めんどくせぇことばかり 国民国家による主権体制の押し付け(覚書)『岡田英弘著作集 シナとは何か?』

国民国家による主権体制の押し付け(覚書)『岡田英弘著作集 シナとは何か?』

ヨーロッパでも、一八世紀の末までは国家というものはなかったという。当然、国境もなく、さらには国籍もなく、国民という概念もなかったという。なんか難しいよね。神聖ローマ帝国ってのがあるじゃないね。でもそれって、神の意志の介在する“選挙”によって七選帝侯から選出された皇帝と、その家臣団との関係、及び領地、領民の総体を言うのであって、後のように、“不可分の国土”なんてものはありえない。なにせ、国家なんてものはないんだから。

なんだか、蛇が自分の尻尾を飲み込んじゃったような話になっちゃったな。あっ、あとから“な~んだ”って事のないように言っとくけど、今日の記事も、基本的に『岡田英弘著作集』を土台としてます。
『岡田英弘著作集 第四巻 シナとは何か?』

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皇帝はさまざまな事業を経営しており、皇帝というシステム自体が、巨大な営利事業体であった
まあ、王国なら国王の財産としての領地と領民がそこにあるわけだ。「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、何時は結婚せよ」ってわけで、ハプスブルク家は結婚で領地を広げ、ヨーロッパ最大勢力に駆け上がった。
 “結婚で領地を広げ”って、お姫様がお嫁入りの時には、化粧料として領地や領民をもらっていくのね。で、王子との間に子供ができて、その子が王位についたりすると、父と母の両方から領地を引き継ぐ。 

ハプスブルク家の奥様と、ブルボン家の奥様と、・・・そんな感じだったわけね。
ところが北アメリカで、イングランド王の財産だった一三植民地の市民が反乱を起こし、王の財産をかすめ取って市民の共有財産としてしまった。
さらにフランスでは革命が発生し、パリ市民が国王を血祭りにあげて、その財産を乗っ取ってしまった。乗っ取ったって言っても、次の所有者を誰にするかで、フランスは多揉めに揉めるわけだ。“市民”っていうのは、いわばその他大勢ってことだからな。

だから、“もうやめよ。もうこりごりだ”ってことで革命が収まるまでに二百万人殺されたっていうんだからね。気をつけようね。左に走って、あわや国をぶっ壊されそうになったのは、つい最近、日本人も経験したところだからね。
かつては、フランス王の領地でいざこざがあると王族が出向いてさばいたらしいんだけど、地域によってしきたりがてんでんばらばらだっだんだそうだ。ナポレオンが出てきてナポレオン法典を作って、ようやくフランスは共通した法によって治められる国家となったわけだ。
これが国民国家の起こりで、他国との境は国境線によって示され、国家は国籍を有する国民で構成され、国民は国家という財産を共有することになったわけだ。さらに加えて、国民によって構成されるフランスの国民軍は、圧倒的に強かった。名だたるヨーロッパ諸国の軍が一捻りだった。ヨーロッパ諸国は先を争って国民国家に衣替えし、国家は国民の財産であり、王政はその管理者であると定義を変えていった。

かつて、海外植民地は基本的に国王の財産で、重商主義を支える特権商人たちの貿易の拠点に過ぎなかった。しかし、今や、海外植民地の獲得は、国民財産の拡大を意味した。“列強”と呼ばれるだけの軍事力と、その背景となる経済力を有する国々は、争って“財産”の拡大に奔走した。

ヨーロッパ諸国は、一七世紀、ウェストファリアで確立された主権国家の相互不可侵と、外交、国際法の基本原則を、いち早く国民国家体制を整えたヨーロッパの外の世界に向けた。国民国家体制を整える暇もなくウェストファリア体制の受け入れを要求された世界の諸地域は、いとも簡単にヨーロッパ諸国の軍門に降らざるを得なかった。
日本は開国後一四年で明治維新を成し遂げ国民国家をスタートさせた。ペリー来航から数えれば一五年である。これが早いのか遅いのかは諸説あるし、この間の混乱が大きいのか小さいのかも同様である。私は、やむを得なかったとは言いながら、あまりにも犠牲が大きすぎたと思う。
それでも支那と比較すれば、・・・やはり規模が違う。
一八四〇年のアヘン戦争に敗れた結果、清王朝は一八四二年の南京条約で港を開く。日米和親条約の一二年前である。開国から一四年後の一八六八年、日本は明治維新により国民国家を船出させる。
残念ながらこの間、幾多の英才が失われる。しかし、支那は、やはり規模が違う。辛亥革命で清王朝が倒され、国民国家をめざす中華民国が成立するのは一九一二年。実に南京条約から七〇年後のことである。

しかも、このあと、実力者袁世凱が死んでからは、軍閥が北京政府の言うことを聞かず、事実上独立。・・・あれ?昨日の記事に重なって来ちゃった。結局、日本と、地政学上の成り行きと外交の成功に恵まれたタイの二国を除いて、植民地にされちゃったわけだよね。





 


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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