めんどくせぇことばかり 東夷・西戎・南蛮・北狄(覚書)『名著で読む日本史』 渡部昇一
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東夷・西戎・南蛮・北狄(覚書)『名著で読む日本史』 渡部昇一

名著で読む日本史名著で読む日本史
(2014/06/28)
渡部 昇一

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この「虹」が“私たち”の歴史

第二章“中世編”のトップを飾る『神皇正統記』の中に、《東夷・西戎・南蛮・北狄》に関わる説明が出てくるらしい。支那という地域は古くから南蛮や東夷、西戎や北狄が入り混じる土地柄である。そういった歴史を持つ支那と、一環した皇統、社会、民によって構成される日本は違うという文脈で登場するのではないかと思われる。著者の渡部昇一さんは、以下のように要約している。
南蛮はシナの南のほうの蛇の子孫だというのです。だから「蛮」の字には虫がついている。北狄というのは犬の子孫であるから「犭」という扁がつく。それから西戎を親房は西羌と書いていますが、これは西の人たちは羊を飼っているから羊という字が入っているというわけです。東夷の「夷」は普通「身体が小さい」という意味を表しますが、親房の解釈ではそうではなくて、「東は仁ありていのち長し」といういわれがあるところから大弓という字が組み合わさって「夷」と書くのだといっています。
北畠親房の西戎や東夷への理解はともかく、古くから中国人とか漢民族というのがいたかのような頓珍漢な現代人がいることを考えれば、よっぽどまっとうだな。


昨日も紹介したんだけど、少し前に読んだ『岡田英弘著作集Ⅳ シナ(チャイナ)とは何か』の中で、この、《東夷・西戎・南蛮・北狄》について、詳しく、面白く、触れられていた。

それによれば、支那最古の王朝である《夏》は最初に漢字を使った王朝であると考えられているという。その伝説には龍に絡む話が多く、龍蛇伝説はもともと東南アジアに多く広がる。
しかし、その後の王朝である殷も周も秦も、いずれも《戎》の色の濃い王朝で、夏王朝時代の名残はあったろうが、独自に龍蛇伝説を持たない。龍が皇帝のシンボルとなるのは漢王朝時代。高祖劉邦にはその出生伝説に龍が現れることから、その出自には《蛮》の匂いが漂う。
《蛮・夷・戎・狄》の視点は洛陽盆地。

東夷は黄河、淮河の下流域の大デルタ地帯の住民をさす。「夷」の字は「弓」と「大(ヒト)」を合わせて作られ、その音は「低」、「底」と同じで、《低地人》をあらわす。

南蛮は河南省西部、陝西省南部、四川省東部、湖北省西部、湖南省西部の焼畑農耕民をさす。

西戎は陝西省、甘粛省南部の草原の遊牧民をさす。

北狄は山西高原、南モンゴル、大興安嶺の狩猟民をさす。

夏の初代王である禹は、父鯀(コン)が堯から任された仕事を引き継ぎ、水路を開き、陸路を通じ、湖沼を掘り、山脈の位置を定めた。堯の後を受け継いだ舜は禹を後継者に指名し、禹が即位して国号を夏と定めた。禹の墓のある会稽山と洛陽を結ぶラインには夏の伝説が多く、龍蛇伝説も多く含まれる。また、長江下流域江西省から出土した陶器に記された最古の形をした文字から、漢字は夏人によって最初に使われ、それが夏人によって洛陽盆地に持ち込まれ、殷王朝の甲骨文字に発展したと考えられる。夏は、その故地から東夷とされるが、龍蛇伝説を持つところから、さらに古い出自は南蛮にあるのか。

殷人の高祖母神は簡狄。簡狄は有娀氏、つまり戎、すなわち草原の遊牧民の娘。玄鳥の落した卵を飲んで、殷の始祖となる“契”を生む。女神が鳥の姿で天から下った神に感じて妊娠するというのは、東北アジア森林地帯の狩猟民族である狄に共通する始祖神話。

伝説によれば、周の始まりは姜原という女神。姜原の「姜」は「羌」で東北チベットの遊牧民をさす。

秦の伝説で確実なところは、前9世紀に秦嬴(エイ)が、周の孝王から秦に封ぜられて馬を飼ったという西戎らしい話。後の穆公の時に力を伸ばし、西戎にはをとなえた。
『岡田英弘著作集Ⅳ シナ(チャイナ)とは何か』より (抜粋)

これを読んでもらえば、現代人にくらべて南北朝時代に活躍した北畠親房の方がはるかに支那を正確に理解してることが分かりますね。北畠親房にビックリするんじゃなくて、現代の日本人がどんだけ支那を勘違いしているかってことにビックリだな。
    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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