『日本人はどう死ぬべきか?』 養老孟司✖隈研吾
でも、今度の『日本人はどう死ぬべきか?』 ・・・これはひどい。ひどすぎる。だってね。養老さん担当の第1章で言っちゃってるんですよ。『自分の死を考えてみても、それは無駄の典型ですよ』って。そういう人が《どう死ぬべきか》って本を出しちゃいけないよね。『無駄だ❢』って、自分で言ってるんだから。
![]() | 『日本人はどう死ぬべきか?』 養老孟司✖隈研吾 (2014/12/11) 養老 孟司、隈 研吾 他 商品詳細を見る ーどう生きるべきかー |
|
まったく、ポンポン話が飛ぶんだ。めったに《死》について語る部分なんて出ちゃこない。そんでもって、隈さん担当の第6章冒頭に、『話題は四方八方に飛び、どこに「死」の話があるのかと怒られそうですが、その点はどうぞお許し下さい』って謝ってる。まあ、悪いと思ってるみたいだから、いいだろう。許してやろう。・・・おそらく、養老孟司は“あっかんべー” だろうけどな。
それでも、《死》を想定した住宅の話は面白かったな。昔は自宅で葬式を出したからね。私のところもそう。父母、祖父母を死んだ順に並べると、祖父、祖母、母、父と並ぶが、母までは自宅で葬式を出した。たしかにそういうことができる家の構造になってたよね。玄関から居間があって、そこに並んで二部屋をぶち抜いた正面に祭壇を設ける。方丈さまの立派な座布団の後ろに貧相な座布団敷き詰めてね。二部屋に並んで縁側があって、その外に立って手を合わせる人もいたっけ。
母が死んだのは真夏。葬式の日は三十五度を超える日で、暑かったなぁ。方丈さまがビールがぬるいって文句言ってたっけ、生臭坊主が・・・。
今風の住宅じゃ、葬式出せないもんね。マンションなんて、もってのほか。・・・死がどんどん遠ざかっていきますね。・・・本当は、どんどん近づいてきているのにね。馬鹿だよね。
話があっちに行ったり、こっちに行ったりしながらも、養老さん、すごい。何の脈略もなく、唐突に結論が・・・。ほとんど隈さんの『日本人の死生観に見事につながりましたね』っていう合いの手がなければ、読み飛ばしてしまいかねないところ。『うるせぇ、ほかに住むところがないんだよ。しょうがねぇじゃん。火山なんだから時々噴火もするよ。だから俺たち温泉に入れるわけだし』・・・だってさ。
この本、きっとしばらくすると、なにが書かれていたか思い出せなくなるだろうな。でも、とても面白い本だった印象は、ずっと残るに違いない。


- 関連記事
-
- 『日本人はなぜ「小さないのち」に感動するのか』 呉善花 (2015/03/16)
- 命は自分のもの?(覚書)『日本人はなぜ「小さないのち」に感動するのか』 呉善花 (2015/03/13)
- 『日本人はどう死ぬべきか?』 養老孟司✖隈研吾 (2015/03/03)
- 『全国ビジュアルガイド 日本の神社 完全名鑑』 (2015/02/28)
- 『昔ばなし』 古川のり子 (2015/02/17)