めんどくせぇことばかり 『信濃が語る古代氏族と天皇』 関裕二
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『信濃が語る古代氏族と天皇』 関裕二

かねてから、「古代史の謎を解く鍵は東国にこそあり」と表明し続けた著者が、《信濃》について書いた本。信濃といえば、善光寺と諏訪大社。善光寺の本尊は百済聖明王による仏教伝来時に贈られたもの。崇仏・廃仏論争の最中、廃仏派の物部氏によって難波の堀江へと打ち捨てられましたといういわく付き。諏訪大社の祭神は、そのまま日本の起こりにかかわるタケミナカタ。ハナからおろそかにできる場所じゃない。

本書の中でもかなりのこだわりを持って語られる《安曇野》、そして《穂高》。安曇野の地名の起源は海洋氏族“安曇氏”にあり、穂高の山頂の祠に祀られる穂高見命は安曇氏の祖神綿津見命の子と言う。安曇氏はなぜ信濃の山に入って行ったのか。
もちろん、雪解けを待ちきれずに安曇野に足を運び穂高を拝んだ高校時代、そんなことを考えたはずもない。埼玉の山奥に住む私に取っては遠い場所だった。歩荷家業に山小屋のバイト、運動部の連中にけんちん汁を売ってもうけた金の大半は山につぎ込んだ。その中の半分以上が長野県に費やされた。もちろんその興味は、山、山、山でしかなかったわけだけど・・・。

『信濃が語る古代氏族と天皇』  関裕二

祥伝社  ¥ 907

ー善光寺と諏訪大社の謎ー 古代史の謎を解く最後の鍵

序章  信濃に逃げる神と人
善光寺境内で祀られていたタケミナカタ
信濃にきた海の民
善光寺と物部守屋 他
第一章  善光寺秘仏と物部氏
『日本書紀』に描かれた仏教を巡る争い
ヤマトの文化は九州から来たのではない
物部氏と蘇我氏のほんとうの関係
死後おそれられた物部守屋
物部氏が信濃に目をつけた理由 他
第二章  諏訪信仰の真相
幾つもの文化圏にわかれる長野県
東国第一の軍神
上社の縄文的な祭りー蛙狩り神事と御頭祭り
上社でのみ祀られる御左口神
諦念・・・大自然への畏敬の念  他
第三章  タケミナカタと海人族
『日本書紀』に出てこないタケミナカタ
なぜ安曇氏は信濃にやってきたのか
ヤマトと北部九州の本当の関係
卑弥呼と台与の本当の関係
『諏訪と八幡と住吉は同体』という伝承  他
第四章  信濃にまつわる古代天皇の事績
物部氏は滅んでいなかった
中大兄皇子が蘇我入鹿を暗殺した真相
なぜ斉明天皇は、九州に連れて来られたのか
前方後円墳の空白地
明らかになった信濃の真実  他

信濃に進出した古代氏族は、物部氏、蘇我氏、安曇氏、多氏、秦氏。旧態の権益の上にあぐらをかくことを潔しとせず、改革を断行してきたくましい先見者たち。しかし彼らの抱いた理想は見果てぬ夢と終わり、八世紀以降に没落していく。あとに残るのが藤原政権と、彼らの夢の残骸であった。人心を確保するためにも自らの振る舞いを隠蔽しなければならない藤原氏は、彼らの事績をねじ曲げて歴史を書き直し、残骸もろとも信濃に描かれた理想の真実を封印してしまった。東国は、「日本の将来を担う土地」から、「まつろわぬ蝦夷の蟠踞する土地」におとしめられてしまった。

著者は、以上の事柄を伝えようと、懸命にこの本を書いた。そんな思いが行間から伝わってくる。でも、残念ながら、熱意がありさえすれば、なんでもうまくいくというわけにはいかない。過去に様々な書物の中で展開さてきた論旨に新たな観点をつけ加えて先見者たちが信濃に抱いた見果てぬ夢を描き出そうとするわけだけど、話の構成と、その軽重が、私にはわかりにくく感じた。
とくに感じたのは、諏訪大社についてだ。この部分、タケミナカタを引っ張り過ぎてないだろうか。しかも完全に解明されていない。諏訪大社に関してだけを比較すれば、少し前に読んでこのブログでも紹介した『諏訪の神』の方がわかりやすかった。
そういえば、信州に《鬼無里》ってところがあるよね。“東京”とか“西京”とかいう地名があって、遷都伝説も残っている。この、《鬼無里》の鬼って、一体何者なんだろう。・・・藤原氏?・・・








 


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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