フランス同時多発テロ 『イスラム 中国への抵抗論理』 宮田律
フランスの同時多発テロの衝撃は極めて大きい。場合によっては被害人数の差こそあれ、アメリカ同時多発テロの衝撃に匹敵する。 この間読んだ『境界の民』と言う本に嫌なことが書かれていた。中国共産党政権によるウイグルの支配、異民族支配なわけだけど、その変化には大きなきっかけがあったという。以下がそのときの記事です。 |
以前はウイグル人と支那人が仲良くしている頃もあったんだそうだ。まあ、支那人の数も少なかったろうしね。二〇世紀前半には二〇万だった支那人も、今では九〇〇万人となって、ウイグル人に匹敵してきているそうだ。 九〇年代なかばからは「中華民族」というナショナリズムを前面に出して、いわば少数民族の同化が推進されていったようだ。 しかし、決定打は《九・一一事件》だったという。アメリカが始めたテロとの闘いに沿うように、支那はウイグル人に対する民族浄化に手をつけていった。西側世界がイスラム過激派によるテロ活動に苦しめられる中で、ウイグル人の人権問題はどんどん軽視されていったわけだ。 |
産経ニュース 2015/11/15 【パリ同時多発テロ】中国「反テロで二重基準持つな」ウイグル抑圧批判にくぎ http://www.sankei.com/world/news/151116/wor1511160047-n1.html (抜粋) 中国はイスラム教徒が多い新疆ウイグル自治区の独立派を「テロ組織」として厳しく取り締まっているが、国際社会が人権抑圧として批判していることにくぎを刺した形だ。 |
以下、過去記事です
新疆ウイグルには豊富な鉱物資源、また豊穣な石油油田がある。また、巨大油田があるカザフスタンなど中央アジア諸国とも国境を接し、中国はまたパイプラインを通じてトルクメニスタンからも天然ガスを購入する予定だ。さらに中国の核実験場であり、ミサイル基地も置かれている。軍事的な観点からも新疆ウイグル自治区を中国は喪失できないことは明らかである。これらの背景もあって中国政府は新疆ウイグルに対して妥協をすることが出来ないのだ。 本書P178 |
そのための、漢人の新疆ウイグルへの移入、漢文化の影響拡大、ウイグル人の支那東部への強制移住。空き家になった家には漢人たちが住まわさせることになったという。ウイグル人には乗っ取りとしか映らない。漢人は新疆ウイグルに乗り込んで資源開発や流通の仕事に従事した。ウイグル人には資源の略奪にしか映らない。一九四〇年代には五%だった漢人の比率は、現在では四〇%に達したという。なかでもウルムチにおいては、二〇〇〇年のデータで、漢人七五・三%に対してウイグル人は一二・八%であるという。
![]() | 二〇〇九年七月、新疆ウイグル自治区のウルムチ市において大規模な騒乱が発生した。二〇〇名近い死者を出した大騒乱である。 このウルムチ騒乱の原因になったのは、ウルムチ騒乱の数日前に広東の玩具工場でウイグル人従業員が漢人従業員の襲撃を受けたことだという。この襲撃で二名のウイグル人が殺害され、多数の負傷者がでた。 |
『イスラム 中国への抵抗論理』 宮田律 イースト新書 ¥ 930 中国共産党による弾圧と植民地化 これが少数民族弾圧の実態 |
一九八〇年代、ソ連の侵攻を受けたアフガニスタンではムジャヒディン・ゲリラの闘争が行われソ連軍を撃退した。ソ連崩壊後は、同族トルコ人の共和国が中央アジアにできあがった。地図で見るかぎり新疆ウイグルではなく、東トルキスタンのほうがふさわしい。


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