めんどくせぇことばかり 『サイパンからきた列車』 棟田博

『サイパンからきた列車』 棟田博

以下は、昨年五月の記事に手を加えたものです。

倉本聰さんの『富良野風話 日本人として』を読んだ。で、一昨日その記事を読んでいただいた。筋の通った方だ。右だとか、左だとかではなく、ものを判断する軸があるみたい。義理だとか人情だとか、そうそう、『日本人として』の中では《絆》という言葉を使っておられた。

《絆》・・・もとは「しがらみ」や「束縛」というイメージの強い言葉で、人とのつながり、支えあいを言うようになったのは最近のことだという。でも、「つながり」は、当然「しがらみ」を生むよね。だから、もともとそういう意味を持っていたとしても、何にも不自然じゃないな。
《絆》から行われる最たる行為は、他者のために自らの命を投げ出すことである。かつて、多くの日本人たちが、家族のために、知人のために顔も知らない誰か日本人のために、自らの命を投げ出した。きっと、きっと日本が素晴らしい国になると信じて・・・。
倉本聰さんの『歸國』、見た?

調べたら、二〇一〇年の八月十四日に、TBSの終戦ドラマスペシャルとして放映されたんだそうだ。面白かったよなぁ。

もう五年も前のドラマなんだね。
帰国
『サイパンからきた列車』  棟田博

TBSサービス  ¥ 1,296

人は二度死ぬという言葉がある。一度は肉体的に死んだとき。もう一度は完全に忘れ去られたとき


『帰国』のもとになった『サイパンから来た列車』は、昭和三〇(一九五五)年の本だそうだ。そんなに前か。私は生まれてすらない。物語も、日本兵たちの魂が帰ってきた“現代”はこの本が出た昭和三〇(一九五五)年だった。敗戦ののち、十年しかたってない時代だった。

それがNHKのラジオドラマで放送されたんだそうだ。それを聞いてた倉本聰さんが、二〇一〇年の“現代”に、六十五年ぶりに英霊たちを戻したわけだ。

一九五五年という“現代”に帰った英霊たちにさえ、著者は「こんな、だらしのない、腰の抜けてしまった日本には、さらさら用はない」と語らせている。二〇一〇年、倉本聰さんに言わせれば、「消費経済が世をせっけんし、義務より権利が重視され、個人の自由が優先され、国家の品格などどこかに吹っ飛んだ」“現代”に英霊たちを帰還させる。

これすごいな。一九五五年を「こんな、だらしのない、腰の抜けてしまった日本には、さらさら用はない」とはね。でも著者にははっきりそう感じられていたということだな。一九六〇年生まれの私にすれば、大きん変化は自分が一五・六歳の、一九七五・六年のことで、そのあたりで新世代が社会の中心を占めたんじゃないかな。

それ以前の社会は、今考えても、はっきり戦前を背負ってたような感じがするんだけどな。おそらく私が言ってるような、甘い意味じゃないんだろうな。英霊たちが一九五五年ころの日本社会を「腰抜け」と罵るのは・・・。

ならば、その彼らを二〇一〇年の日本に帰国させた倉本さんはどんだけ大変だったかね。

結局は、それが敗戦から一〇年後の一九五五年であれ、六五年後の二〇一〇年であれ、後世の日本人との絆のために命をなげうった英霊たちの気持ちに、私たちは相変わらず答えられていないということだ。そしておそらく二〇一五年の私たちも・・・。

ちなみに、原作は短編で、内容も淡白。でも、本質はしっかり受け継がれている。棟田博さんによって書かれ、倉本聰さんに踏襲されているこの物語の本質は、英霊たちの優しさだと思う。どこまで優しいんだ。できれば応えたいなぁ、その英霊たちの優しさに・・・。





    



 


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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