めんどくせぇことばかり 『サバイバル宗教論』 佐藤優
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『サバイバル宗教論』 佐藤優

なんだろう、この『サバイバル宗教論』という題名。「生き残り宗教論?」、「救難用宗教論?」、・・・《サバイバル》いう言葉と《宗教》という言葉、私の中ではしっくりこない。“はじめに”に書かれた著者の言葉よれば、サバイバルは《救済》という意味で使われてるんだそうです。

著者の現状認識は、『理性を過大評価した人間中心主義を信頼することは、もはやできないというのが一九一四年以後のわれわれの現実』というもの。“一九一四年”といえば第一次世界大戦の開始だが、二つの大戦特別をせずに“二十世紀の三一年戦争”ととらえるのが著者の見解のようです。どうせだったら“三一年戦争”と限定せずに、冷戦や革命を含めて“戦争と革命の二十世紀”と一括りにしたらどうだろう。

人間中心主義を推し進めた結果、すでに立ち行かなくなった人間社会を、著者は同志社大学神学部時代から取り組んでいる神学研究の側面から救済したいと、そういった意味でサバイバルという題名がついたらしい。

本書は、臨済宗相国寺派の研修会に講師として招かれた著者の、同宗同派の僧侶を対象に四回連続で行われた講義の内容を再編集したもののようだ。

『サバイバル宗教論』 佐藤優『サバイバル宗教論』 佐藤優
(2014/02/20)
佐藤 優

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宗教を知ることは今後の世界を生き抜くための必須の智慧だ



第一講  キリスト教、イスラーム教、そして仏教
母親の沖縄戦体験と信仰父親の最後と葬儀
一〇〇〇年以上かかっても結論の出ない神学論争「日本的なキリスト教」ではなく「日本キリスト教」
「一神教は不寛容で多神教は寛容」は本当か?教会を批判して火あぶりにされたヤン・フス
イランをめぐる危機と日本世界を敵に回しても生き残ろうとするイスラエル
宗教から読み解くシリア情勢イラン発の核拡散の危険性
質疑応答コラム
第二講  「救われる」とは何か
宗教はなんのためにあるのか?宗教と物語
悪の存在をどう考えるか?「原爆は一神教から生まれた」は本当か?
戦争に翻弄された日本の神学部チェコの民族と宗教
聖書をチェコ語に訳したフス「我々はフスの民族だ」-チェコスロバキアの独立
フロマートカと冷戦下のチェコスロバキア救済とは原点に帰ること ほか
質疑応答コラム
第三講  宗教から民族が見える
フョードロフという謎の思想家と宇宙開発ソ連・イギリス・イスラエルの民族と国家
日本人にとっての憲法と民族ロシアは多民族・多宗教国家
選挙によって選ばれる「王様」民族とは何か?
主権を回復した日本、切り捨てられた沖縄沖縄があるから日本は帝国
国際条約の主体だった琉球王国近代の袋小路を突破しようとするキリスト教
質疑応答コラム
第四講  すべては死から始まる
宗教を持つのは人間だけ人類はどう発展してきたのか?
人はなぜ定住したのか?高福祉国家は警察国家
宗教はさまざまな階級をつなぐ中間団体こそ民主主義の砦
「きずな」はファシズム質疑応答
コラム

全体の印象からすれば、宗教というよりも大きく国際政治に傾いた本という印象がある。もちろん著者は、行き詰った人類社会を救済したいとこの本を書いている。政治を抜きにして救済などあり得ないのだから国際政治が語られるのは当たり前のこと。その国際社会を宗教的、神学的側面から分析し、問題の所在を明らかにしていこうというのが本書の主旨なら、この本は当初の目的に沿って書かれている。

ただ、非常に参考になる優れた知見も多いんだけど、なんだか散漫な気がした。引き込まれて、陶酔感と共に一気に・・・て言う感じの本ではない。いつも佐藤優さんの本にはありがちなんだけど、この本は特別に、“佐藤優”が出すぎているせいじゃないかと思う。ちょっと、原理主義的な気がするんだけどな。

毎回の講義の最後に質疑応答がある。キリスト教徒の講師に対してお坊さまたちが質問をする。お坊さまたちの質問がけっこうおもしろかったりする。次の質問者1~3は、最初の抗議、本書で言えば、第一講『キリスト教、イスラーム教、そして仏教』の質疑応答におけるものだけど、・・・こんな質問するんだね、お坊さまが。


質問者1
  1. ホルムズ海峡の封鎖ということが実際の戦争より以前に起こるということはありうるでしょうか。
  2. ウクライナからイランに核技術が流れているという話を聞いたことがありますが、本当でしょうか。
質問者2
  1. イランから見て、イスラエルのユダヤ人がなぜ消滅しなければならないのでしょうか。となりのパレスチナなら分かるが・・・
  2. イランと周辺との関係はどうなっているのでしょうか。ペルシャ帝国復活という話もありましたが・・・
  3. トルコやサウジアラビアは世俗的だと言われるが、イランでは宗教的なものと世俗的な者のせめぎ合いはないんでしょうか。
質問者3
  1. 危機に際して、政治と宗教がどう結びつくのでしょうか。
  2. インテリジェンスの見地から、宗教を通じた日米の関わりはどうなっているか


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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