『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 施光恒
意外と鼻が利くんですよ。もともと賞味期限なんてちっとも気にしてない。すべては鼻が決める。みんなそうだったよね。残り物は冷蔵庫なんかじゃなくて茶だんすの中、食えるかどうかは鼻だけが頼り。スーパーだとさ、賞味期限が近付くと割引になるでしょ。何にも問題ないのにね。ありがたい話です。
・・・そうじゃなくて、嗅ぎ分けるのは、“人”ね。


特定の史観に基づいてものを考える奴は、必ず自分を大衆よりも一歩先に存在させる。大衆への啓蒙を図り、意に沿わない、つまりそいつと同じ史観を持たない奴を“野蛮”として排斥する。新たな時代においては、同調する者たちで指導部を結成し、社会をリードする。大衆からは首領様とか将軍様とか呼ばれるんだっけ?

におうんだよ❢ な~んかさ。やたらと臭いんだよ。文科省の方を経由してさ。

でも、彼には“是が非でも”ってくらいの勢いがあったみたい。自説に箔をつけるため、英語公用語化への賛成を取り付けようと書簡を送ったイェール大学教授で米言語学教会初代会長のウィリアム・D・ホイットニーから、森有礼は逆にたしなめられている。このホイットニーという人物。米言語学教会初代会長というだけあって“言葉”の持つ力を確実に理解していたようだ。
彼から森有礼に対する反論は、以下の様なものだったようです。
先に書いたように、森有礼の英語公用語化論の背景には《列強による植民地化の脅威》があった。だけど今、文科省が進めている英語偏重教育。これって新自由主義路線に立った財界の要請ってことだよね。

