めんどくせぇことばかり 満州国演義8 『満州国演義9 残夢の骸』を読み終えて

満州国演義8 『満州国演義9 残夢の骸』を読み終えて

『満州国演義9 残夢の骸』 船戸与一『満州国演義9 残夢の骸』 船戸与一
(2015/02/20)
船戸 与一

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ー足掛け八年、全九巻の最終巻ー

作家が八年の歳月をかけて、全九巻の本を書き上げた。今、手元にある九巻が四五〇ページ強の本だから、全部で四〇〇〇ページを超えているだろう。こうなったら、まるで作家本人を読んでるようなものになってしまう。一時は、満州物のバイブルになりうるか・・・、とも思った。だけど・・・

九巻の大作だから、もったいぶって、その前に八巻を読んだ時の書いた記事を、先に紹介させてもらう。・・・え?なんだって?それで時間稼ぎをするつもりだろうって?・・・おっしゃる通りでございます・・・
第八巻はシンガポール陥落の二ヶ月後の一九四二年(昭和十七)四月から始まり、ドーリットル空襲、ミッドウェー海戦、ガダルカナルと戦いの転機を経て、日本が徐々に追い詰められていき戦いが終盤へ向かう時期の象徴的な戦いであるインパール作戦が悲惨な結末に終わろうとする一九四四年(昭和十九)五月までが描かれている。
 

『南冥の雫 満州国演義8』 船戸与一『南冥の雫 満州国演義8』 船戸与一
(2013/12/20)
船戸 与一

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日米開戦 ミッドウェー海戦でも勝利?

満州国国務院外交部政務処主任の長男敷島太郎、もと満洲馬賊で開戦後は東南アジア戦線で陸軍と行動を共にする次男敷島次郎、関東憲兵隊大尉敷島三郎、満映に勤務していたが関東軍特殊情報課軍属にかりだされた敷島四郎。兄弟たちはそれぞれ特殊な立場で戦争に人生を翻弄されていく。
 
日本にしてみれば、国を失うかどうかの戦争。負けたときに失うものを比べても、アメリカとの戦争はあまりにも割に合わない。常識的に考えれば誰でも分かること。本来、やる必要のない戦争に引きずり込まれた。負ければ国を失う(恐れのある)戦争なんて、白人世界にあり得るか?何が何でも勝たないわけにはいかない。やることは全部やる。そういう戦争になるのは避けられない。それでもきれいな戦争したでしょ、日本は。見事な負けっぷりも披露できたしね。この時代を対象にした文芸はまだまだ少ないけど、三百十万の戦没者を出した戦争だから“戦争に人生を翻弄される”なんて国民全員のことで、真新しいことでもなんでもない。

だからやっぱり、この物語の特異性は第一巻冒頭で会津戦争を描いたことにある。そこで、ひとりの会津武士の娘が官軍兵士に凌辱されるシーンがえがかれている。これがどう敷島四兄弟の人生に関係してくるか。敷島四兄弟それぞれの人生に共通して絡んでくる奉天特務機関中佐の間垣徳蔵とは何者か。兄弟や間垣の人生はどう会津戦争とつながっているのか。

著者は、この第八巻に至っても、それに応えてくれなかった。しかも、インパールの密林で敷島次郎は・・・。

第七巻を読んだときにも書いたけど、この戦争をどうとらえるかという点に関して、この物語には何の真新しさも感じない。そのとき書いた通りなんだけど、当時の日本という国家の持っていた未熟さ、日本政府の持っていた未熟さ、日本軍の持っていた未熟さが描き出されることは歓迎だけど、同時に書かれるべきことが書かれていないならば、“会津戦争”に関わる筋立てを日本の運命的戦争にぶつけて来る意味がいまいち理解できない。

すでに四四年五月、第九巻が最終巻となるだろう。ロシアが満洲へ入ってくる。そこで、第一巻冒頭から温存された謎は、いったいどのように解き明かされていくのか。もはや私の関心は、そこにしかない。





 


 


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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