『世界史で学べ❢地政学』 茂木誠
実はこの一週間、この本に囚われていた。世界史となると、細かいところまで蔑ろにできず、時間をかけて丹念に読んだ。気分転換に、ちょこちょことつまみ食いはしたものの、頭にはこの本をしっかり呼んでおきたいっていう気持ちがあった。・・・えっ?入れ込んでるって?・・・はい、それだけの本ですよ。

あとは、・・・《歴史》を決定するのは、正義を主張する声の大きさ。《歴史》に決定的な影響力を持つのは、な~んと声の大きさと恥を知らないこと。
そんな《歴史》なら、なにも退屈な思いまでして読むこともないでしょう。
前述した山川の『詳説世界史B』とは正反対にあるのが「現実をしっかりみる」ってこと。この本はそんな立場に立って書かれている。そして、歴史の《現実》を見抜こうとするとき、“地政学”は大きな助けとなる。国家間の関係を地理的条件から説明していこうという立場である。たとえば・・・、ということで、朝鮮のことでも取り上げてみましょうか。
朝鮮は、《半島国家》である。簡単な事ですね。大陸につながっていながら、その根元を押さえられたら、もう息もつけなくなるということ。だから相手が強いか弱いかの見極めが重要で、弱ければ徹底的に抵抗するし、強ければ手のひらを返したように媚びへつらう。

それが《半島国家》として生きてきたということなんだろう。北朝鮮にしてみれば、アメリカとChinaの接近、冷戦の終了で核武装に走らざるを得なくなった。また、China経済の行き詰まり、ロシアの政治的孤立で、くわえてChinaと韓国の接近という事態に、日本に拉致被害者の再調査を持ちかけてきた。韓国にしてみれば、Chinaと直接国境を接していないという環境は、韓民族はじめての政治的自由となっているはずである。
・・・ちょっと、だいぶ自分の言葉を交えて書いちゃったけど、この朝鮮半島に関する“第3章”の締めの言葉を紹介する。これ、結構大したもんだなと思ってる。


一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
最初に山川の『詳説世界史B』の記述が紹介されている。それは、この本の著者が書いて、これから読まれる《地政学》に基づいた世界史の対極に位置するものである。ある目的を持った、特定の理念に沿った《歴史》。「悪に対する正義の勝利」という観念に基づいて書かれた《歴史》。「野蛮に対する文明の勝利」という観念に基づいて書かれた歴史。「正義は勝つ」と結末がわかっているんだから、最初から読む必要のない《歴史》。 |
あとは、・・・《歴史》を決定するのは、正義を主張する声の大きさ。《歴史》に決定的な影響力を持つのは、な~んと声の大きさと恥を知らないこと。
そんな《歴史》なら、なにも退屈な思いまでして読むこともないでしょう。
『世界史で学べ❢地政学』 茂木誠 祥伝社 ¥ 1,728 地政学はリアリズムの一つ。国家と国家が国益をかけて衝突するとき、地理的条件がどのように影響するかを論じる |
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朝鮮は、《半島国家》である。簡単な事ですね。大陸につながっていながら、その根元を押さえられたら、もう息もつけなくなるということ。だから相手が強いか弱いかの見極めが重要で、弱ければ徹底的に抵抗するし、強ければ手のひらを返したように媚びへつらう。
大陸勢力がAからBに代わる時、半島内ではA派とB派の間で派閥抗争が発生する。それは常に派閥抗争のための派閥抗争と化し、民衆の生活が顧みられることはない。李朝末期においては清につこうとする事大派、日本を仰ごうとする独立派、日清戦争後に清からの独立を果たしたかと思ったら、進んでロシアを引きこもうとする始末。 |
それが《半島国家》として生きてきたということなんだろう。北朝鮮にしてみれば、アメリカとChinaの接近、冷戦の終了で核武装に走らざるを得なくなった。また、China経済の行き詰まり、ロシアの政治的孤立で、くわえてChinaと韓国の接近という事態に、日本に拉致被害者の再調査を持ちかけてきた。韓国にしてみれば、Chinaと直接国境を接していないという環境は、韓民族はじめての政治的自由となっているはずである。
・・・ちょっと、だいぶ自分の言葉を交えて書いちゃったけど、この朝鮮半島に関する“第3章”の締めの言葉を紹介する。これ、結構大したもんだなと思ってる。
「北朝鮮=敵」、「韓国=味方」、という冷戦思考がまったく通用しなくなってきたのも事実です。「どちらも敵にも味方にもなりうる」と想定した上で、日本は半島に関与していくべきでしょう。 |



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