『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』 西岡力
日本政府は世界最高のDNA鑑定技術を持っており、遺骨から死亡時期を判別できる。そのうえ、死亡とされた8人に関して確実な生存情報を持っている。被害者を殺傷するな。それをしたら日朝関係は最悪になる。 |
日本政府は、このメッセージを北朝鮮に送り続けているという。拉致被害者たちを殺させないためだ。著者の西岡さんのところには、これまでに次のような情報がもたらされ、最悪の事態を避けるため、上記のメッセージを発信しているという。
- 北の工作機関は日本のDNA鑑定能力の調査を行ってきた
- 二〇〇五年か二〇〇六年、めぐみさんを殺害して“遺骨”を作り出す計画があった
- 二〇〇七年に北上層部が、日本のDNA検査技術で死亡時期や死因をどの程度解明できるのか調査していた
- 二〇一二年、北はヨーロッパのある国の病院で、遺骨を高温で焼いた後にDNA鑑定する実験を行い、ある温度で火葬すると死亡原因や年度は判別不能になるが、DNAは検出可能だとの結果を得た
- ストックホルム合意ののち、拉致被害者のうち多くの秘密を知っている横田めぐみさん、田口八重子さん、工作員として海外で活動をさせられた石岡亨さんが殺されるという情報が流れたからだという。
『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』 西岡力 PHP研究所 ¥ 1,620 拉致被害者は生きている。必ず全員取り戻す |
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一般国民の多くは、一九九七年に横田めぐみさんの拉致がマスコミで報じられて、拉致事件を認識した。二〇〇二年の小泉首相訪朝以降は知らない日本人はいないくらいの状況となる。でも、それ以前一九八七年に、大韓航空機爆破事件で金賢姫の日本語教育係として李恩恵と呼ばれる日本人拉致被害者がいることが明らかにされていた。一九八八年には梶山静六国家公安委員長から、蓮池夫妻、地村夫妻、市川修一さん、増元るみ子さんらの拉致が明らかにされた。
国民の意識に登らなかったのは、時代背景がある。左翼思想に対する憧憬と言うか、引け目と言うか。事実、朝日、読売、毎日、NHKはこれを一切報じなかったという。産経、日経のベタ記事だけじゃとはいうものの、国民の関心の低さは国民自身の問題だよね。
でも社会党だけじゃなく、自民党の中でも金丸信みたいな連中がいて、北といろんな取引をしていたことも事実。金丸は、盟友である社会党の田辺らと訪朝団を編成して北朝鮮を訪問。既に、北朝鮮による日本人拉致疑惑は、我が国政府も認めるところだったにもかかわらず、国交正常化や日本統治時代の補償とともに、北朝鮮敵視政策の補償を約束して帰国した。約束はお笑いで蹴飛ばされたからよかったけど、やはりこのとき、警察に圧力がかかってたらしいよ。
そう言う動きがあったんだな。ただ、やはり日本国民自身の問題だと思うんだよね。だって、いまさら死んだ金丸のせいにしたって埒開かないもん。だから、拉致事件解決に向けての最終局面において、《なにがなんでも必ず取り戻す》、《今度こそ必ず・・・》という国民の意思を強くアピールすることだよね。
全員無事に帰さなきゃ、ただじゃおかねーゾ❢


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