めんどくせぇことばかり 『日本の地名 由来のウソと真相』 楠原佑介

『日本の地名 由来のウソと真相』 楠原佑介

うちの実家は、《大字影森字田の沢小字藪》と言います。《影森》で、《田の沢》で、しかも《藪》ですからね。けっこう強烈でしょ。日が当たんなくて、じめじめしてて、なんか蚊がぶんぶん飛んでそう。高校出るのと同時に実家を後にして、以来、“そこ”はたまに帰るだけの場所になったけど、高校のときとかは、けっこう地名にふさわしく淀んでたんだよね、私自身・・・。
今考えれば、・・・本当、未熟者だったよね。引きちぎるようにして“そこ”を後にしたけど、ああ・・・。まるで、『大きな木』の、あの私の大嫌いな愚かな男そのものだね。そんな私なのに、“そこ”はいつも、何のこだわりもなく私を迎え入れてくれた。

・・・どうしてあの時、私はすべてを受け入れることができなかったのか、“そこ”の名前も含めて。高校生の時分のこととはいえ、あまりにも未熟だった自分がもどかしい。

・・・あれ?・・・こんなこと書くつもりじゃなかったのに、・・・どうにも“その”地名を思い浮かべるたびに、こんな感情が湧きあがる。自分で捨てておいてさ。いまさら取り戻したいなんてね。でもね。何かしら意味がありそうな“その”地名だけは、私にとっては特別なんだ。
『日本の地名 由来のウソと真相』  楠原佑介

河出書房新社  ¥1,512

あの土地・山・島・川・・・の呼び名本当のルーツ
一章  [北海道・東北の地名]のウソと真相  「歯舞諸島」は戦後GHQに改称された名前だった❢
歯舞諸島、夕張、函館、渡島半島、一戸~九戸、気仙、大間、仙台、象潟、天童、福島、会津、
二章  [関東の地名]のウソと真相  「木更津」は、日本武尊神話の「君去らず」がルーツではない❢
芝、小笠原諸島、武蔵野、川口、草加、神奈川と横浜、鎌倉、箱根、木更津、行徳、日立、日光、草津
三章  [中部地方の地名]のウソと真相  「軽井沢」とは「水枯れが起こる知」と伝える名称だった❢
新潟、魚沼、燕、氷見、羽咋、敦賀、三国、軽井沢、塩尻、妻籠、岐阜、関、養老、愛知、瀬戸、富士山、身延
四章  [近畿地方の地名]のウソと真相  「天橋立」という珍地名の謎を解く「沈島伝説」とは
桑名、亀山、琵琶湖、天橋立、浪速・難波、姫路、明石、斑鳩、串本、太地
五章 [中国・四国の地名]のウソと真相  本来「松島」と呼ばれた島はなぜ「竹島」と改称されたか
三朝温泉、松江、竹島、倉敷、鞆、厳島、下関、鳴門、小豆島、琴平、道後温泉、四万十川、
六章  [九州・沖縄の地名]のウソと真相  「知覧」とは台地の端に形成された凸凹地形が由来だった❢
博多、志賀島、伊万里、壱岐、球磨、宇佐、佐賀関、都城、知覧、尖閣諸島・魚釣島
なんか以前から、「いい地名だな~」とか、「異文化的だな」とか感じていた地名も、案外何でもなかったりする。六章で紹介されている『知覧』なんかもそうだね。『・・ん』って、「ん」で言い切ってしまう力強さは、九州独特の、・・・いや、さらに東シナ海に広くつながる人の交流が・・・なんて思ったんだけどね。この本を読んでみると、意外となんでもなかった。

特に『知覧』と言えば、あの戦争で、特攻隊の基地になった場所っていうイメージと結びついているからね。ただじゃすまないよね。なになに? ん? 分解すると、「チラ・ン」。“チラ”は、漢字だと“散”。 んん、特攻隊にぴったりだ。意味は? 散らす? シラス台地が自然の浸食によってギザギザに削られた様子? ・・・で、“ン”は? ・・・「野」? ただの「野」? 「チラ・ノ」? ・・・が、「チラン」になって、「知覧」か・・・。

それから『伊万里』。もう、伊万里焼の絵柄が地名のイメージに焼き付けられている。・・・なんて思っていたら、・・・なになに?・・・〈里〉は村とか、郷と言ったところね。それはわかる。 〈伊万〉は? ・・・えー❢ 〈伊万〉は、“今”❢ ・・・で、“今” は“新”? ・・・だったら、『伊万里』はただの、“新村” ということか。

いいね、地名って。「へ~、もともとはたしかにそんだけの意味だったんだ」って思うものでも、長い歴史の中で、いろいろなイメージをまとっていくよね。そのイメージから離れた地名なんてありえないよね。

《大字影森字田の沢小字藪》・・・涙が出るほどなつかしい。






 


にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

4月27日のプロ野球の結果を前振りに、「日本の地名 由来のウソと真相」

本題に入る前に、今週に入ってから多忙につき、火・水とプロ野球の生中継は見てなく、火曜日の分は新井さんの2000本安打達成の件をメインに報道ステーションと翌朝のスポーツニュースで見ただけで野球関連本の書評も込みで一応ブログ記事化。 昨日(水曜日)の分は、今さっ…

コメントの投稿

非公開コメント

No title

地名のおはなし、おもしろいですね。

昔の地名は、地の「理」をそのまま忠実に表そうとしたのでしょうか。
名が体を表わすと云うのか、
名体一致といいますか、うそをつかない素朴さと忠実さを感じます。

その後、当て字や呼び方が変わっていったのは、
外からの受けを狙ったり良く見せたかったりと、
なにか欲目で飾った名前になっている傾向のようですね。


それだけ本質より外見や評価を気にする社会へ移行して行ったせいかも、
それだけ外目を気にする余裕が出て来たのかも、
と思ったりしました。

cosmos さま

コメントありがとうございます。
祖先から引き継いだものが変えられる時、そこに苦渋があれば、人は何かを残そうとするんでしょうね。
その煩悶がにじみ出たような地名が、・・・こう言っちゃ悪いけど・・・、面白い。

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログへ


言葉は人の心をあらわします。
「歌は世につれ世は歌につれ」と言いますが、言葉についても同じことが言えるでしょう。
これから出る本
































当ブログ内人気図書 
















































カウンター
カテゴリ
ブロとも一覧
アジシオ次郎の時事原論
はりこのはやしや 
ハシビロコウ
素足のアイドル達
うさぎ屋の四方山話
わくわく株式投資
プロモデラー林哲平のジャンクロボット創作ブログ『ケルバーダイン』
大好き!グラビアアイドル!
伊織のブログ
Re:BAD TASTE♥
QWERT 5w1h
「伝わる技術」オトデザイナーズ・坂本真一
歌と知恵でハッピーライフ^^
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
最新記事
応援して下さい