『負けるはずがなかった! 大東亜戦争』 倉山満
これ言うと、いつも引かれてしまうんだよね。“世界を敵に回して敗れたあの戦争の反省は・・・”ってことに関してなんだけど、「もう二度と、戦争には負けない」。
だって、「もう二度と、戦争はしない」っておかしいでしょ。誰が、好き好んで戦争なんかするか。アメリカの軍産複合体は別にして・・・。それこそ先帝の、そして明治帝の、『四方の海 みなはらからと 思ふ世に など波風の 立ちさわぐらん』だ。「しない」つもりでも、やってくるんだよ、戦争はさ。巨大津波に、“想定外”って言ってた奴らとおんなじだ、それじゃあ。
もちろん、イギリスを対照としなければあの戦争はわからないという本質は踏み外してはいない。だけど、ロシアの視点を持たないとあの戦争が理解できるはずがない。ロシアこそがあの時、世界の鼻面を引き回したのだから。そして社会主義こそが、あの戦争の勝者なのだから。
あの戦争はわかりづらい。なんで、日本とイギリスが戦争するの?なんで、日本とアメリカが戦争するの?なんで日本が負けなきゃいけないの?この本ほど、そのことに焦点を当てた本はなかったかもしれない。
まとまってないのに変なことを言ってなんだけど、戦間期って世界が狂ってたよね。なぜ狂ったかって、やっぱりロシア革命だろう。キリスト教的救済の必然性が弱者のルサンチマンをあおったように、貧しき者たちの目の前に、食えば楽して豊かになれるという人参がぶら下げられた。
『資本論』や『共産党宣言』は、マルクスによる福音書、エンゲルスによる福音書。レーニンは黙示録の世界で、スターリンや毛沢東は、現世に解き放たれた地獄からの使者。奴らはルサンチマンを餌にして膨れ上がり、負けるはずのない、滅びるはずのない日本を手玉に取った。日本は地獄に突き落とされた。第二次大戦やその後のスターリンや毛沢東の支配は地獄そのもの。ロシア革命はそういう奴らを見境もなく解き放っちゃったんだ。
この本みたいに、身悶えするように、敗戦の歴史から何かをつかみとろうとする著者のような姿勢は尊敬に値する。私も少しでも近づきたいと思うからこそ読むのだが、それでもそこにあるのは魑魅魍魎の世界。追い求めた先には理解の外が待ち受けていることも覚悟のうち。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
だって、「もう二度と、戦争はしない」っておかしいでしょ。誰が、好き好んで戦争なんかするか。アメリカの軍産複合体は別にして・・・。それこそ先帝の、そして明治帝の、『四方の海 みなはらからと 思ふ世に など波風の 立ちさわぐらん』だ。「しない」つもりでも、やってくるんだよ、戦争はさ。巨大津波に、“想定外”って言ってた奴らとおんなじだ、それじゃあ。
この間読んで、ここでも紹介した右の本。今回読んだ『負けるはずがなかった❢大東亜戦争』と時代的には完全に重なっている。日本人はアメリカを対照にこの戦争を考えがちだけど、『大間違いの太平洋戦争』はイギリスを対照にしなければ本質は見えないと訴えた。 今度の本は、ロシアの目を取り入れている。各所に“ロシアからみた日本”、“ロシアからみた世界”、“ソ連からみた日本”、“ソ連からみた世界”というページがある。 |
あの戦争はわかりづらい。なんで、日本とイギリスが戦争するの?なんで、日本とアメリカが戦争するの?なんで日本が負けなきゃいけないの?この本ほど、そのことに焦点を当てた本はなかったかもしれない。
![]() | 『負けるはずがなかった! 大東亜戦争』 倉山満 (2014/08/04) 倉山満 商品詳細を見る なぜ、これで負けるの? |
第一章 世界最強だった帝国陸海軍を指導した明治の元老
第二章 「外務の頭脳硬化、度し難し」の時代へ
第三章 バカとスパイが踊った支那事変
第四章 英霊たちを無駄死にさせた大東亜戦争
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『資本論』や『共産党宣言』は、マルクスによる福音書、エンゲルスによる福音書。レーニンは黙示録の世界で、スターリンや毛沢東は、現世に解き放たれた地獄からの使者。奴らはルサンチマンを餌にして膨れ上がり、負けるはずのない、滅びるはずのない日本を手玉に取った。日本は地獄に突き落とされた。第二次大戦やその後のスターリンや毛沢東の支配は地獄そのもの。ロシア革命はそういう奴らを見境もなく解き放っちゃったんだ。
この本みたいに、身悶えするように、敗戦の歴史から何かをつかみとろうとする著者のような姿勢は尊敬に値する。私も少しでも近づきたいと思うからこそ読むのだが、それでもそこにあるのは魑魅魍魎の世界。追い求めた先には理解の外が待ち受けていることも覚悟のうち。


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