三木谷さんは言ってます。「グローバリゼーションという観点からは、日本はアジア諸国に遅れを取ってしまっている。残念ながら、英語力は他のアジア諸国より低い。TOEFL平均スコアは、韓国が81点なのに対して、日本は70点しかありません」 「英語革命なくして、日本のグローバル化は果たせない」
つまり、新自由主義の立場で世界市場を奪取できる人材を育てる。海外にそれを求める分、日本も海外の企業に開かれた状態にする。
三木谷さんは目を覚ましてほしいな。でも無理だな。下手に成功しちゃってるからね。日本がグローバル化から取り残されるなんてあおりながら、あなたが切り捨てようとしているのも日本人だからね。ちょっと匂うよ、腐臭が・・・。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
・・・そうじゃなくて、嗅ぎ分けるのは、“人”ね。
NHKあたりで盛んに言ってて、なんだか耳触りになるような言葉があったら、背景を感じた方がいいよね。ここでの話の場合、それは「グローバル化」、「ボーダーレス化」。こんなこと進めていって最終的に喜ぶ奴がいるとすれば、それはユダヤ人しかいないはずの、何となくわかりやすいような、わかりにくいような・・・。 |
「グローバル化は時代の流れ」、「ボーダーレス化は歴史の必然」・・・、あれ?それって、資本主義社会を止揚した先にあるものと一緒じゃないよ。しばらく顔を見せないと思ったら、「そうです、私が変なおじさんです」って言っておなじみの踊りを始めるような・・・。 |
|
・・・ねっ。すごく嫌~な感じでしょ。普遍的歴史法則、あるいは歴史法則主義。これって唯物史観そのものだよね。三十五年前、二十歳の私はそういうことを教えてくれるありがた~い大学に在学していたんだよね。 |
もちろん、今度の奴らは共産主義者じゃない。アメリカ型の自由民主主義と純度の高い市場経済を理想とする新自由主義者と呼ばれる連中だ。でも、大衆の利益を唱えながらも、こんなにも大衆をバカにしている奴はいないってことではあいつらとおんなじ。 |
におうんだよ❢ な~んかさ。やたらと臭いんだよ。文科省の方を経由してさ。
『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 施光恒 集英社新書 ¥ 821 英語化推進派のお題目は国際競争力の向上。しかし、それはまやかしだ。漱石も諭吉もあきれた明治の英語公用語化論の再来。 |
はじめに 英語化は誰も望まない未来を連れてくる 第一章 日本を覆う「英語化」政策 「英語化」政策は「愚民化」政策 他 第二章 グローバル化・英語化は歴史の必然なのか 日本語が「国語」の地位を失う危険 他 第三章 「翻訳」と「土着化」がつくった近代日本 日本を近代化するには英語か、日本語か?-森有礼の「日本語廃止論」 他 第四章 グローバル化・英語化は民主的なのか EUで上がる疑問の声 他 第五章 英語偏重教育の黒幕、新自由主義者たちの思惑 なぜ今回の英語化が最も危険なのか 他 第六章 英語化が破壊する日本の良さと強み グローバル化・英語化が庶民を社会から排除する 他 第七章 今後の日本の国づくりと世界秩序構想 英語支配の序列構造 他 |
森有礼が日本語廃止論者であったことはよく知られている。後に初代文部大臣を務めた人物でもあるわけだからけっこう厳しいよね。まあ、列強による植民地化の脅威が決して大げさじゃない状況の中で早急な近代化を考えたときの、やむを得ざる選択ではあったんだろうけどね。 |
でも、彼には“是が非でも”ってくらいの勢いがあったみたい。自説に箔をつけるため、英語公用語化への賛成を取り付けようと書簡を送ったイェール大学教授で米言語学教会初代会長のウィリアム・D・ホイットニーから、森有礼は逆にたしなめられている。このホイットニーという人物。米言語学教会初代会長というだけあって“言葉”の持つ力を確実に理解していたようだ。
彼から森有礼に対する反論は、以下の様なものだったようです。
母語を捨て、外国語による近代化を計った国で成功したものなど、ほとんどない。英語を日本の「国語」として採用すれば、まず新しい言葉を覚え、それから学問をすることになってしまい、時間に余裕のない大多数の人々が、実質的に学問をすることが難しくなってしまう。その結果、英語学習に割く時間のふんだんにある少数の特権階級だけがすべての文化を独占することになり、一般大衆との間に大きな格差と断絶が生じてしまうだろう。 |
先に書いたように、森有礼の英語公用語化論の背景には《列強による植民地化の脅威》があった。だけど今、文科省が進めている英語偏重教育。これって新自由主義路線に立った財界の要請ってことだよね。
新自由主義者は営利活動の完全な自由を求める。環境基準、安全基準、権利保障はなるべく緩いものをグローバル・スタンダードとすることが彼らにとっては正義となる。さらには、文化や言語の違いも、新自由主義者にすれば、営利活動の障害となる。障害を取り除くことが、彼らにとっては正義なのだ。 |
三木谷さんは言ってます。「グローバリゼーションという観点からは、日本はアジア諸国に遅れを取ってしまっている。残念ながら、英語力は他のアジア諸国より低い。TOEFL平均スコアは、韓国が81点なのに対して、日本は70点しかありません」 「英語革命なくして、日本のグローバル化は果たせない」
つまり、新自由主義の立場で世界市場を奪取できる人材を育てる。海外にそれを求める分、日本も海外の企業に開かれた状態にする。
残念だけど、そんな教育についていけるのは、半分なんて絶対いないよ。三割から二割の間くらいかな。もちろんついていける奴ら自身も、その中できれいに序列化されてね。しかも、そんなことやったら、日本も世界も確実にダメになる。日本より英語ができる韓国が何なんだよ。言語能力の優れたフィリピン人がどうかしたのかよ。 |
三木谷さんは目を覚ましてほしいな。でも無理だな。下手に成功しちゃってるからね。日本がグローバル化から取り残されるなんてあおりながら、あなたが切り捨てようとしているのも日本人だからね。ちょっと匂うよ、腐臭が・・・。


- 関連記事
-
- 『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 施光恒 (2015/10/23)
- 新田次郎生誕百三年 (2015/10/06)
- 『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 施光恒 (2015/08/24)
- 『日本語は泣いている』 外山滋比古 (2015/06/14)
- 『日本の地名 由来のウソと真相』 楠原佑介 (2015/06/13)