めんどくせぇことばかり 朱子学誕生(覚書)『井沢元彦の激闘の日本史 北条執権と元寇の危機』

朱子学誕生(覚書)『井沢元彦の激闘の日本史 北条執権と元寇の危機』

『権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する』・・・イギリスの政治家であり歴史家のアクトン卿の言葉ですね。格言て言うのは、だいたい、「たしかにそういう場合もあるね」っていう程度のもの。でも、この言葉は違うね。100%だ。権力は間違いなく腐敗する。問題は腐敗する前に終わるか否かだけだ。


同様に、100%の格言を、井沢さんはあげている。井沢さん自身の言葉としてだけど、他にもこういう言い方をする人は決して少なくない。それは・・・。

『平和に溺れ安逸をむさぼる国家は滅亡への道をたどる』
というものだ。
この本は、元寇とそのときの日本の対応を語る本だから、“元”以前のモンゴル帝国に滅ぼされた“宋”について語るのはごく自然。それは、当時の宋王朝こそがまさしくそういう国家だったからだ。

支那の歴代王朝の覚え方知ってます?・・・エヘンお教えしましょう。・・・えばるようなことじゃないね。本当に大したことじゃない。♬もしもしカメよ♬のメロディーに載せて覚えるんです。《殷・周・秦・漢・三国・晋・南北・隋・唐・五代・宋・元・明・清・中華民国・中華人民共和国》・・・と、これでピッタリ
ということで、宋王朝の前は“五代”、つまり〈後梁・後唐・後晋・後漢・後周〉ね。そんでもってその前が唐王朝。“五代”はそのまま混乱期で、唐王朝だって安史の乱以降はどうしようもない状態。混乱のもとは、均田制・租庸調制・府兵制を基礎とする律令体制が緩み、外敵対策の国境警備を節度使に任せるようになったこと。

安禄山も節度使だった。安史の乱以降、節度使は割拠して藩鎮となり、唐王朝は“統一”とは名ばかりになって滅ぶ。

〈後梁・後唐・後晋・後漢・後周〉も、結局は同じ末路。軍に背かれて滅ぶ。宋王朝を建てた趙匡胤も後周の軍人。だからこそ、宋を建てたのち、彼は軍の力をそいだ。科挙で採用した官僚を使って皇帝に権力を集中し分治主義を行ったなんていい人みたいに言われるけど、汚い世界の裏の裏まで分かってるからそうしたんだな。繰り返された内部からの崩壊はそれで食い止められた。そしてそれが周辺民族の興隆と、豊かな農耕地帯への侵入を招いた。
『井沢元彦の激闘の日本史』

株式会社KADOKAWA  ¥ 2,052

世界史から見て例外中の例外、・・・だからこそ、このできごとから日本史の特徴がわかる

井沢さんは《文化に力を注ぐあまり、軍事と国防をまったく疎かにした》というけど、それは上に記した“内部からの崩壊”を食い止めるために軍部を抑え込んだことの結果と考えた方がいいと思うな。戦後の日本とおんなじね。そうそう、憲法九条。まあ、結果として同じことだけどね。

そしてまずは契丹族の遼。遼は五代の混乱に乗じて長城に内側に楔を打ち込んだ。のちに支那を統一した宋は、遼に対してどうしたか。いったんは戦いを挑んだがあっけなく敗れた。《文化に力を注ぐあまり、軍事と国防をまったく疎かにした》宋は、以来、問題を金で解決した。一〇〇四年、攻め込んできた遼に対して宋は講和を求め、毎年絹二〇万疋、銀一〇万両で話がついた。澶淵の盟という。
百数十年後、遼に隣接して女真族の金が誕生した。農耕文化に染まって弱体化した遼をしのぐ軍事強国であった。宋は金に密使を送り、遼を挟撃した。遼は滅んだ。

宋の皇帝徽宗は文人皇帝として知られる。画家としても書家としても超一流、造園も巧みであったという。足利正義によく似ている。水滸伝ではずるがしこい家臣のせいで政治が乱れ、皇帝も被害者のように言われるが、第一に政治をないがしろにしていたのは皇帝本人だ。そして、もう一つ足利正義とおんなじように、政治センスに全く欠けていた。同盟して遼を滅ぼした金に対し、あからさまに工作してその弱体化を図った。
金が怒って宋の首都を襲った。徽宗はあわてて息子に位を譲り逃げ出そうとしたが、息子の欽宗ともども捕まった。金は皇族・官綾三千余人を捕虜として強制連行した。中でも女性はすべて“性奴隷”とされた。靖康の変と呼ばれる出来事である。

受験のために世界史を勉強すると、〈靖康の変ー徽宗・欽宗》をセット化して終わってしまうところなんだけど、井沢さんはこれがのちの歴史にとんでもなく大きな影響を与えたと言っている。人の言動の背景には必ず宗教がある。そう考えれば、“大きな影響”というのは、言動の背景にある“宗教間の変化”ということになる。

女は全部“性奴隷”ってことだよね。皇族ですらそうってことは、金が攻め込んだ地域のすべてで同じか、あるいはそれ以上の出来事が起こっている。
軍事を遠ざけて経済的に繁栄し、文化活動に勤しんで心まで豊かに暮らしてきた人々が、「人生最大の快楽は敵を殺し財宝を奪い、その家族が悲嘆にくれるのを眺め、敵の良馬をわが物とし、敵の妻や娘を凌辱することだ」というチンギス・ハーンみたいな遊牧民族に、文字通りそんな目にあわされたんだ。宗教観も、当然変わる。

ここまでの屈辱は、おんなじ以上のことをやり返すか仏門に入って厳しい修行に身を委ねる以外に、晴らすことは困難だ。だけど、その方法がない場合、人はどうやってあきらめるのか。相手をとことん蔑み自らの正当性を主張することだ。井沢さんはとても下品な言葉で表現している。『カアチャンを侵略者に奪われてなすすべなかったインテリのヒステリーの産物』、・・・それが朱子学。

おまけに支那は、生まれ変わった南宋までがモンゴル軍に滅ぼされている。今度こそ、「人生最大の快楽は敵を殺し財宝を奪い、その家族が悲嘆にくれるのを眺め、敵の良馬をわが物とし、敵の妻や娘を凌辱することだ」と言ってはばからないモンゴル軍の登場だ。しかも今度は、妻娘を凌辱されるにとどまらず、男たちはモンゴル軍の先兵として各地の戦場に回された。元寇における日本もその一つ。

「外からやってくる連中はとんでもない野蛮人で、中華の王によって打ち払われるべき存在である」。そんな妄想が彼らのプライドを支えたんだな。でも、井沢さんの言う「中国製興奮剤」ともいうべき朱子学の副作用で、日本でも「精神力でアメリカに勝てる」なんてバカなことを言い始めるようになっちゃうわけだよね。・・・ちっとも言い足りないけど、今日はここまで。





 


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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