めんどくせぇことばかり 『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生
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『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生

フリードリヒが挑戦したのは、法王インノケンティウス三世が言い始めその後歴代の法王たちのモットーになっていた、「法王は太陽で、皇帝は月」に対してなのであった。イエス・キリストの言った、「神のものは神に、皇帝のものは皇帝に」には賛成なのだ。こう考えれば当然の理だが、フリードリヒの考えには、カトリック・キリスト教会の廃絶などはまったくなかった。
下巻 P214
なにしろフリードリヒ二世が生きたのは一一九四年から一二五〇年。ルネサンスの先駆者と言われるダンテが生まれるのはフリードリヒ二世の死から十五年目。ルネサンス文学の地平を開いたとされるペトラルカやボッカチオが生まれるのは更にダンテの最晩年。そう考えれば、やはりフリードリヒ二世は“中世”の人ということか。

『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生
(2013/12/18)
塩野 七生

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近代をめざした皇帝



高村光太郎の『道程』という詩の中の、「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」という言葉を思い出してしまった。「イタリア語で神曲を書いた」という先進性を賞賛されるダンテだけど、フリードリヒ二世が“法による支配”を目指して制定したメルフィ憲章は、一二三一年の段階でイタリア語で書かれていた。ダンテもペトラルカもボッカチオも・・・。マキャヴェリの『君主論』なんかはチェーザレ・ボルジアを材料にしてるけど、そのチェーザレ・ボルジアの背後には、クッキリとフリードリヒ二世が浮かんでいる。みんながフリードリヒ二世の“道”を歩いているようにさえ見える。

フランスのアンリ四世やイギリスのヘンリー二世は、宗教改革騒ぎに一様の決着をつけようかという時期の人だけど、フリードリヒ二世の時期には、まだ宗教改革の風なんてソヨとも吹いていない。なにしろ教皇の権威が最高点に達したあのインノケンティウス三世の時代。そう、世界史嫌いの高校生からその名前を覚えようとする気力を奪い取るインノケンティウス三世。

そんな時に、彼は道を作ったのか。 もちろん、彼の前にまったく道はなかったとは、言えないけどね。見ようとすれば・・・。見ようとした彼には、見えたんじゃないかと思うけど。

フリードリヒ二世に関するこれまでの認識は、教皇の力が今だ健在な時代にそれに抗して近代をめざした特異な“あだ花”であって、いまだ中世まっただ中に早く生まれすぎた彼は、結果としては時代に影響をあたえることは少なかった、っていうところだったんだけど、まったく参った。・・・新たな時代は、フリードリヒ二世の踏み跡をたどってやってくる。


   

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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