めんどくせぇことばかり 『境界の民』 安田峰俊

『境界の民』 安田峰俊

無国籍者、難民、少数民族や、軍閥のような「国家未満」の政治体の中で生きた生きた人。
従来暮らしていた国家が滅びた遺民に、政治的に対立する国民国家の双方に強い愛着を持つ人たち。
そして、主権と領域と国民を揃えているのに、国際政治上の理由から弾かれる地域の住民。
「境界の民」は、国民国家体制の「エラー部分」にはじき出されてしまった人たちだ。
彼らは少数者だ。だが、いま世界のルールは動揺している。
「境界」におかれていた人々が、ルールの書き換えを強く要求する時代になったのだ。
「境界の民」を我々は知らなくてはならない。
本書見返し
国民国家体制を世界で最初に確立したのはフランス。ルイ・カペーが断頭台に立たされて、ブルボン家のフランスはフランス国民のフランスとなった。その軍隊の強さゆえ、自国を維持するためには他の国も国民国家体制に移行せざるを得なかった。身分制社会を温存するという違ったアプローチを取りつつも、イギリスも国王を血祭りにあげて国民が国家を奪いとった。

ヨーロッパに確立された国民国家は世界を席巻した。同じように国民国家体制を整えられない国は、その植民地に落とされた。ヨーロッパ以外で国民国家体制を整えられたのは、結局は日本くらいなもので、白人社会にとってそれは、極めて目障りな挑戦と映ったろう。

結局、その日本は敗れ去るが、日本が敗れたあとに、数多くの植民地が国民国家として独立を遂げていくことになった。

「境界の民」が、その国民国家のルールの書き換えを要求する時代に入ったと著者は言う。しかし、国民国家を基礎する世界という体制も、星の数ほどの人々の命の代償として今ここにある。そしてルール変更には、おそらく同程度とは行かないまでも、それ相応の血の代償が必要になる。

角川書店  ¥ 1,700(本体)

難民・移民・抵抗者。国と国との境界線に立つ人々
第一章  クラスメイトは難民ー日本の中のベトナム
第二章  偽りのシルクロード(上)ー迷走するウイグル
第三章  偽りのシルクロード(下)ー道具としてのウイグル
第四章  ガラパゴスのコスモポリタンー引き裂かれる上海
第五章  黒いワイルド・スワンー軍閥・文革・歌舞伎町
第六章  甘すぎる毒の島ー幻想としての台湾
第二章の新疆ウイグル自治区紀行は、それなりに読みでがある。

新疆ウイグル自治区の人々は支那人の話す言葉を解さないのか。支那語は彼らにとって支配者の言葉。ウイグル人はわけの分からない高圧的な口調で犯罪者扱いの尋問を繰り返され、何日も何日も繰り返され、もしかしたら一生続くかもしれないと思うほど繰り返され、我慢できずに抗議したり、オロオロして不審な行動をとったりすれば、よくて逮捕、悪くて射殺か。

大きな転換点があったという。何だと思いますか?

以前はウイグル人と支那人が仲良くしている頃もあったんだそうだ。まあ、支那人の数も少なかったろうしね。二〇世紀前半には二〇万だった支那人も、今では九〇〇万人となって、ウイグル人に匹敵してきているそうだ。

九〇年代なかばからは「中華民族」というナショナリズムを前面に出して、いわば少数民族の同化が推進されていったようだ。

しかし、決定打は《九・一一事件》だったという。アメリカが始めたテロとの闘いに沿うように、支那はウイグル人に対する民族浄化に手をつけていった。西側世界がイスラム過激派によるテロ活動に苦しめられる中で、ウイグル人の人権問題はどんどん軽視されていったわけだ。

私はそういった状況を追求してくれることを期待したんだけど、その後の流れは、ウイグルの解放運動に関係していく日本の団体の問題を追求する方向へ進む。問題提起は価値があるが、違う機会にして欲しかったな。

時にアイヌ問題が顔を出したり、沖縄が題材とされたりと、日本の主流に対する厳しい目が感じられる。私にすれば日本の主流は健気に頑張って、世界の流れに飲み込まれそうな日本社会をよく支えているように思えるんだけどな。





 


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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