めんどくせぇことばかり 『逆説の日本史 21』 井沢元彦
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『逆説の日本史 21』 井沢元彦

この二十一巻で、ようやく江戸時代が終わる。長かったなぁ。江戸に入ったのが十二巻だから、江戸だけで十冊目。幕末だけで四冊目だもんね。そりゃそうだよね。歴史というのは、煎じつめれば“今”を知ること。“今”を知ろうと思えば、一番近い過去の検証に時間をかけるのは当たり前。

“今”は二〇一四年。もうすぐ年が改まっちゃうけど・・・。一八六八年から二〇一四年までに、作者は一体どれだけの紙面を割いてくれるだろう。それにしたって井沢さんは一九五四年の生まれ。お願い、百まで生きて・・・。でも、そしたら、こっちが先に終わるだろうなぁ。・・・ああ、悩ましい・・・

『逆説の日本史 21』 井沢元彦『逆説の日本史 21』 井沢元彦
(2014/10/24)
井沢 元彦

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ー幕末年代史編4 高杉晋作と維新回天の謎ー

第一章 明治維新まであと3年 一八六五年編  “犬猿の仲”薩長を接近させた坂本龍馬の秘策
第二章 明治維新まであと2年 一八六六年編  天才高杉晋作とミニエー銃が帰趨を決した「四境戦争」
第三章 明治維新まであと1年 一八六七年編  孝明帝の死と「倒幕の密勅」の衝撃
第四章 明治維新成る      一八六八年編  江戸百万の人々を救った慶喜の「大功績」
一八六五年からの三年間を考えても、本来幕府が滅ぶなんてありえなかったんだな。私たちは、歴史的事実として“一八六八年に江戸幕府が滅んだ”っていう知識を前提にしてるから、江戸幕府が滅ぶにいたる数々の奇跡、または奇跡につながってしまった偶然を見逃すことになる。

あそこで家茂が死ぬか?家茂の死に上回るのが孝明帝。あそこで亡くなるか?井沢さんは岩倉具視暗殺説は否定しておられるが、故意に宮中に天然痘を持ちこんだ者がいる可能性は否定していない。

高杉晋作の天才性や、坂本龍馬の成し遂げる力には目を見張らされる。それにしても都合よく死にますよね。いったい誰にとって都合よく?やはり残った者たちにとって・・・。誰かが言ってたけど、一八六八年を越えて政治に携わった連中はくずばかり。いいやつはそれ以前にみんな死んだと。あながち間違いとも言い切れないんじゃ。 

でも、それらの奇跡や偶然以上に大きな役割を果たしたのは、やはり“長州の狂気”と“武士の風上にも置けない慶喜という存在”。

長州は狂ってるよ。その長州が明治政府の主体になるのは、いくつかの奇跡と、幾人かの天才と、数多くの死のおかげ。実際、彼らに日本を背負う資格があるか?そんな命題、いまさら邪魔なだけだけど。井沢さんは会津藩に手厳しい。
会津藩主松平容保は本物の武士である。少なくとも慶喜と比べれば、「月とスッポン」の違いがある。念のためだが、言うまでもなく「スッポン(下の下)」は慶喜の方である。
とは言うものの、政治家としては「慶喜の方が容保より上」ともいう。彼の決断が“藩士や領民を苦しめた”という点からすれば、たしかにそうも言える。でも、相手が薩長じゃなけりゃ、ああはならないでしょ。世良修三みたいなやつじゃなきゃ、そんな決断すらないでしょ。新政府とのつながりのある神保修理を切腹させたこと、薩摩と親しい秋月悌次郎を身分が低いと追いやったことを取り上げ、それは《いったいどこの藩だったか》と、井沢さんは手厳しい。だけど、何度も言うけど、相手は薩長なんだよ。

もう一つが慶喜。ったく、慶喜って言う存在が家茂にどんだけストレスを与えたか。鳥羽・伏見から逃げ帰った慶喜の命乞に静寛院も天璋院も切腹を進めたとか。・・・当たり前か。

井沢さんは、この長州と慶喜に“結果オーライ”を出す。私はそうは思わない。薩長は、人の生きる道として“武士”を捨てた。“武士道”が受け継がれているかのように見えるけど、それは歴史の主流ではない。主流の中に“武士道”があるはずがない。そのことが日本をどれだけ歪めたろうか。それが日本のあの悲劇的敗戦につながっていないか。やがて『逆説の日本史』も、その辺の話につながっていくんだと思う。楽しみだな。・・・元気で長生きするぞー

傍流から流れ込む水が、日本の救いである。傍流の流れが集まって、流れを清められればいいな

最後の最後、この本の中でも最後の最後、“あとがき”の一番最後の文章を紹介して終わります。
ところで、私は朝日新聞に対して何十年も批判を続けている。朝日は自分たちを「戦前体制への糾弾者」と位置づけているが、実際にやっていることは、従軍慰安婦報道を見れば分かるとおり「目的が正しければ嘘の情報を流しても構わない、それで被害を受けた人がいても謝罪する必要はない」ということで、これは戦前の軍部とまったく同じ姿勢である。そことに気がついていないのは滑稽という他はないが、なぜそうなのか理由はお分かりだろう。「日本の歴史を知らない」からである。
私はこれを、本書本編の内容と無関係とは思わない。


    

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テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

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初めまして

初めまして。
拙ブログにお越しいただきありがとうございました。

ご紹介の本の”あとがき”の内容が非常に痛快でしたので、
思わずコメントいたしました。
全くもって井沢氏の言う通り、と思います!

『逆説の日本史』はこれまでパラパラ読みで来てしまいましたが、
貴ブログの記事を読み俄然興味が湧いてきました。
ご紹介ありがとうございました^^

まーさん さま

そう言って頂いてとってもうれしいで~す。

今後ともよろしくお願いしま~す。

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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