めんどくせぇことばかり 始皇帝の“焚書”、信長の“楽市楽座”(覚書)
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始皇帝の“焚書”、信長の“楽市楽座”(覚書)

キーワードというのは実は「危険」なものである。なんとなくわかったような気分になる、という効果を持っているからだ。・・・キーワードを知っていることと、キーワードの内容を理解しているということは、天と地ほど違うのである。
『井沢元彦の激闘の日本史 南北朝動乱と戦国への道』 P239 
確かにその通り。最近読んだ本の中から、そのパターンを二つ紹介しておきたい。
始皇帝の焚書
漢字はその性質上、放おっておけば、どんどん数が増える。偏と旁の組み合わせで、いくらでも新しい漢字ができる。それこそ、“笑点”で落語家さんたちがそういうお笑いをやってるのとおんなじ。
しかも、始皇帝以前には、国ごとに使う文字が違っていたし、読みも異なっていたろう。漢字が本来果たすべき役割、“言語を異にするもの同士の間でも意思疎通が可能”すら望めなくなっていた。

そんななか、儒教集団が大きな役割を果たしたという。儒家は『詩経』『春秋』『易経』などの古典を神聖視し、その読み方を厳密に定めていた。だから、儒家同士であれば、たとえ出身がどこであっても意思疎通が可能だった。戦国時代の諸国は、競って儒家を雇い入れ、文書のやり取りを任せた。

儒家がやっていたように文字の書き方や読み方を統一すれば、言語の壁は無視できる。始皇帝が文字の統一と固定化を考えた原点には、戦国時代の儒家のそうした活躍がある。

その目的のためにこそ、始皇帝は民間に流布している様々な書物を焼かせた。《焚書》である。焚書は思想統制のために行われたことと信じられているが、誤解であるという。この本に書かれていたことだけど、今まで疑いすらしたことがなかった。

始皇帝が書物を焼かせた目的は、民間において野放図な漢字の使用が行われないようにするためであったという。焚書とは、漢字の表記や表現を公的に統一するための手段だった。公に定めたテキストを基準に漢字を書け、それ以外のテキストは全部燃やす、というものだった。

《坑儒》も誤解であるという。え~❢ でもたしかに、前述したように始皇帝は儒家の価値を認めている。儒家を利用することはあっても、殺す必要はない。

もとを言えば坑儒は、不死の薬を求める始皇帝を批判した書生二人に対する処分であったという。激怒したし皇帝は、最終的に数百人を検挙して生き埋めにしたという。皇帝の命令によって“書物を燃やす”というのは、たしかに衝撃的な出来事だ。その衝撃が「思想弾圧」という理由づけを許し、あまつさえ《焚書坑儒》という“大弾圧”を作り上げたわけだ。

 



信長の楽市楽座
“油座”は油の生産販売に関わる同業者組合で、カルテルを結んで油の値段を吊り上げていた。油座に入っていないかぎり、油を生産販売することは許されなかった。

そんな組合など無視して、誰かが荏胡麻を栽培して油を搾り、安く販売したとする。そうすると恐い人たちがたくさん現れて、誰かさんは売上を全て奪い取られて乱暴される。殺されるかもしれない。
恐い人たちは、弁慶のような格好したお坊さんで、弁慶同様武装している。恐い人たちは比叡山延暦寺でなんかの時のために養われている人たちで、こういう時こそが彼らの出番である。

戦国時代、商工業や運送業は、基本的に寺社の影響下に置かれた。寺社は、「座」を通して商工業を支配した。業者は上納金を寺社におさめることで市場を独占し、価格を釣り上げて、寺社とともに暴利を貪った。

しかも、商工業者に十分な利益を提供できる市場は門前町が最高のものであった。城下町といっても、百万石レベルの今川義元の駿府あたりでも、商工業者に利益を得させるには不十分だ。家臣のほとんどは自分の領地である村に住んでいたのだから当然だ。門前町に商品を持ち込めば、ここでも寺社への上納金が必要になった。

さらに寺社は、関所をもうけて物流をも支配した。海上ルートでは水軍と契約して関銭を徴収した。

座、市場、関所、いずれも寺社勢力に膨大な金が流れこむようになっていた。利益の一部で僧兵というならず者を養い、反対勢力の批判を許さない体制を作り上げていた。

信長の兵は農民ではなく専門兵士で、信長は所領を持つ上級家臣も岐阜城近くに住まわせた。その数をおよそ一万として、家族郎党合わせて五万の城下町が登場したのは、兵農を分離した織田軍でなければありえなかった。さらに影響下にある領域では座と関所が廃止された。カルテルを解体して独占価格の形成を許さず、市場を開放して自由競争を促進し、関所を排除して物流の障害を取り除いた。

信長は、比叡山延暦寺の懐に手を突っ込んだ。比叡山延暦寺は信長を“仏敵”と呼んだ。でも、そりゃおかしかないか。




    


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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