ぎ捨てられたサンダル』は「聖なる場所では履物を脱げ」という聖書の言葉で、ここが婚姻の神聖な場であることをあらわす。 『燭台に一本だけ灯るろうそく』も、中世以来、結婚の象徴。 『椅子の背に彫られた聖マルガレーテ』は安産の守護聖人。 『椅子に下げられた刷毛』は聖なる香油を振りまくためのもの。 『壁にかけられた水晶のロザリオ』・・・水晶は純血の、ロザリオは結婚の美徳をあらわす。 『犬』は繁栄と忠誠をあらわす。 『窓辺のりんご』はこの夫婦も背負っているはずの現在をあらわす。 『凸面鏡の浮き彫り』には、十のメダイヨンの十のシーン、「十字架の道行」、「磔刑」、「埋葬」、「復活」などなど、・・・でも見えない。 鏡の上には「ヤン・ファン・アイクここにありき、一四三四」は、凸面鏡に映る夫妻の後ろ姿の向こうにファン・アイクが描かれている。 |
十四・五で結婚してなんの個性も、感情も表わさない新婦も、それはそれで不気味なんだけど、なんといっても夫のアルノルフィーニ氏だ。いったいどうしたの、この不気味さ。この本によれば、北欧の美術館にはムンクの「叫び人形」と一緒に、「アルノルフィーニ人形」も売られていたってことだから、不気味さが売りの一つであるのは最初からのものらしい。
爬虫類を思わせる残忍そうな顔は、この絵が表象する『聖なる婚姻』を完全にぶち壊している。・・・アレッ、それこそがこの絵の狙いか?


- 関連記事