『はじまりのブッダ』 平野純
『はじまりのブッダ』という題名で、「仏教について勉強しようと思ってたんでちょうどいいや」とばかりに、仏教入門書として手を出した人いる? もし、そういう人がいたらご愁傷さま、・・・失礼、おあいにくさま。こちら、仏教入門は仏教入門でも、初期仏教入門。ややこしいったらありゃしない。
著者は冒頭から、「マルクス派マルクス主義者だったか?」という有名な言葉によせて、「ブッダはブディストだったか?」という問を立てている。
そう、六世紀、日本に仏教が入って来て以来、幾多の僧侶たちがお釈迦さまの教えと信じてきた経典の大半が、実はお釈迦さまが亡くなってから生み出されたものだった。創作された経典だった。
・・・ということでこの本は、お釈迦さまと呼ばれる人物の口から語られた教え、そしてインドの宗教社会で危険な異端の烙印を押された男としてのお釈迦さまに迫ってみようという本。
釈迦が死んだ後、1000年の時間が経過している。北西部にはアレクサンドロスと共にギリシャが侵入した。セレウコス朝、パルティア、バクトリアと続く時代、ヘレニズムの文化をせき止める何はのもない。クシャーナ朝時代には仏教がヘレニズムに融合してガンダーラ美術が花開く。そう言えば観音さまとか弥勒さま、あの女性的魅力はヴィーナス?あるいはマリア?
大乗仏教が生まれたのもそのころか。ちょっと遅れて3世紀、インドらしさが求められるグプタ様式の時代。宗教でもバラモン教に土着の信仰、さらには仏教文化までが融合してより厚みを持ったヒンドゥー教に成長する。火を神聖視するゾロアスター教からギリシャ神話まで含めて、ごった煮にされた鍋のようなものが、そこにはあったのかな。なんか得体のしれない鍋だけどとても美味しくて、もしも名前をつけるとすれば、・・・背景に分厚い思索の体系を持つ・・・“仏教”としか言い様がない、そんな外国人まで納得させるような美味しい鍋。
ところがだ。いろんな複合的な味が出たその美味しい鍋に、日本はさらに手を加えた。インドだけに、カレーをだし汁で薄めて、さらにそこにミソを足して味を整えるとぉ、・・・はい、出来上がり。日本仏教。・・・あれっ、ブッダが入ってない?








一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
著者は冒頭から、「マルクス派マルクス主義者だったか?」という有名な言葉によせて、「ブッダはブディストだったか?」という問を立てている。
そう、六世紀、日本に仏教が入って来て以来、幾多の僧侶たちがお釈迦さまの教えと信じてきた経典の大半が、実はお釈迦さまが亡くなってから生み出されたものだった。創作された経典だった。
・・・ということでこの本は、お釈迦さまと呼ばれる人物の口から語られた教え、そしてインドの宗教社会で危険な異端の烙印を押された男としてのお釈迦さまに迫ってみようという本。
![]() | 『はじまりのブッダ』 平野純 (2014/08/18) 平野 純 商品詳細を見る ー初期仏教入門ー |
第一章 ブッダは輪廻を信じたか 最古の経典はブッダが輪廻を信じなかったことを教えている リンネは幻想にすぎない・・・これこそがブッダの出発点だった 第二章 ブッダは何者だったか ハーレムの歓楽の一夜、王子ブッダは妻子を捨てて宮殿から逃げ出す その後身を投じた苦行にも失敗した乞食修行者のブッダ。大いなる敗者復活への道 第三章 「異端」ブッダのライバルたち ブッダは古代インドの異端の教祖だった。 驚きの「暴論」「奇論」で火花を散らし合う知られざる異端思想家たちの実態とは 異端の聖者ブッダ誕生の舞台裏 第四章 ブッダは霊魂を信じたか 死後の世界は死んでみなければわからない ーブッダの徹底した現世至上主義は霊魂や神の有無の問題を議論の場から放逐した 懐疑主義者ブッダの素顔 第五章 「諸行無常」とはなにか 「諸行無常」は古代インドの墓場の死臭のなかでうまれた思想だった 平家物語ではわからないその誕生の秘密について 第六章 古代インドの「実証科学」 異端の王様パーヤーシは霊魂を探して犯罪者の体を切り刻む 霊魂の問題にとりつかれた王様の「実証精神」がもたらした奇怪な実験の数々 第七章 異端思想家サンジャヤの悲劇 な 異端のせめぎ合う時代を代表するユニークな論法 ブッダに弟子を奪われて「熱い血を吐いた」伝説の思想家サンジャヤの「うなぎ論法」の真実 第八章 異端ブッダの死 ブッダの死を聞いて「うるさい男がやっと死んでくれた」といい放った一人の弟子がいた 「諸行無常」を地でゆく異端の師ブッダの末路とは |
大乗仏教が生まれたのもそのころか。ちょっと遅れて3世紀、インドらしさが求められるグプタ様式の時代。宗教でもバラモン教に土着の信仰、さらには仏教文化までが融合してより厚みを持ったヒンドゥー教に成長する。火を神聖視するゾロアスター教からギリシャ神話まで含めて、ごった煮にされた鍋のようなものが、そこにはあったのかな。なんか得体のしれない鍋だけどとても美味しくて、もしも名前をつけるとすれば、・・・背景に分厚い思索の体系を持つ・・・“仏教”としか言い様がない、そんな外国人まで納得させるような美味しい鍋。
ところがだ。いろんな複合的な味が出たその美味しい鍋に、日本はさらに手を加えた。インドだけに、カレーをだし汁で薄めて、さらにそこにミソを足して味を整えるとぉ、・・・はい、出来上がり。日本仏教。・・・あれっ、ブッダが入ってない?


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