めんどくせぇことばかり 『壬生烈風 - 幕末京都守護職始末』 藤本ひとみ
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『壬生烈風 - 幕末京都守護職始末』 藤本ひとみ

『天狗の剣』に続く“幕末京都守護職始末”の第二弾。多くの藩士の反対を押し切って京都守護職を引き受けた松平容保と会津藩。動乱を控えた会津藩で“小天狗”と称された服部孝太郎は、父との軋轢に決着がもたらされる。しかしそれは、切腹による父の喪失というものであった。それを理由に服部家は取り潰され、家の再興を誓う孝太郎は、因縁浅からぬ北原真之介の供として京都へ向かう。

『壬生烈風 - 幕末京都守護職始末』 藤本ひとみ『壬生烈風 - 幕末京都守護職始末』 藤本ひとみ
(2012/03/23)
藤本 ひとみ

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あくまでも“痛快娯楽活劇”と言った作りの本。第一弾の『天狗の剣』を読んだ時にも、「会津を痛快歴史活劇として書くのはあまりにも困難だろう」と書いた。その気持は今も変わらないんだけど、第二弾で、著者藤本ひとみさんの意図がいくらか見えてきたような気がする。

主人公の服部孝太郎と関わりを持つ人物が、他の本ではあんまり書かれていない者たちのようなきがするのだ。いずれも剣豪としても名の高い人物で、まずは第一弾以来の田中新兵衛。“人斬り新兵衛”の異名を取り、幕末最強の人斬りとも言われる。服部孝太郎の敵役としての役回りだけど、“剣の腕”にすがるように生き、使い捨てにされていく新兵衛に、最終的に孝太郎は共感を覚える。

この第二弾に至って関わってくるのが、芹沢鴨。芹沢との関係は決闘から始まるのだが、やがて孝太郎は芹沢を理解し、その生き方に強い影響を受け、そして喪失する。この孝太郎の目を通して描かれた芹沢鴨は良かった。自分から“鴨”を名のる人物。魅力的でないはずがない。

さらに、その喪失をもたらした沖田総司、そして会津にとっては不倶戴天の敵である長州の久坂玄瑞、この二人の一途な生き方に、孝太郎は最初から惹かれていく。

考えてみれば、人気者の沖田総司はともかく、久坂玄瑞も取り上げにくい人物ではある。「航海遠略策」により公武合体を掲げる長井雅楽を自刃に追い込み藩論を尊王攘夷に引きずっていったのは、それが“論”として正しいからではなく、世を混乱させること、それ自体が目的であった人物である。そのために彼は朝廷内に尊攘派を育て、朝廷をして幕府に圧力をかけた。その障害になるものは消されていった。取り上げにくいに決まっている。

『現状のままでは、この国は滅びる。騒乱を起こし、人々を窮地に突き落とせば、その混乱が逸材を生み出す。混乱の中から立ち上がった志士の力を持って、国家を再建するときなんだ』という久坂のセリフがある。服部孝太郎はそんな久坂に共感していくんだけど、私には無理だ。

とにかく、そういうどっか取り上げにくい人物を、服部孝太郎と関係させることにより、著者なりの解釈で紹介していこうとしてるんじゃないかな。このシリーズには第三弾もある。そちらでは、どんな“取り上げにくい人物”が登場するんだろう。楽しみだな。

    
 
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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