めんどくせぇことばかり 『姫神の来歴』 髙山貴久子

『姫神の来歴』 髙山貴久子

面白かったな。

丹念に資料をあたって敏感に材料を嗅ぎ分け、材料と材料を比べ合わせて吟味し、全国に残る伝承や神社に伝わる話をつなぎあわせて大胆に推理を展開する。さらにその推理を裏付けるものはないかと、記紀を始め古今の文献をひっくり返したり、さらに戻って伝承をあたったり・・・。

学者先生の史料絶対主義では絶対に辿りつけない境地だな。『逆説の日本史』の井沢元彦さんもはげしく攻撃していた部分でもあるけどね。

それにしても、著者の髙山貴久子さん。ある程度狙いを定めてから、その焦点に迫っていく勢いはものすごい。まるで、絶好調時の琴奨菊の怒涛のがぶり寄り並だ。

『姫神の来歴』      髙山貴久子

新潮文庫  ¥ 529

古代氏をくつがえす、国つ神の系図
櫛名田姫  上之巻
櫛名田姫  下之巻
丹生都姫  上之巻
丹生都姫  下之巻

本当に面白かった。「自分でもこういうことやってみたいな」なんて、できもしないことを考えてしまった。まあ、出来ないまでも、時間ができたらアチラコチラと歩いてみて、神社があったら由緒を調べて、人がいたら聞いてみて・・・、なんかとても楽しそう。

読んでいて面白かった。だけど、それを受け入れるかどうかといえば、それは別のこと。道理が引っ込みたくなるくらいに無理を通してしまってるところがあるように思う。

求めようと思っても、伝承すら途絶えてしまっているものは、世の中には数知れない。・・・伝承などというものは、残されていることが奇跡。そう思うのが当然。太い糸も細い糸もある。著者にはつながっているように見えるようだけど、傍から見れば途切れているとしか思えない糸もある。そんな糸をつかんだつもりでがぶり寄っても、みじめに土俵に転がるのは自分の方。

ここで著者がとりかかったのが、櫛名田姫と丹生都姫。いずれ劣らぬ人気の姫神。それが都合よく実体にまで行き当たるなんて、あんまりにも出来過ぎ。出来過ぎると頭を捻っちゃうのは、私みたいな天邪鬼の真骨頂。

かと言って、この本の価値は疑わない。上に書いたけど、『丹念に資料をあたって敏感に材料を嗅ぎ分け、材料と材料を比べ合わせて吟味し、全国に残る伝承や神社に伝わる話をつなぎあわせて大胆に推理を展開する』って手法は、古代のみならず、これからの人が歴史を検証していく大きな武器になるんじゃないかな。

推論を立証できず、かりに形に残せない場合でも、推論まで行きつけたことに価値があると思うし、推論まで行きつけなくても今まで眠っていた伝承の掘り起こしきつながるケースも有ると思う。だいたい私くらいもの知らない人間は、結果なんか求めない。 ・・・私、この本を腐しているわけじゃないんですよ、本当に・・・。
・・・著者の方、亡くなってしまったんだそうです。私より二歳下なのに・・・。

“はじめに”に、「夢を見た」とある。著者が若かりし日、自らが女神となり、兄が男神となって夢に現れ、「この国の正当な統治者はわたしたちの方なのに・・・」と。目を覚ますとともに、《姫神の来歴》という声が聞こえたという。

そして後に、あの夢は、自分に《姫神の来歴》を書けと言うことかという思いに促されて、これを書いたと・・・。十年の月日をかけてようやく書き上げたと・・・。二〇〇二年に取材を開始し、完成までに十年の月日を費やし、発刊にこぎつけたのち二〇一三年に急逝したそうです。

なら、この本は、著者の人生そのものか。





 


にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログへ


言葉は人の心をあらわします。
「歌は世につれ世は歌につれ」と言いますが、言葉についても同じことが言えるでしょう。
これから出る本
































当ブログ内人気図書 
















































カウンター
カテゴリ
ブロとも一覧
アジシオ次郎の時事原論
はりこのはやしや 
ハシビロコウ
素足のアイドル達
うさぎ屋の四方山話
わくわく株式投資
プロモデラー林哲平のジャンクロボット創作ブログ『ケルバーダイン』
大好き!グラビアアイドル!
伊織のブログ
Re:BAD TASTE♥
QWERT 5w1h
「伝わる技術」オトデザイナーズ・坂本真一
歌と知恵でハッピーライフ^^
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
最新記事
応援して下さい