『自衛官が教える「戦国・幕末合戦」の正しい見方』 木元寛明
ちょっと、“合戦” そのものへのアプローチが玄人視線すぎるように思う。そこまで解説してもらわなくてもいいんじゃないかな。私は、過去の合戦の勝敗の分かれ道を知りたいのであって、これから行われる合戦の指揮をとろうとしているわけじゃない。・・・とかなんとか、ぶつくさ言いながら読んでたんだけど、いやいや、二章・三章のおもしろいこと・・・。いやいや一章を読んどいて・・・、まあ、良かったかな。

長篠の合戦の前後半は、めちゃくちゃおもしろい。なにしろ長篠の合戦とクレーシ―の戦いとエル・フィルダンの戦いの比較だからね。長篠の合戦には双方に匹敵するインパクトがあるというわけだ。敵を自軍の得意とする戦いに引き込んで殲滅する。その点において共通するこの三つの戦いは、戦いの仕組みそのものを大きく変えてしまったということなんだろう。
秀吉の中国大返しのポイントは軍団の行軍速度。備中高松から尼崎まで平均三三キロ/日で移動。中国大返しから三五七年後のノモンハン事件時、歩兵第七一連隊は酷暑の悪条件下、三〇キロの個人装備を背負って五日間の徒歩行軍。平均行軍速度は三七キロ/日。秀吉から二〇〇年後のナポレオンの軍団は四〇キロ/日だったという。・・・こう比較すると、やっぱり中国大返しって、そうとうすごいな。
残った浪士たちは近藤勇のもと新撰組を設立し、江戸に帰った浪士組は幕府の命により、新徴組として組織される。林太郎は江戸に帰って、新徴組の組頭をつとめ、江戸の警備・治安を守ることなる。その新徴組の訓練ってのが行軍ばっかりで、行軍のスピードが新徴組の強さになるって書かれてたような気がする。
うわっ❢・・・これだ。早く読まなきゃ。
やっぱり、軍事の勉強っていうのは必要だよね。一体どこに行けば、こういう勉強ができるのか。やっぱり自衛隊しかないのか。歴史学の範疇としてこれをやるのは、やっぱり厳しいよね。
戦いは、時間的要素(時)と空間的要素(地)の条件下で、戦闘力の集・散・動・静の組み合わせで、強いものが勝ち、弱いものが負ける。その力を最大に引き出すには集と動の組合わせが可能になるように、時の利、地の利を得ればいい。・・・簡単なようでも、おそらくそれって、習ってわかることじゃないんじゃないかな。学習してある程度まではいったとしても、そこから先は生まれ持った才によるんじゃないだろうか。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
『自衛官が教える「戦国・幕末合戦」の正しい見方』 木元寛明 双葉社 ¥1,620 ー著者・木元寛明氏は、元陸上自衛隊・戦車連隊長ー |
|
長篠の合戦の前後半は、めちゃくちゃおもしろい。なにしろ長篠の合戦とクレーシ―の戦いとエル・フィルダンの戦いの比較だからね。長篠の合戦には双方に匹敵するインパクトがあるというわけだ。敵を自軍の得意とする戦いに引き込んで殲滅する。その点において共通するこの三つの戦いは、戦いの仕組みそのものを大きく変えてしまったということなんだろう。
秀吉の中国大返しのポイントは軍団の行軍速度。備中高松から尼崎まで平均三三キロ/日で移動。中国大返しから三五七年後のノモンハン事件時、歩兵第七一連隊は酷暑の悪条件下、三〇キロの個人装備を背負って五日間の徒歩行軍。平均行軍速度は三七キロ/日。秀吉から二〇〇年後のナポレオンの軍団は四〇キロ/日だったという。・・・こう比較すると、やっぱり中国大返しって、そうとうすごいな。
そう言えば、ずいぶん以前に読んだ本だけど、佐藤賢一さんの書いた『新徴組』というのがあった。沖田総司の義理の兄、沖田林太郎を主人公にした小説で、林太郎は、近藤勇、土方歳三、義弟の沖田総司らと一緒に上洛してるんだよね。それが、浪士たちに上洛を呼びかけた庄内の郷士清河八郎の巧妙な策略で、一部は京に残り、あとは江戸に替えるんだよね。 |
あれは、幕府がフランスに軍事顧問を頼んだからだよね。明治に入って後、日本は陸軍顧問をドイツに切り替えていくけど、この段階では、言わばナポレオン方式が新徴組に叩きこまれていたわけだよね。・・・あれ、そういえば、佐藤賢一さんの本が出るんじゃなかったっけ。このあたりの、フランスの軍事顧問を扱ったのが・・・。・・・調べ中・・・ |
やっぱり、軍事の勉強っていうのは必要だよね。一体どこに行けば、こういう勉強ができるのか。やっぱり自衛隊しかないのか。歴史学の範疇としてこれをやるのは、やっぱり厳しいよね。
「集」ー戦闘力は集めれば強くなる 「散」ー戦闘力は分散すれば弱くなる 「動」ー戦闘力は動かせば強化する 「静」ー戦闘力は静止させれば弱化する |


- 関連記事
-
- 『恕 日本人の美しい心』 童門冬二 (2015/07/20)
- 『俺の日本史』 小谷野敦 (2015/06/26)
- 『自衛官が教える「戦国・幕末合戦」の正しい見方』 木元寛明 (2015/06/12)
- 『敗者で読み解く古代史の謎』 歴史読本編集部編 (2015/04/28)
- 『新史論/書き替えられた古代史 2 神武と応神「祟り王」の秘密』 関裕二 (2015/04/21)