めんどくせぇことばかり ローマ教皇(覚書)『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生
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ローマ教皇(覚書)『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生

ローマに本拠を置くキリスト教会がイタリアに害をもたらすのは、ローマ法王には、問題を解決出来るだけの軍事力は自分では持っていないが、他国の軍事力を引き入れる力は持っている、というところにある。イタリア内の問題を解決するのに、このように常に他国の王に頼ってきた歴代のローマ法王によって、イタリアは外国勢力の侵略に、長年にわたって、しかもくり返して苦しむことになったのである。
下巻 P244
これはフリードリヒ二世から二五〇年後、ルネサンス時代のイタリア人、ニコロ・マキャヴェリの言葉だそうだ。マキャヴェリは宗教と政治は切り離されるべきだと説いた。チェーザレ・ボルジアがマキャベリに『君主論』を書かせる材料になったが、その姿勢はまさしく「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に」というイエスの言葉を実践しようとしたフリードリヒ二世のものと言っていい。

それにしてもローマ教会、たちが悪いな。マキャベリ死んだ一五二七年、神聖ローマ帝国皇帝とスペイン国王を兼ねるカール五世がローマに攻め込んでいる。「ローマ劫掠」 と言われる出来事である。教皇クレメンス七世は、西ヨーロッパの盟主をめざすカール五世に対抗してフランス王と連盟することで、この事態を招いた。なんとフリードリヒ二世から三〇〇年ほど後の出来事である。


『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生『皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下』 塩野七生
(2013/12/18)
塩野 七生

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近代をめざした皇帝




フリードリヒ二世の生涯は、五人の教皇と重なる。インノケンティウス三世、ホノリウス三世、グレゴリウス九世、ケレスティヌス四世、インノケンティウス四世である。なかでも、グレゴリウス九世とインノケンティウス四世は、神聖ローマ皇帝とシチリア国王を兼ね、教皇の政治介入に抵抗するフリードリヒ二世とその後継者たちに対し、インノケンティウス三世の時代に最高潮に達した教皇の権威を総動員して、屈服させるべく務めた。その時々の反ホーエンシュタウフェン勢力を、次々とイタリアへ招き入れた。

西ヨーロッパは混乱した。グレゴリウス九世やインノケンティウス四世の行為は、教皇という存在をきわめて政治的存在であり、なかでもたちの悪いものという認識を西ヨーロッパに定着させただろう。一二九一年のアッコン陥落による十字軍の失敗が、提唱者である教皇の権威を失墜させたとよく言われる。しかし本当の理由は、実際の提唱者であるウルバヌス二世以来、権威に付随する権力を弄んだローマ教会の増長そのものにあったのではないか。

「ローマ司教に自分と等しい権力を与え、全西方世界を委ねる」というコンスタンティヌスの寄進状の嘘が、ロレンツォ・ヴァッラによって暴かれるのは十五世紀。最高潮に達した権威とともに、こんなものを振り回されたのでは実際政治権力者はたまらない。その憎悪がアナーニ事件やアヴィニョン捕囚につながるのは一三〇三年、フリードリヒ二世の死から五十二年目でしかない。それは、その前年、教皇ボニファティウス八世が回勅『ウナム・サンクタム』を発して、「教皇が宗教上・世俗上の最高権の保持者であり、すべての君主・皇帝も、すべて教皇に服従すべきである」と宣言したことに対して、フランス王フィリップ四世が起こした反応だった。

上記のマキャヴェリの言葉が紹介されているページに、同時代人のグイッチャルディーニも同意見であったことが紹介されている。彼は、死ぬ前に見たいと願う三つのことの第一番目に“政治への介入をしない聖職者たち”を上げているという。


   

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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