めんどくせぇことばかり ロンドン・タイムズの幕末日本評(覚書)『逆説の日本史 20 幕末年代史編3』 井沢元彦
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ロンドン・タイムズの幕末日本評(覚書)『逆説の日本史 20 幕末年代史編3』 井沢元彦

ロンドンに留学中の伊藤俊輔と井上聞多は、ロンドンタイムズに掲載された、「長州藩が馬関海峡で外国艦船に砲撃を繰り返し、各国が連合して長州に対応しようとしている」という記事を読み、急遽の帰国を決意した。

本来、伊藤や井上も、むやみに外国艦船を砲撃した久坂らをはじめとする長州の攘夷派連中と同じ考えだった。しかし、この留学で、攘夷の無謀を知った。一刻も早く帰国し、藩論を開国に変更させるべく説き伏せようと考えたわけだ。まあ、そんなことができるなら、高杉晋作があんなに苦労することもなかったんだけどな。

その時のロンドン・タイムズの記事というのがこの本に載っていた。ただたんに事実を伝える記事ではなく、日本という国の様子そのものを紹介するような内容になっている。面白いので、覚書として残させてもらった。


『逆説の日本史 20 幕末年代史編3』 井沢元彦『逆説の日本史 20 幕末年代史編3』 井沢元彦
(2013/10/10)
井沢 元彦

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西郷隆盛と薩英戦争の謎



横柄な大名たちに対しては憤りを感じるが、ヨーロッパの軍艦との先の戦いでも示されたように、日本人の軍備の品質や機械に関する天才的才能を敬わずにはいられない。アメリカの大型船ワイオミングは、長州藩主の砦と蒸気軍艦に遭遇し、16人もの乗組員を失った上、ついに退散しなければならなかった。オランダ人は心構えができていたためより健闘したが、フランスの1隻は操行不能になり、もう1隻もかなり破損した。薩摩藩主の大砲が我々の艦隊にどのような打撃を与えたのかはまだ伝わってこないが、犠牲者の数からして決して侮れないものではないだろうか。中国人であれば自分たちの街が炎上するより遥か前に逃げ出していただろうし、彼らの大砲は日本製に遠く及ばず、たとえ作れたとしてもごく最近のことだ。これこそまさに、我々が予測すべきことだった。暗殺の危機にさらされながらも長年日本に住んでいたR・オールコック卿は、日本の職人はシェフィールドやバーミンガム(の職人)と対等に競えるだけの能力があると断言している。日本人はまだアームストロング砲やホイットワース銃は生産していないが、ひとたびライフル銃を手にすれば、彼らは確実に模倣することができるだろうし、おそらく改良さえ加えてみせるだろう。今現在はこのような破壊的な機関を製造する才能は我々にとって喜ばしいものではないが、将来的にはこの類い稀な国の知能と信頼に対して我々は敬意をもって刺激を受けることになるかもしれない。例え長州藩主や薩摩藩主のような男たちに仕えていたとしても、日本が戦い上手になるほど、我々は日本との平和的かつ友好的な交流の可能性を諦めるべきではないのだ。

記事は、上記の内容以前に以下の様なことを書いているという。「長州藩主の無礼な行為については報復がなされた。だが列強四カ国が日本に今後もとどまるとすれば、この悪徳資本家のような連中に雇われている暴漢どもから、どのようにして同胞の生命や財産を守ればいいのだろうか。たしかにこうした悪大名の城を砲撃したからといって、死を恐れない日本人の攻撃から身を守ることは難しいかもしれない。しかし、やってみる価値はある。」・・・これは、列強同盟軍による武力行使の提言らしい。

上記の記事はそれに続くものらしいんだけど、いったいどんな記者がこの記事を書いたのだろう。1863年10月21日付だというが、日本は明治維新さえ迎えていない。なにしろ伊藤俊輔と井上聞多にしたって、ロンドンに留学する以前には、外国勢は「打ち払えばいい」とか、「殺せばいい」とか言っていたわけだ。

すでに“未開の地”への進出をはじめて300年のイギリス。その年月分の経験か。そう考えれば恐ろしい。まさしくこの時の日本が立ち向かおうとしているのは、その経験に裏打ちされた“力”に他ならないのだから。


    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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