めんどくせぇことばかり 『経済を読み解くための宗教史』 宇山卓栄

『経済を読み解くための宗教史』 宇山卓栄

「万人の万人に対する闘争」

トマス・ホッブスが、『リヴァイアサン』の中で使った言葉だよね。彼は、自然状態における人間の有様を、こんな言葉で表現したわけだ。初出は一六四二年の『市民論』だそうだ。一六四二年って言うと、ピューリタン革命のさなかかな。そういうのが結構影響してるんだろうな。

自然法思想からのつながりは、王権神授説だの、社会契約論だのという言葉を思い出させるよね。でも、王権だの、政府だのがあればまだ話になるけど、それがなかったら、・・・ねえ。まあ、人間は、「万人の万人に対する闘争」なんて単純な生き物でもないからさ。いろいろ考えてうまくやろうとするけど、やっぱりそれを保証するものがなくちゃ、怖くて怖くてたまんないよね。

だから、《倫理や道徳における善悪の価値判断は、・・・それを繰り返し繰り返し、人間の意識に執拗に刷り込んでいくための制度や儀式が必要》になるわけだな。

絶対者としての神への信仰が、人間相互の信頼を生みだす。絶対者としての神への信仰が、社会のおける広範な協調や信用の保証となる。そういう状況があればこそ、調和的な経済活動が促進される。


だから、宗教を通して経済を語る。また、経済を通して宗教を語る。その視点がなければ、宗教に違いに根差したかのように思われるあの戦いも、その混乱も、解決の糸口さえつかめない。
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“神さま” は、「利害調整機能」である
序章  経済×宗教を理解しよう❢
第1章  【古代】 神は人間によって作られる
第2章  【中世】 宗教は経済から生まれ、経済を生む
第3章  【近世】 宗教が経済的欲求を増長させ、統制する
第4章  【近代】 経済・科学・宗教の分立が時代を改革する
第5章  【現代】 グローバル時代の宗教と経済


それぞれの神は人間に対しては絶対だけど、神の調整機能には、残念ながら限界がある。異なる宗教のぶつかりあいだけじゃなく、それよりたちの悪いのが宗派争い。宗教戦争って言葉が差すのは、この宗派争いの方だよね。そこでの争いになると、宗教によらず、神は意外と懐が狭い。

神の懐が狭くなる時って言うのは、対立する宗派ごとの利害関係が切羽詰まってるってことだな。神さまの懐の深さは、利害の対立の度合いによっていかようにも左右されるってことね。

問題を解決するためには宗教的な対立にばかり目を奪われず、その背景にある利害関係を正確に理解して、利害の対立を解消する手立てを探りだすことね。
日本人は宗教戦争などを、教義や信仰の争いと勘違いすることが多いのですが、そのようなものは本質的に歴史には存在しません。

現実の利害に密着した我々の通常の視点が、宗教にもそのまま当てはまるのであり、いかなる宗教といえども、世俗における万般の社会事象の一部にすぎないということを前提にしながら、宗教の理解を深めていただきたいのです
本書p37

それがいきり立った連中に通じるかどうかは分からないけど、間違いなく根っこにあるのは利害の対立だからね。


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No title

同感です。純粋な信仰による対立などないでしょう。
利害の対立によるからこそ殺戮となると思います。
それにしてもものすごい読書量ですね。見習いたいです。

Re: もこ さま

コメントありがとうございます。
「最後は金目でしょ」って言ってた人がいましたけど、決して間違ってるわけじゃないと思うんだけどな。
仲良くした方がもうかるって方法考えないとね。
結局は、覇権国家の質かな。

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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