『地図から消えた地名』 今尾恵介
この少子化から、埼玉県でも公立高校が余っていくつか潰された。まあ、いろいろな要因があるだろうけど、生徒募集がままならず、毎年毎年定員割れしているような学校が対象になった。潰される学校は、大抵があとから始まったところで、「十五の春は泣かさない」とかっていう浪花節で開校した学校が潰れていった。地域の期待と負担をになって始まった高校だから、潰すのにも色々と気を使う。「決して潰すのではありません、ちょっと離れたあちらの学校との合併です」などという小賢しい手が使われた。その証明として、“合併”の対象とされた学校も、元の名前を名のることは出来ず、慣れ親しんだ校歌も校章も変えられた。
ちょっと離れたところにあった吉見高校は定員割れ常連校で、ずいぶん前から閉校が噂されていた。それが現実化したとき、“合併”の相方に選ばれたのが滑川高校。今は滑川総合高校と呼ばれている。 吉見高校の伝統とともに、滑川高校の伝統も、そこで終わった。何やってんだろうと思ったよ、当時。・・・私、馬鹿は嫌いよ・・・
私が住んでいる埼玉県東松山市。私は新住民だけど、地元の人間はみんな“松山”と言っている。この本のなかでも出てくるんだけど、松山という城下町は全国に五つあったという。伊予松山、武州松山、備中松山、和州松山、出羽松山。他の松山と混同しないように・・・という理由だったらしいけど、過去に同名で混乱した事例があったらしい。なんでも、福島県若松市と福岡県若松市の間で・・・。
でも、混乱ってなんだ? 郵便物が・・・なんてことなら、工夫次第でなんとでもなるだろうに。あとは?先に名乗った方があとから名乗られることを嫌がってケンカになる?たしかに、“イヤ”っていう気持ちもわからないでもないな。大したことないように思うけど・・・。他にある?混乱って?
うわっ❢ ・・・静岡市は、もとは府中だったんだって。府中はずいぶんたくさんありそうだけど、その府中が静岡市になったのは、音が「不忠」に通じるっていうのも理由の一つだって。いま、府中市を名のるのは二つ。東京都と広島県。これは市名の登録がほぼ同時に行われて、どっちを選ぶというわけにもいかなくなったらしい。
“まえがき”にある。『地名は文化遺産』。それにしちゃあ、明治以降、ずいぶん軽く扱われてきたもんだ。最近は世界遺産ブームで、「いいんじゃないの、なにも世界遺産にならなくたって」っていうものもある。「多くの人の努力が背景にある」なんて言われると文句付けられないけど、何が一番大事なんだろ。昔からの地名はいらない?
この本は北海道から九州沖縄まで、地図から消えた地名のその理由と背景を簡単に解説したもの。言及している地名はおよそ四百。四百だよ。ものすごい❢ まんべんなく興味があるわけじゃないから、興味のある部分・・・、地元とか・・・を拾い読みしたけ。しっかり読んで、その理由や背景を分類すれば、また違う角度から面白い本になりそう。きっと、著者はそうしてるだろうと思う。そういう本を探してみようっと。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
ちょこっと関係した学校があって、滑川高校といった。野球ファンには覚えのある人もいるかも知れない。甲子園に出てるんだよね、この学校。読み方は“なめりがわ”じゃなくて、“なめがわ”高校。 “なめりがわ”市と違って町だし、それに音が違うからこの町名のまま生き残ったのかな。そういえば、あの時の活躍で、後に阪神に入団した久保田が、今年で引退するらしい。 | ![]() |
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でも、混乱ってなんだ? 郵便物が・・・なんてことなら、工夫次第でなんとでもなるだろうに。あとは?先に名乗った方があとから名乗られることを嫌がってケンカになる?たしかに、“イヤ”っていう気持ちもわからないでもないな。大したことないように思うけど・・・。他にある?混乱って?
うわっ❢ ・・・静岡市は、もとは府中だったんだって。府中はずいぶんたくさんありそうだけど、その府中が静岡市になったのは、音が「不忠」に通じるっていうのも理由の一つだって。いま、府中市を名のるのは二つ。東京都と広島県。これは市名の登録がほぼ同時に行われて、どっちを選ぶというわけにもいかなくなったらしい。
“まえがき”にある。『地名は文化遺産』。それにしちゃあ、明治以降、ずいぶん軽く扱われてきたもんだ。最近は世界遺産ブームで、「いいんじゃないの、なにも世界遺産にならなくたって」っていうものもある。「多くの人の努力が背景にある」なんて言われると文句付けられないけど、何が一番大事なんだろ。昔からの地名はいらない?
考えてみれば、平安時代の人たちが口にした地名を現代人が日常的に使っていることは、実は大変なことではないだろうか。地名を媒介にして過去と現在が結びつくのである。地名なしに歴史は存在しない。そのような大切な存在を後世に伝えていくことは現代人のつとめではないかと思う。 本書P1より |


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