熊谷六人殺害事件…『境界の民』 安田峰俊
埼玉新聞 2015/9/18 <熊谷6人殺害>壁に血文字…殺害夫婦の部屋 容疑者、包丁2本所持 http://ns.saitama-np.co.jp/news/2015/09/19/01.html (抜粋) 一連の事件では16日午後4時半ごろ、同市石原の白石和代さん(84)方で、浴室に倒れ死亡している白石さんが発見された。県警捜査員が同5時半ごろ、約100メートル離れた住宅2階窓から、刃物を持ったナカダ容疑者を発見。同容疑者は刃物で腕を切り、2階から落下した。この家から無職加藤美和子さん(41)と長女で美咲さん(10)と次女の春花さん(7)がいずれも刺されて死亡しているのが見つかった。現場から約1・3キロ離れた同市見晴町の住宅では14日夕、田崎稔さん(55)と妻美佐枝さん(53)が刺殺され倒れているのが発見されていた。関与が疑われているペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)。 |
熊谷か。すぐ近くなんだよね。とある高校の定時制では、けっこう外国人の子がいてね。実はその学校の外国人の生徒たちと、ちょっと関係してたことがある。
支那人が一人。父親は大連に住んでいて、母親と一緒に日本に住んでいる。母親には日本人の夫がいて、だけどその夫というのは同居しているわけではない。時に母親と一緒に大連に帰ることがある。彼にはいろいろなことを教えてもらった。《道》を「タォ」と発音すること。餃子は《麺》であるということ。・・・そんなもんか。いや、一人っ子政策についても教えてもらった。彼のいとこには姉がいて、・・・姉もまとめていとこのはずなのに、彼はそういう言い方をした・・・兄弟でも男の子と女の子では親のあつかいがぜんぜん違うこと。・・・女の子には満足に食べ物もあげないんだってさ。その子はどうやら出生の登録さえしてないこと。・・・などなど
フィリピンの女の子が一人。翌年には弟が入学してきた。彼女は父親は日本人で母親はフィリピン人。国籍はどっちだったんだろう。・・・どうやら、母親をフィリピンに残したまま、父親が強引に子どもたちを日本に連れてきたようだった。どうやら・・・、その子は父親から性的虐待を受けていた。そのうち男を作って家に帰らなくなり、学校をやめた。弟はなんとか卒業したようだ。
ブラジル人の男の子が一人。顔つきは完全に日本人で、まあ、家庭もまともだったこともあって、しっかりしていた。
台湾の母親を持つ女の子。小学校の時分からいじめられたらしく、頭はいいんだけど、いつもビクビクしていた。父親はおじいさんかなって思うくらい高齢だったけど、娘のことを心配していた。
ペルー人の男の子。三年間定時制に通ったけど、結局卒業できなかった。他の子達もそれなりに同様だろうけど、彼らには彼らのコミュニティがあって、ごく当たり前に生活している日本人からすれば、かなり際どい付き合いも少なくないらしい。その男の子、・・・と言っても最後に合った時は二二歳だったけど・・・、そいつもコミュニティとの付き合いは、なにをおいても欠いてはならないものだったらしい。
角川書店 ¥ 1,700(本体) 難民・移民・抵抗者。国と国との境界線に立つ人々 |
支那人の生徒は、ただの付き合いだったようだが、結局二人仲良く鑑別に送られた。まずはペルー人ならペルー人、支那人なら支那人っていう国別コミュニティがあって、それぞれに頼りになる人がいれば、みんながそこに頼る。助けあいやら、支え合いやらが生きていくための必須事項であるから、やっていることが犯罪行為であっても、仲間に損害を与えるものでない以上は排除されない。日本人が被害者であるかぎりね。
ただし、それによってペルー人コミュニティそのものに日本人からの危険視が及ぶようであれば話は違う。いとも簡単に切り捨てる。
鑑別に入った二人は、保護観察で少年院にはいかずに済んだ。それにしてもそのペルー人の生徒。最後は付き合っていたペルー人の女に子供ができるので、学校に通っている場合じゃなくなって退学した。そいつがペルー人の女と付き合う前のこと。日本人の女と付き合ってた。
彼は日本人の女も妊娠させてた。やがて、その子と別れてペルー人の女と付き合い始めたと聞いて、問い詰めた。「子供は中絶させたんか?お前カトリックだろう。日本人の女を中絶させてポイ捨てしやがったな?そんなことでいいんか?」
その時の奴の返事、今でも忘れない。「確かに中絶させて別れたけど、日本人の女はカトリックじゃないから、まったく問題ない」
すでに私たちのまわりには、そんな連中が生活している。そして日本社会で、それを支える一つの要素となっている。そういうことに無頓着であってはいけないな。


- 関連記事