めんどくせぇことばかり 新田次郎生誕百三年
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新田次郎生誕百三年

二〇一二年は新田次郎生誕百年だったんだ。意識すらしたことなかった。このところ、あえて山から遠ざかることをやめて、『山と渓谷』のバックナンバーを図書館で借りてる。足をしっかり直して、体を作り直すまでは山に登れる状態じゃないけどね。まあ、そんなところで、たまたま借りだした二〇一二年六月号の『山と渓谷』で新田次郎の特集をやってた。
そう言えば、今年の一月、新田次郎の遺作を息子さんの藤原正彦さんが完成させた『孤愁―サウダーデ』って言うお話を読んだんだった。ブログでも紹介した。http://jhfk1413.blog.fc2.com/blog-entry-3119.html

その時に書いてるんだけど、 ポルトガル人の心情の中に色濃い“サウダーテ”という感情。主人公のモラエスにサウダーテとは「過去を思い出し、甘く、悲しい、切ない感情に浸りこむこと」語らせたのは、新田さんかそれとも息子さんか。もしも新田さんなら、新田さんもこんなにも胸を締め付けられたのか。

今、私の胸を締め付けるのは、新田作品を読む高校生の私と、今はいない私の周辺の人々との思い出だ。
単独行者、加藤文太郎を世に知らしめた作品。むろん新田の創作も入っていて、その批判もある。それでもこの作品が長く読み継がれていているという事実が、本書が魅力的であることの何よりの証左。山岳小説史に燦然と輝く金字塔。本書抜きに新田次郎は語れない。
若き担任教師との交流を通し、生徒たちが結束を強めていく様子を描く。ジュニア・青春小説の代表作。山度は低いが、登山シーンは読みどころの一つ。
言わずと知れた・・・、ってところだね。前人未到の剣岳山頂に三角点を設置せよとの命を受けた陸軍陸地測量部の苦闘を描く。地元民との軋轢など映画では描ききれない部分もあり、かたや、映画で描かれた息を呑むほどの映像美。映像を思い出しながら読んでみるのも一興。
『強力伝』は新田次郎の処女作にして直木賞受賞作。まずはこのあたりから読むのが常道か。富士山の強力が白馬岳山頂に設置する五十貫目の風景指示盤を運び上げる話。
 『山と渓谷二〇一二年六月号』で、《絶対読んでおきたい“鉄板”作品》っていうことで紹介されてたのがこの四冊。・・・でも私、『風の中の瞳』って読んでないな。新田次郎がその本を書いていたことさえ知らなかった。

まあ、人それぞれだからね。新田次郎そのものが肌に合わないって人だっているだろうしね。でも、山だからね。けっこう、人間が出るんだよね。場合によっちゃあ、生きるか死ぬかってところにぶつかるから。そこそこ山をやってて、そういう経験のない人はあんまりいないでしょ。

私は生まれが山だから、逆に父母、祖父母までは、山は敬して遠ざける存在と捉えてた。楽しむために登るなんてね。平地より危険が高まることは当然のことで、危険が高まるなら“遠ざける”のが、選択としては正解だよね。遊びで命を落としたり、怪我したりしちゃ、もう食っていけなくなるしね。

それを承知で山に行くのは“馬鹿”で、“馬鹿”だからこそ危険に近づける。だけど登りたい。だから、いろいろな試行錯誤が繰り返された。超人的な体力やセンスの持ち主もいたろうし、新ルート、新道、新装備といったさまざまな開拓者もいた。命がかかるから、いずれもドラマが生まれる。

メンバー中の荷物の微妙な重さの違いに、実はとってもこだわる私のような人間でも、山を思うだけで感情を抑えられなくなる。今、山に登れない環境にあるだけのなおのことなんだけどね。

いちいち挙げたらきりがないけど、山道と背中のザックにの重さに喘ぎながら、私はどれだけ非人間的妄想に身を任せたことだろうか。でも、そんな私だからこそ、その分だけ新田作品のモデルたちに憧れちゃうわけだな。

いま、久しぶりに新田次郎の作品を手にするとしたら・・・。ちょっと面映ゆいけど、『聖職の碑』かな?

なんで読んだのかも覚えてないんだけど、同じような学校登山の遭難もので『雪の湯浴み』・・・題名も定かでない・・・というのがあったと思うんだ。本当にあったのかな。もしかしたら夢でも見たかな。ラストがこんな話なんだ。主人公の中学生の女の子が友人たちと一緒に吹雪で山小屋に閉じ込められて次々に亡くなり、最後はその子もなくなるんだ。そのラストシーンで、女の子が外に出て、雪で湯浴みして、身を清めて亡くなるんだ。前後の話は覚えてない。

『聖職の碑』を意識したような話で、『聖職の碑』を読む前に読んでるんだよね。おそらく主人公と同じ中学生のころ。だから『聖職の碑』にはなぜかこの女の子の膨らみきらない冷たい乳房の印象が重なるんだ。誰かこの話、知らない?






 


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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