日本を変えた『菊と刀』(覚書)『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』 高橋史朗
ルース・ベネディクトの『菊と刀』に見られる「日本人の国民性研究」は、OSS(戦略諜報局)、OWI(戦時情報局)、CIE(民間情報教育局)の情報源となり、とくに戦後日本の教育改革のベースになった。 ベネディクトは一九四四年にOWIの外国戦意分析課のアナリストとして着任しているが、それは前任のゴーラーが自らの後任としてベネディクトを推薦したからであったという。 |
日本研究には、ホルトムやゴーラーと言った先人がおり、ベネディクトはその強い影響下に対日研究の一線に立ったということらしい。でも、ベネディクトには来日経験はなく、ホルトムやゴーラーの影響のもとに日系人や来日経験のある米国人からの聞き取りだけで『菊と刀』を書き上げている。そんなものをもとに、日本は作り変えられてしまった。 | ![]() |
![]() | 『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』 高橋史朗 (2014/01/29) 高橋史朗 商品詳細を見る こうして日本人は国を愛せなくなった |
アメリカ占領軍のスタッフが日本に来る前に、予備軍として訓練を受けた時の教科書、つまり軍政要因のガイドブック『民事ハンドブック-日本』のベースになったのが『菊と刀』に表わされたベネディクトの「日本人研究」の成果であり、ハンドブックはベネディクトの直々の講義を受けた者たちによって執筆されたものであったという。
『菊と刀』については、日本人識者からもさまざまな批判があることが、この本でも紹介されている。なかでも津田左右吉の「儒教と伝統的な道徳を混同している」という指摘は重要だな。戦後日本の教育政策の中で、日本人の伝統的な道徳や文化が、“軍国主義的”と攻撃を受けたことで、戦後教育を受けた日本人が、日本文化や精神的伝統に自身を失ってしまったからである。
アメリカは占領前に日本の修身教科書の研究を終えて、その結果を次のように分析していたという。
昭和十六年以前の修身教科書は親孝行や愛国心を教えているが、それはどの国でも教えている普遍的な道徳教育である。ところが昭和十六年以降は、超国家主義、軍国主義の色彩が強く出てくる。 |
それが「日本人の再教育、再方向付け」という名の下に行われたCIEの政策、“ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム”である。
果たしてこれは、“誤解”なのか。このような根底からの「日本人再教育」は、むしろアメリカのために必要なことだったんじゃないだろうか。私はそう思ってる。


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