『なぜか心ひかれる日本の奇妙な絶景50』
なんだ? 一体何なんだ、この光景は・・・。きれいとか、美しいとかっていうのとは、なんだかちょっと違う。きれいじゃないとか、美しくないわけじゃない。きれいだし、美しいけど、・・・同時に、どこかあやしい。この女にハマると、まかり間違うと身を持ち崩す。大雪山高根ヶ原の紅葉、南アルプス山麓のひまわり畑、北アルプスの白陵にたなびく鯉のぼり、中綱湖の妖艶なオオヤマザクラなんて、まさにそう。
この中には、人工物も収められている。五稜星の夢、地下神殿ともいうべき首都圏外郭放水路、引きづりこまれそうな梶ヶ谷隧道の美しすぎる赤レンガ。
それが、この本の中に取り上げられてた。日本の、50の奇妙な絶景の一つとして。20年ほど前か。武甲山の麓にある羊山と呼ばれる丘陵地に植え付けられた芝桜が評判になった。生前、父がその事業の一端に携わっていて、喜んでいた。
その光景と一緒になって、人間の力によって一つの山がこのように姿を変えた。おそらくこの写真を採用した人は、豊かな自然環境の中に確実に刻まれていった人の営みに「奇妙なまでの絶景」を感じ取ったんだろう。私は違う。ただ、武甲山。ああ、武甲山。
瀬戸大橋を見学した時、その橋脚の巨大さに驚いた。武甲山が削られていった理由が、身にしみた。そこに武甲山の神が分祀されているかのような思いさえした。
身を持ち崩したくなければ、妖しい女には近づかない方がいい。でもね、そうとは知らないうちに抜き差しならないところまで行っちゃってるからこそのいい女なんだよね。そんな絶景がいっぱいです。

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この中には、人工物も収められている。五稜星の夢、地下神殿ともいうべき首都圏外郭放水路、引きづりこまれそうな梶ヶ谷隧道の美しすぎる赤レンガ。
祭りの光景もやっぱりそうだよね。妖しく美しい。どうにも私には、夜の祭りにその傾向が強いように思えるんだけどね。その魅力に抗うのは不可能だ。宮古島の厄除け行事パーントゥ。飛騨古川の狐の嫁入り。 写真はこの本には乗ってないけど、私の故郷の祭りだよ。私たちは「お祭り」とか、「夜祭」って呼んでる。 | ![]() |
![]() | 『なぜか心ひかれる日本の奇妙な絶景50』 (2014/11/07) 渋川 育由 商品詳細を見る ーなんだ?これは・・・ー |
う~ん、確かにあるよね。妖しい美しさ。この本を手にしたのは、私のふるさとの山が載っていたから。武甲山という山なんだけど、石灰岩で出来た山でね。それが仇になって削られちゃいました。神さまの山なのに・・・。右の写真は、私が子供の頃の武甲山。写真には写ってないけど、もっと右手の方は一日二回の発破で結構削られてた。 | ![]() |
![]() | 正面北側斜面を削り始めたのは18歳の頃か。ちょうど秩父を出る年だった。その頃から、左の写真のように、武甲山はみるも無残な姿に・・・。でも、心のなかでは、最高の山なんだ。 |
その光景と一緒になって、人間の力によって一つの山がこのように姿を変えた。おそらくこの写真を採用した人は、豊かな自然環境の中に確実に刻まれていった人の営みに「奇妙なまでの絶景」を感じ取ったんだろう。私は違う。ただ、武甲山。ああ、武甲山。
瀬戸大橋を見学した時、その橋脚の巨大さに驚いた。武甲山が削られていった理由が、身にしみた。そこに武甲山の神が分祀されているかのような思いさえした。
身を持ち崩したくなければ、妖しい女には近づかない方がいい。でもね、そうとは知らないうちに抜き差しならないところまで行っちゃってるからこそのいい女なんだよね。そんな絶景がいっぱいです。


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