おらが方じゃこうだよ 『地獄極楽 絵本』 諸橋精光
嬉しい事がいっぱいあることはとてもいいことで、小さなことでも嬉しいって思えることはそうじゃない人より嬉しさの総量は大きくなる。じゃあ、こわいことは・・・、こわいことがいっぱいあることは、逆に悪いこと?
闇、・・・子供の頃にはたくさんあった闇。闇こそがこわさの象徴だった。悪いことをして、真っ暗な夜の小屋に放り込まれたことがあった。・・・あんなこわさ、あの時以来経験していない。
闇、・・・子供の頃にはたくさんあった闇。闇こそがこわさの象徴だった。悪いことをして、真っ暗な夜の小屋に放り込まれたことがあった。・・・あんなこわさ、あの時以来経験していない。
嘘をつくと舌を抜かれる。悪いことをすると地獄に堕ちる。それが子供の頃の真実だった。それは、悪いことをすればいつか自分に返ってくるなんて言う歯の浮いた教訓とは違う、もっと生々しい恐怖だった。でも、その場その場の言い逃れのために私は嘘をついて、その分ちゃんとした人にならなきゃと思った。
土葬をしてたんだよね。そんなにきちんと覚えてるわけじゃないんだけど・・・。しばらくすると棺桶が腐って、そこの土が陥没して、その頃になったらもう一度掘り返して、遺体を埋葬し直すんじゃなかったかな。
そんな墓に肝試しに行くんだ。両側から樹木が覆いかぶさるように茂った細い道を通ってさ。子供の頃の私の故郷は、まだまだ街灯なんてなくてさ。ろうそく一本持って、順番に石をおいてくる。次のやつが持ってくる。本当に怖かった。そんなときに限って、どっかから念仏が聞こえてくるんだ。
最近のうちの方の葬式では、先に遺体は火葬する。葬式はそれから・・・。だから身内は早くから集まって、全部片づくのは遅い時間だな。そうそう、お経が始まって最初のうちは、右のかんむりを頭にまくんだ。死んだ人じゃないよ。身内の人間がさ。 | ![]() |
受付では参列者の目の前で香典の中身確かめるからね。昔からのやり方なんで勘弁してね。焼香だけで帰る人もいるけど、それ以外の人は「ともに立つ」といって、最後の精進落としまでつきあう。精進落としではかなり飲むからね。びっくりしないでね。
![]() | 『地獄極楽 絵本』 諸橋精光 (2014/09/11) 諸橋 精光 商品詳細を見る わがこころの闇のなかにも、ときに光がさすことが・・・ |
私の故郷、秩父の葬式は厄介でね。まだ終わんないんだ。この後、うちに戻って、またいっぱい飲んで、それから・・・。よく分かんないんだけど、信心深そうなおばさんを中心にして始まるのが、“念仏”。よく分かんないんだけどね。あの世に向かう亡者となった故人は、途中、のどが渇いて渇いて大変なんだとか。その故人のために、念仏を唱えながら、水を組んでは故人に供え、すぐ次の人に変わって、コップの水を切って、また供え直すんだ。
これがさぁ。終わらないんだ。なんでも昔は夜通しやってたとか。あの世に行った故人を思ってみんなで夜通し水を汲んだんだって。死んでも、まだ身近に感じていたんだな。
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