新オレンジ作戦(覚書)『戦争・天皇・国家』 猪瀬直樹 田原総一郎
日米開戦となれば、「日本海軍はまずフィリピンの基地を攻撃して落とす」というのがアメリカの予想。アメリカ軍はいったんは撤退し、再び太平洋を島伝いに北上して日本軍を撃破していくというのがアメリカの立てていた対日作戦計画。これを《オレンジ作戦》という。 |
今、アメリカは《新オレンジ作戦》ともいうべき新たな作戦計画を持っているという。経済的台頭著しく、軍事費を急激に増大させている支那を仮想敵国として策定されたものだという。支那が太平洋の覇権を握ろうとした場合、まず沖縄やグアムが占領される。アメリカはいったん撤退するが、島伝いに北上し、反撃する作戦であるという。 |
これは、支那に対する抑止効果を狙って、アメリカが意図的に漏らした情報ということであれば、アメリカの本気度は測れないが、と
どのつまり、支那が動き出せば沖縄は自衛隊が防衛するしかない。
こんな状況を猪瀬さんは、日本が戦後の日本の在り方をもう一度問い直すチャンスという風に認識しているようだ。まさにそうだと思う。直接的に「属国」という言葉も使っている。もちろん、日本がアメリカの属国であるという意味でね。つまり、これからも属国でやっていくのか、そうじゃないのかっていう問い直しだな。 |
その問い直しの機会を日本に準備したのが支那というのが歴史の面白いところだな。日本と支那とアメリカ。なんていう因縁だろうね。
猪瀬さんは戦後の日本を“ディズニーランド国家”と呼ぶ。日本の社会は、「弱肉強食のリアリティーから隔絶された、仮想現実に近いファンタジー」で、世界のおおくの人々が直面する“生き残るかどうか”の発想を持つ必要もない、“世界史上でも稀有な”社会。 |
かつて、黒船来航以来、日本は国家存亡の危機に身をさらし続けた。日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、ロシア革命後の共産主義の伸長、世界恐慌、満洲事変、支那事変、世界を敵に回した戦争の果てに国土を焼き尽くされるほどの敗戦に至るまで、恐怖にされされながらの国家運営が続いた。 |
戦後、アメリカの属国となって生存を脅かされるという緊張感はなくなった。それと同時に、独自の国家としての展望や国民のプライドも失った。代わりに与えられたのが“一国平和主義”という閉じられた意識であった。
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人民網 1945~2015 世界反ファシズム戦争勝利70周年 抗日戦争勝利70周年 特集 http://j.people.com.cn/94474/310904/311553/ (抜粋) 抗日戦争勝利ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年を記念するため、9月3日に北京で軍事パレードが行われる。大規模な軍事パレードは新中国の歴史において15回目であり、建国記念日以外では初だ。実施まで1カ月を切り、各準備作業が鳴り物入りで進められている。 |
かつて、日本やドイツは、イギリス、フランス、アメリカによって世界市場から締め出された。そこからの対外拡張政策が第二次世界大戦の原因となる。日本やドイツは、総力戦に対応するため、物資や人材を一元的に管理する戦争政策をとった。 |
だけど、本来ファシズムってのは、形としては、国家機構の上部に政党が存在する体制のこと。ナチはそういう体制でドイツという国家を主導し、そのリーダーであるヒトラーが独裁権力を振るったわけだ。 |
その中国共産党が、《世界反ファシズム戦争勝利》とはね。へそが茶を沸かしそうだ。
でもその支那こそが、日本に、アメリカの属国としての戦後を見つめなおす機会を準備してくれているわけだ。
近代史は、支那にアヘン戦争と日清戦争という大きなトラウマを与えた。支那の華夷思想からすれば、放置できないトラウマのはず。アヘン戦争の対象はイギリスだが、かつてのイギリスと同じ立場にあるのがアメリカ。現在の日米関係を考えれば、太平洋への進出こそが、支那のトラウマの解消につながるはず。だから、アメリカが《新オレンジ作戦》を策定することはむしろ当然である。
なんだかそう考えると、まさしく今の日本って、白村江後の状況とおんなじようだな。あのときの日本は、巨大な唐王朝の圧力に抗して独立国家の体制を整えた。その道しかありえないように思えるんだけど、国内には「ディズニーランドで夢を見続けたい」と、「今までどおりの“平和”な日本社会を守れ」と、多くの人達が集まっている。


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