めんどくせぇことばかり 石川郎女(覚書)『天皇家と古代史十大事件』 関裕二

石川郎女(覚書)『天皇家と古代史十大事件』 関裕二

大津皇子
天武天皇の第三皇子。母は天智天皇の長女である大田皇女。鵜野讃良皇女は大田の同母妹で、ともに大海人皇子の妃となる。大伯皇女と大津皇子をもうけるが、即位前に亡くなってしまう。これに伴って正妃の地位は妹の鵜野讃良にうつる。異母兄に高市皇子・草壁皇子、異母弟に忍壁皇子らがいる。山辺皇女(天智天皇の皇女)を娶り、粟津王をもうける。『懐風藻』によれば大津は身体容貌ともに優れ、幼少時は学問を好み、博識で詩文を得意としたが、長ずるに及び武を好み剣に秀でたという。

六八一年、草壁が皇太子にたてられている。しかし、その二年後の六八三年には大津皇子に朝政をとらせているのだ。この本の中でも、このあたり、だいぶ疑問を呈している。そりゃ、そうだよな~。考えられるのは、草壁の立太子がなかったか、あんまり無能なんで、あるいは体が弱くて大津にチェンジしたか。草壁が皇太子の地位に就いたままで大津が朝政というのはないだろう。日本書紀は、ただ唐突に、『二月己未つちのとのひつじの朔に、大津皇子がはじめて朝廷の政務をおとりになった』と書いている。

ここから急激に律令が整えられていく。翌六八四年には八色の姓が制定され、六八五年には爵位六十階を施行。豪族私有の部曲を廃止し、公地公民制を推進した。その後、天武が倒れ、翌年六八六年九月に崩御する。
九月の戊戌の朔辛丑(四日)に、親王以下諸臣に至るまで、ことごとく川原寺に集い、天皇御病平癒のために、云々と誓願した。丙午(九日)に、天皇の御病はついに平癒することなく、正宮おおみやでお崩れになった。戊申(一一日)に、はじめて発哀が行われ、殯宮が南の庭に建てられた。辛酉(二四日)に南の庭に殯し、発哀した。このとき、大津皇子が皇太子に謀反を企てた。
(日本書紀巻第二十九)
日本書紀は、事のいきさつをそれしか語らない。明らかに隠したがっている。草壁が皇太子の地位にあり、天武の崩御に合わせて、皇位を狙って謀反を企てたのなら堂々と書けばいい。そう書けないのは、本書で著者が書いている通り、この時点において、草壁は皇太子ではなかったのでは・・・。

『天皇家と古代史十大事件』 関裕二『天皇家と古代史十大事件』 関裕二
(2015/01/07)
関 裕二おおあまの
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古代の謎は、藤原氏が歴史をゆがめたところに始まる
ちょっと、ネタばらしになってしまって申し訳ないんだけど、これは本書のほんの一部だからね。日本書紀はこのことに関して語ってないけど、万葉集は語ってるんだそうだ。
「大津皇子、密かに伊勢の神宮に下りて上がり来ましし時の大伯皇女の御作歌二首」
わが背子を 大和へ遣ると さ夜深けて あかとき露に わが立ち濡れし

二人行けど 行き過ぎ難き 秋山を いかにか君が 独り越ゆらぬ
伊勢斎宮で斎王を務めていた姉の大伯の歌だけど、伊勢に向かう行動は、東国に逃れて後に大逆転の勝利を収めた大海人の行動を思わせる。大津側にしてみても鵜野讃良側にしてみても、極めて重要になるこの大津の行動を、日本書紀はあえてなんにも書いてない。
「大津皇子の屍を葛城の二上山に移し葬る時に、大伯皇女の哀傷しびて作らす歌二首」

うつそみの 人なる我れや 明日よりは 二上山を 弟と我が見む

磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が 在りと言わなくに
大和盆地で一番目立つ二上山に埋葬したのは、鵜野讃良への当てつけだろうという。

このことについて、日本書紀が寡黙なのに対して、万葉集は饒舌であるという。万葉集のいたるところに顔を出す、恋多き女性、石川郎女。「石川郎女という存在によって、万葉集は何かを伝えようとしているのでは・・・」、著者はそう言う。そのへん、著者は「万葉集は何かしらの目的を持って書かれた“歌を使った物語”、あるいは“歴史を解くヒント”」と言っている。

それは何か。“石川”から連想されるもの、・・・それは“蘇我”。天智天皇は晩年蘇我氏を頼っていたという。《石川郎女》は天智天皇と思われる《久米禅師》の心変わり(裏切り)を心配するかのような歌を送ったりしている。

あしひきの 山のしずくに 妹待つと われ立ち濡れぬ 山のしずくに(大津皇子)

吾を待つと 君が濡れけむ あしひきの 山のしずくに 成らましものを(石川郎女)

《石川郎女》という名の“蘇我”は、明らかに大津皇子と引き合っている。さらに草壁皇子が、《石川郎女》にモーションを掛けてくる。

つまり、天武も頼りにした蘇我系の力を、天武朝において、草壁も頼りにしようとしたわけだ。だけどすでに、蘇我系は大津を支援していくと決めていたわけだ。

・・・どうだろう。状況証拠はそろったように思えるが・・・。





    




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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