めんどくせぇことばかり 『「朝敵」と呼ばれようとも』 星亮一編
FC2ブログ

『「朝敵」と呼ばれようとも』 星亮一編

「朝敵」というだけなら広範囲に渡るが、舞台はあくまでも“維新”。この本は“維新史”ということですね。しかも、「朝敵」と呼ばれた者たちの“維新史”だから、反薩長の“維新史”。薩長全否定では、もちろんありません。でもね。薩長それぞれが、腐臭にも似た胡散臭さを持っているのも事実。より強い腐臭を放っていたからこそ幕府は倒れたのも、また動かしがたい事実。佐幕諸藩でも、事情は同様。でも、そのなかにも数多くの美しいものがあった。武士道と呼ばれるものもその一つ。圧倒的に不利な状況にあった薩長が、最終的に勝者のなることができたのは、武士道を含む江戸時代に培われた美しいものを、放棄したから。

薩長の卑劣と慶喜の卑怯。結果オーライという人もいる。のちに、差別主義者の白人に国土を踏みにじられる羽目になって、どこがオーライなのかよくわからない。

とにもかくにも、薩長が中心になって明治は始まった。明治は、その核の部分に腐臭を放つみっともなさがある。その後、徐々に傍流が取り入れられて明治の流れは少しずつ澄む。でも、核の放つ腐臭が変わらなかったのは、陸軍や海軍、帝国陸海軍に顕著。それでも“日本”が後世に残されたのは、傍流によってもたらされた“美しさ”が、敗戦に至るあちらこちらで発揮されていたから。

傍流によって受け継がれた、日本らしい“美しさ”とは、維新のあの時、「朝敵」と、薩長やそちらに寝返った連中から罵られながら、踏ん張った彼らの記憶が残っているから。

これまでこのブログ読んでくれてる人はお分かりでしょうが、私、この手の本が好きです。

『「朝敵」と呼ばれようとも』 星亮一編『「朝敵」と呼ばれようとも』 星亮一編
(2014/11/01)
星 亮一

商品詳細を見る

ー維新に抗した殉国の志士ー

この間読んだ『逆説の日本史21』で著者の井沢さんが言ってた。

『会津藩主松平容保は本物の武士である。少なくとも慶喜と比べれば、「月とスッポン」の違いがある。念のためだが、言うまでもなく「スッポン(下の下)」は慶喜の方である』

だけど、スッポンによって救われたものもあるっていう考え方もある。これも結果オーライ?

卑劣と卑怯の絡み合い。鶴田浩二じゃないけど、《何から何まで 真っ暗闇よ筋の通らぬ ことばかり右を向いても 左を見ても馬鹿と阿呆の 絡み合いどこに男の夢がある》って言うのを地で行ってたのが幕末。それでもってわずかに“男の夢”を見せてくれたのが、この本に名前を連ねる人たちということかな。そんでもって、流されはしたものの、多くの日本人は、本当はこの人たちの方が好きだった。
 
戊辰戦争研究会というのがあるそうで、この本はその会員や関係者の作品集という趣だそうです。ちょっと硬い傾向はあるけど、さすがは研究者、知らない人物もいたし、新たな興味をかきたてられました。

“あとがき”で、本編で《春日左衛門~知られざる英雄》をかいた‘あさくらゆう’さんが書いています。
この本に出て来る彼らはそんな狭い怒りだけに立ちあがったのであろうか? その答えは否、と言いたい。そのような狭隘な感覚なら、彼らは一廉の人物にはなれなかったであろう。つまり、彼らの敵、脅威は海外であり、アジア各国が侵略された事実に一丸となって抗した、つまり『攘夷』と言えよう。

どうやら、私が一廉の人物になれないのは、“狭隘な怒り”を脱しきれていないことが、原因の一つであるらしい。・・・一つね・・・、私の場合には二つも三つも四つも五つもあるけどね。


    

にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

充分に『脱』しておられると思いますが・・・

お早うございます
>傍流が取り入れられ明治の流れは少しづつ澄む
まさしく、その通りだとおもいます
言い回しも大好きです
昨日馴染みのお肉屋さんにいくと
26日に「会津の馬刺」が入るとの事でした
お国の連綿はあらゆる事柄に顕れております
にしても
イーグルスさんにはいつも教えられます
お国は一枚岩ではないのですね

ウナ さま

“濁れる水の流れつつ澄む”
山頭火のパクリです。
明治政府相手に戦ったよしみで、私は秩父の豚の味噌漬けにでもしましょうかね。
小鹿野のコンニャクをつけても、会津の馬刺しには対抗できないかな。

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


あなたにとって切ない歌とはなんですか?
いい歌はたいてい切ない。あるときふとそう気づきました。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事