めんどくせぇことばかり 『ルーズベルトの開戦責任』 ハミルトン・フィッシュ
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『ルーズベルトの開戦責任』 ハミルトン・フィッシュ

《訳者まえがき》だけを読んで確信した。この本は、おそらく私にとって、今年一番の本になる。あの戦争の全体像が垣間見えた。それにしても・・・。

時代が人を生むのであれば、あの時代はいったい何だったのか。アドルフ・ヒトラー。ヨシフ・スターリン。フランクリン・ルーズベルト。毛沢東。あまりにも下種な人間性と、とてつもなく高い政治能力を兼ね備えた、・・・こういうのを兼ね備えたというかどうか・・・、とにかく政治能力だけを肥大化させるために、他のあらゆる精神的機能を放棄したかのような化け物を生み出した時代って、いったいなんだったのか。

しかし、彼は自重した。母国アメリカが世界各地で共産主義勢力と対峙している現実を前にして、すでに世を去っていたとはいえ、自国のもと大統領の外交の失敗を糾弾することはできなかった。

長い沈黙の末、彼がようやくその怒りを公にしたのがこの書である。上梓された一九七六年は、真珠湾攻撃からすでに三十五年が過ぎ、ルーズベルトの死からも三十一年が経っていた。フィッシュ自身も既に八十七歳の高齢であった。世を去る前に本当のことを書き残したい。その強い思いで本書を出版したのである。
《訳者まえがき》本書P10~11

著者は、アメリカを参戦に導いたフランクリン・ルーズベルトの政治手腕を、例えてこう言っている。《天使も涙するほどの手口》・・・と。

『ルーズベルトの開戦責任』 ハミルトン・フィッシュ『ルーズベルトの開戦責任』 ハミルトン・フィッシュ
(2014/09/11)
ハミルトン フィッシュ

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ー大統領が最も恐れた男の証言ー

そう、ダンツィヒはもともとプロイセン領。そこに暮らす九〇%の住民はドイツ系。民族自決という悪魔を地獄から招き寄せたウッドロー・ウィルソンは、ここダンツィヒにだけは悪魔を近づけなかった。めちゃくちゃだ、このおっさん。

ヒトラーが、というよりもドイツが、ダンツィヒの帰属を問題にするのは当然の成り行きだ。ドイツの底力から考えれば、英仏、さらには米は、ここであまりにも敗戦国ドイツに対して過酷すぎたベルサイユ条約の修正に乗り出すべきだった。実際に、これよりも前の段階で、英首相のネヴィル・チェンバレンは修正に動いた。ドイツ系住民が多数を占めるチェコスロバキア領ズデーテンの帰属をめぐる問題が発生した時で、ミュンヘン会談によって、ズデーテンはドイツに譲渡された。

たしかにこの頃のドイツは目を東に向けている。英仏にすればさして危険と感じられる状況にはない。ドイツがダンツィヒとポーランド回廊を要求したのが一九三九年の三月二一日、大戦勃発の五ヶ月も前。英仏にしてみれば、さまざまな決着の道があったはずだが、結局はベルサイユ体制の修正の道を選択しなかった。頑ななポーランドの姿勢の背景に、ヒトラーは英仏を感じたはずだ。その姿勢がドイツを独ソ不可侵条約に走らせた。
ヨーロッパは、あえて二度目の大戦の道を進んだ。

そこにニューディール政策の失敗による経済的打撃に沈み、そこからの脱出の糸口を掴みたいルーズベルトが目をつけた。しかし、すでにヨーロッパでの第二次世界大戦が始まっていた一九四〇年の大統領選挙では、他の大統領候補と同じように、ルーズベルトも次のように語っていたという。
私はこれまでも述べてきたように、そしてこれからなんどでも繰り返すが、あなた方の子どもたちは外国の地での戦争に送り込まれることは決してない。(一九四〇年十月三十日)
本書P3
《訳者まえがき》にあるように、ルーズベルトは身動きがとれない状況にいた。その一年と一ヶ月後、日本がアメリカ本土を攻撃して、アメリカ参戦の道が突然開かれる。


    

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No title

こんにちは、

本当のところルーズベルト(最新の記事でも触れておられますが)は当時どの程度情勢を読めていたんでしょうか?
この人はヨーロッパ、アジアどちらの現状に対する理解も近未来予想もほとんどできていなかったような気がしています。
もちろん政治屋としての立場があるので知っていて知らん振りをしていたのかもしれないですが。

日本が世界の覇権をなんてことでも言い出せば話は変わりますが当時の日本とアメリカで住みわけるというのは可能だったと思います。まあアメリカとしてはそうもいかなかったのでしょうが。

ルーズベルトが随分な量の世界の社会資本を破壊し本来なら流す必要のない血を(自国民も含め)多く流させたんだと思っています。

とかく毛沢東が6000万人殺したなんていうことが強調されますが、独裁者ではなく民主的な手続きで選ばれた政治家による判断で流れた血の量も再審に付していいように思います。荒い言い方をすると流血量と得られたもの(費用対効果)を算定するときっとアメリカは無駄によく血を流す(自国も他国にも)国の上位ですよ(笑)

MK さま

あの時代で、誰か一人だけ“消す”事ができるとすれば、消さなきゃならないのはヒトラーでも、スターリンでも、毛沢東でもなくて、ルーズベルトかな。

ヤルタで東欧をスターリンに譲り渡したこと、スターリンの満洲突入を許し支那を譲り渡したことは、その後のアジアの共産化を促進し、その流れは西アジアにも及んだ。

日本がアジアで体を張ってスターリンの拡大を阻止してたのに、その日本をくじいたんだからね。

朝鮮戦争も、ベトナム戦争もその代償でしょ。

人類社会が冷戦時代なんて下らないものを経験しなきゃいけなくなるのも、FDRのおかげ。

No title

今日は、私も先生のご意見に一票です。
ルーズベルトがいなければその後に出てくる害悪の相当程度はでてくることができなかったですからね。

MK さま

「カサブランカ会談で日独伊の無条件降伏を確認」

これってチャーチルは賛成してなかったみたいね。支持率維持するためには空前の好況の維持が必要。
空前の好況のもとは軍事産業。
軍事産業を維持するためにはなんといっても、日独に簡単に降伏してもらっちゃ困るのよ。

ウヒヒヒヒ、そう簡単には降伏なんてさせてやらないんだも~ん

おそろしい奴。
まさしく悪魔。
よく、「どうして日本はもっと早く降伏しなかったのか」っていう人がいるけど、悪魔相手に戦ってるのに、簡単に降伏なんてね。
させてくんないのよ。

ありがとうございました



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人生に必要なもの、一人の女性、一人の親友、一つの思い出、一冊の本。
その一冊。
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


















































































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