『はじめて読む人のローマ史1200年』 本村凌二
塩野七生さんの『ローマ人の物語』は読んだ。建国からカエサルくらいのところまでは、かなり前のめりになって読んだ。五賢帝くらいまでは真剣に読んだ。以降は、とりあえず読んだ。ごめんなさい。 「キリスト教の勝利」っていうのは、もうだいぶ終わりの方で書かれていたと思うんだけど、“とりあえず読んだ”時期だったんで、あんまり印象に残ってない。読み直さなきゃなぁ・・・。 |
![]() | 『はじめて読む人のローマ史1200年』 本村凌二 (2014/06/02) 本村 凌二 商品詳細を見る ローマの歴史 ―起・承・転・結― |
「ローマの歴史の中には、人類の経験すべてが詰まっている」というのは丸山眞男さんの言葉だそうだけど、たしかに・・・。“じゃあ、誰が書いた本を読んで見ましょうか”ってところで、早速つまづく。ローマは大きすぎるんだよ。・・・そう考えたとき、この本はいいよ。
ローマ史を読み解くキーワード
(1)なぜ、ローマ人は共和制を選んだのか? (2)なぜ、ローマ軍は強かったのか? 承ー内乱の一世紀から、ネロ帝の自害まで(紀元前一四六~六八年) (3)なぜ、ローマは大帝国になったのか? (4)なぜ、ローマ市民以外に市民権を与えたのか? 転ー五賢帝から、セウェルス朝の終焉まで(六八~二三五年) (5)なぜ、皇帝はパンとサーカスを与えたのか? (6)なぜ、キリスト教は弾圧されたのか? 結ー軍人皇帝から、西ローマ帝国の滅亡まで(二三五~四七六年) (7)なぜ、ローマは滅亡したのか? |
書いたのは、早稲田大学国際教養学部特任教授で、東京大学名誉教授の本村凌二さんという方。『馬の世界史』という本で、JRA賞を取っている。結構な競馬好きのようだから、きっとまともな人だ。 |
最初の「S・P・Q・R」は、「Senatus Populusque Romanus(セナトゥス ポピュルスクェ ロマーヌス)」の略称で、直訳は「ローマの元老院と国民」で、古代ローマの国の主権者を意味する言葉だという。なかでも最初に書かれている元老院のあり方こそがローマを特徴づけるものであった。元老院階級は誇り高く、高潔な使命感と勇気を持ち、民衆はそんな元老院階級に尊敬の念を抱いていた。
「S・P・Q・R」に始まる『ローマ史を読み解くキーワード』。その後の『起・承・転・結』を読んでいく上でも、とても参考になる。
さて、私の興味は、《なぜ、キリスト教は勝ち残るのか?》と、《ローマが存続する道はなかったのか?》ということ。まあ、そんな命題は、端からそんな命題はないんだからしょうがないんだけど、(6)なぜ、キリスト教は弾圧されたのか?、(7)なぜ、ローマは滅亡したのか?の部分では、結局、著者は結論らしい結論を出してない。ちょっと残念。


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