マスコミの餌食(覚書)『ドキュメント 道迷い遭難』 羽根田治
地元にいてはわからなかったが、そこから出てみると分かる。地元って、埼玉県の秩父なんだけど、よその人から見れば、秩父自体が山。しかも、秩父の象徴でもある武甲山の山麓の生まれ。そんな私だけど、高校で山岳部に入るって言った時は、家族みんなから反対された。 |
だから、もし、万が一、遭難するようなことがあっても、探してもらえないかもしれないし、探してもらって家が潰れたりしたら困るから、そういう時は探してほしくないなって思ってた。・・・まあ、大前提として、遭難するなんて思って山に行ってないけどね。
山と渓谷社 ¥ 1,728 「おかしいなと思ったら引き返せ」「道に迷ったら、沢を降りるな」 |
この本には七つの遭難の事例が紹介されている。その六つ目が《房総・麻綿原高原 二〇〇三年十一月》という“できごと”。今、“できごと”としたのには意味がある。“遭難”には、代償がつきまとう。自分の身体や、時には命が代償となる。多額の救助費用を要求されることもある。だけどそれだけじゃない。救助が始まれば、赤の他人に予定外の苦労を強いることもある。人にその身を危険に晒させてしまうことも、決してないわけじゃない。
だけど、これは遭難か?
雑誌『新ハイキング』会員を中心に、雑誌に掲載された該当の山行計画につどった会員以外からも参加できる「合同山行」と呼ばれる山行にすぎない。そこには何の金銭関係も発生していないんだから、当然ツアー登山ではない。コースは石尊山から麻綿原高原までの縦走ルート。 |
それにしても見て、上の地図。・・・とても見にくいでしょうけど。等高線緩いしさ。緩い範囲で高低差が激しそうでね。見るからに厄介で、とても楽しそう。ここを歩くんなら、多少のことは“ある”ことが前提になりそう。そんなこと知りもしないマスコミが、「何人くらい死んだかな」って食らいついてきたことが、原因の八〇%かな。
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ここに出てくる“嶋田”さんという方が、リーダーの方。このできごとののち、心因性の神経症にかかってしまい、安定剤を手放せたのはずいぶんと経ってからだという。
これは遭難じゃなく、マスコミが作り上げた騒動だね。・・・まあ、マスコミにしてみれば、期待してたのに一人も死なずに帰ってきたことが許せなかったんだろうね。


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