めんどくせぇことばかり 広島の水害と“軽井沢”(覚書)『日本の地名 由来のウソと真相』 楠原佑介

広島の水害と“軽井沢”(覚書)『日本の地名 由来のウソと真相』 楠原佑介

「日本列島は“地名”の宝庫」と著者は言う。古代の国、郡、里名から現行の都道府県、市区町村名、大字、字、小字に至る小集落名まで。さらには山川・湖沼・海域・流域に無数の名称がある。さらに著者は、「それらに入らない俗称も無数ある」と言う。さらに、千数百年の歴史を、著者は“奥行き”という。

・・・そこまで考えると、自分の前にどうにもならないような巨大な壁が立ちふさがっているようにすら思える。その壁に対して、著者はまるで徒手空拳のように見える。だけど、つぼを心得た著者の地味~な攻撃によって、難攻不落のように思えた壁が、少しずつ崩れていく。そして本来の隠された真実を、私たちの前にさらけ出す。・・・面白いな~。地名の研究って。・・・自分ではやりたくないけど・・・。
『日本の地名 由来のウソと真相』  楠原佑介

河出書房新社  ¥1,512

あの土地・山・島・川・・・の呼び名本当のルーツ


二〇一四年八月二〇日未明、局地的集中豪雨を原因として、広島県広島市安佐北区、および南区の住宅地後背の山が崩れた。すさまじい土石流が朝の気配まだ遠い住宅地を襲い、家屋と言わず、人と言わず、すべてを飲み込んで押し流した。そのしばらくのち、たまたま松谷みよ子さんの『民話の世界』を読んだ。すぐに思い浮かんだのが広島の水害のことで、以下の記事は災害からおよそ一ヶ月後の九月二八日に書いている。

土砂災害 
74人が死亡した広島市の土砂災害から20日で1か月がたった。遺族や知人が現場で花を手向け、犠牲者を追悼したという。写真は瓦礫の撤去に当たる警察官がこの日の作業を始める前に黙祷を捧げる様子。

被災地は土砂災害の恐れのある場所だったという。 しかし、明治以降土石流被害の記録はなく、長い間、土砂災害警戒区域にも指定されていなかったという。広島県の基礎調査により、被災地の一つである八木三丁目は近く警戒区域に指定されるはずだったという。

『民話の世界』 松谷みよ子『民話の世界』 松谷みよ子
(2014/08/12)
松谷 みよ子

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語り継いできた祖先たちの世界
私の生まれた家は武甲山という山麓にある。山に祀られているのは龍神である。珍しくもなんともない。日本中に祀られている。『自然の脅威を龍神の怒りと見た人々の哀しい思い』と、著者の松谷みよ子さんは言っている。

町を襲う大洪水を鎮めるために黒龍のもとに嫁いだ黒姫の伝説。龍神の忠告を破って、龍神がふと明かした洪水を村人に教えたことで湖に浮かんだ琵琶法師の伝説。幼い娘のために小豆を盗んだ男が、その罪ゆえに人柱にされる話。これらの話がこの本にも紹介されている。
土地にまつわる話には、祖先の重い吐息が語りこめられたものが多い。昔話には野放図な楽しさや、民衆の知恵や、楽しい結末が多いのに、伝説はなんと悲しい話が多いのだろう。また「水との戦いの民話」というけれども、どこかでそれは、「水に耐える民話」になっているのではないか。琵琶法師の献身によって湯の山の人々は命を取りとめた。しかし、法師は死んでいく。黒姫の物語を人身御供としてみるとき、やはり誰かが犠牲になって水を鎮めようとしたのではないか。久米路橋に残る人柱の話はあまりにもむごい。

八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあくだに)

大規模な土砂災害に見舞われた広島市安佐南区八木三丁目の古い地名だそうだ。やがて「じゃらくじ」の音に上楽地の字が当てられて「じょうらくじ」と呼ばれるようになり、「八木上楽地芦谷」という時代もあったという。そして本来あった警告の意を失って安佐南区八木三丁目となる。不動産価値の問題から地名が変更されることも多いという。でも、祖先は伝えようとしているんだよね。私たちの受け取る能力がなくなっているという問題なんだ。


《気も遠くなるほどはるかな昔の記憶を、祖先は長い年月、語り継いできた。・・・私の掌に載せられた物語の厚みは、先祖からの贈り物であった。・・・この文明の世に、いや、文明の世だからこそ忘れ去ろうとしているのかもしれないが、なぜ私たちは祖先から受け継いだものをこんなに簡単に捨て去ろうとしているのだろうか。捨て去るという意識もないほどに、無関心になっているといった方がよいのかもしれない。》・・・これは、著者の言葉です。

入り組んだ日本列島のあまりにも複雑な地形と、そのひだひだの中に抱かれてきた人々の生きたあかしっていうのかな、地名ってさ。

《軽井沢》っていう地名。かつて柳田国男は「馬の荷駄で運べない急な峠のふもとで、荷(九州方言の古語で“カルフ”)」を小分けにして人の背に担ぐ地」と言ったという。同様の地名は、新潟・長野・静岡以東の東日本に二九個所もあるんだってさ。そのうち、柳田国男が言うような急な峠のふもとは二、三か所で、共通するのは火山灰地や砂礫地の渓流沿いがほとんどだという。

沢や川は、通常では水をたたえているものの、火山灰地や砂礫地では、たまたまの大干ばつで干上がることっもある。「尋常ならざる事態も想定し、水枯れも起こりうる土地であることこそ、子々孫々にまで語り継がなければならない」・・・それを知って、私たちが災いを遠ざけることこそが、先人たちの生きたあかしになるわけだよね。そんな姿こそ、歴史の中に生きる“私”ということだよね。







 


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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