『イエス・キリストは実在したのか?』 レザー・アスラン
すでにこの本で二本も記事を書かせてもらっちゃったけど、それは、私にとってそれだけ強烈な印象を残したということだ。
実在したのは救世主ではない、暴力も厭わない革命家だった❢ ・・・というのも、とっても強烈だった。この本の題名は、『イエス・キリストは実在したのか?』というもので、私はこの題名通りの興味を持って読もうとしたわけだ。そんでもって表紙をめくると、その裏に書かれていたのがこの言葉だった。
でもね、この言葉を見ても、私は理解できなかった。そこには、神の国を地上に実現するたに既存の勢力を力によって打倒そうと呼びかける男がいたのであって、私たちが思っているような救世主としてのイエス・キリストという男は実在しなかった。 読み始めてから分かって、けっこうのめり込んだ。
イエスは、当時、数多くユダヤ人に登場しては消えていったメシアの一人にすぎない。メシアとは、“油を塗られた者”、“理想的な統治をする為政者”、“神事を行うように聖別された祭司”、“神との特別な関係にある預言者”を言った。そしてイエスの時代のメシアに求められたのは、ダビデの王国を再建し、イスラエルという民族国家を再興することだった。そんなメシアのひとりとして、イエスは処刑されて死んだ。
数多く登場したメシアたちとイエスを分けたものはなんだったか。イエスだけが“復活した”ということ、そしてそれを証言する多くの者が、その証言の撤回を拒否することで、次々と残酷な死に追い込まれた。その事実が、他のメシアたちとイエスを分けた。
復活のモチーフは農耕文明の太陽信仰に発する。本質的に砂漠の宗教であるユダヤ教に、それがどこから入り込んだのか。ん~、考えられるのはすぐ近くのエジプトで、エジプト文明においては“復活”は重大なモチーフだよね。オシリスも復活するしね。そう言えば、オシリスを復活させたイシスは、冥界の王となったオシリスとの性交渉なしにホルスを生むよね。これって“処女懐胎”につながるよね。
話がずれちゃったけど、その“復活”から、それまでのイエスの物語とはまったく別個のもう一つの物語が作り上げられていくわけだ。新たな物語はそれまでの物語にも影響を与えて、都合の悪い部分、つまり“革命家イエス”という男の物語は消し去られたわけだ。
もうひとつ頷かされたのは、聖書の記述者たちが、過去に起こった“事実”を“歴史”として書き残すことを目的とはしていないということ。それぞれの“今”を生きる者たちから寄せられるイエスに関する疑問を、祖先が残したさまざまな予言を読み解き、“復活”をスタート地点として新たに構築されたイエスの地位を確立することが目的だったという点かな。





一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
実在したのは救世主ではない、暴力も厭わない革命家だった❢ ・・・というのも、とっても強烈だった。この本の題名は、『イエス・キリストは実在したのか?』というもので、私はこの題名通りの興味を持って読もうとしたわけだ。そんでもって表紙をめくると、その裏に書かれていたのがこの言葉だった。
でもね、この言葉を見ても、私は理解できなかった。そこには、神の国を地上に実現するたに既存の勢力を力によって打倒そうと呼びかける男がいたのであって、私たちが思っているような救世主としてのイエス・キリストという男は実在しなかった。 読み始めてから分かって、けっこうのめり込んだ。
『聖書』はもともと、イエスの死後、布教に携わったイエスの使徒たちの手紙や文書を、一つに編んだもの。著者は、それぞれの弟子たちの文献、聖書以外の歴史的な資料を比較調査することにより、聖書で、なにが捏造され、なにが史実から落されていったかを明らかにしていく。 イエスとは実際にはどのような人物だったのか? そしてイエスは何を実際に説いていたのか? そしてそれがどのように変質して、世界宗教へと発展していったのか? 『聖書』の物語と、実際の史実の差から見えてきたものとは? |
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数多く登場したメシアたちとイエスを分けたものはなんだったか。イエスだけが“復活した”ということ、そしてそれを証言する多くの者が、その証言の撤回を拒否することで、次々と残酷な死に追い込まれた。その事実が、他のメシアたちとイエスを分けた。
復活のモチーフは農耕文明の太陽信仰に発する。本質的に砂漠の宗教であるユダヤ教に、それがどこから入り込んだのか。ん~、考えられるのはすぐ近くのエジプトで、エジプト文明においては“復活”は重大なモチーフだよね。オシリスも復活するしね。そう言えば、オシリスを復活させたイシスは、冥界の王となったオシリスとの性交渉なしにホルスを生むよね。これって“処女懐胎”につながるよね。
話がずれちゃったけど、その“復活”から、それまでのイエスの物語とはまったく別個のもう一つの物語が作り上げられていくわけだ。新たな物語はそれまでの物語にも影響を与えて、都合の悪い部分、つまり“革命家イエス”という男の物語は消し去られたわけだ。
もうひとつ頷かされたのは、聖書の記述者たちが、過去に起こった“事実”を“歴史”として書き残すことを目的とはしていないということ。それぞれの“今”を生きる者たちから寄せられるイエスに関する疑問を、祖先が残したさまざまな予言を読み解き、“復活”をスタート地点として新たに構築されたイエスの地位を確立することが目的だったという点かな。


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