めんどくせぇことばかり 『イスラム化するヨーロッパ』 三井美奈
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『イスラム化するヨーロッパ』 三井美奈

ムスリムであることは、フランス国民として特別なことではない。しかし、彼らがフランス人として生きていこうとするとき、結局彼らは、自分がムスリムであることを思い知らされる。フランスは彼らにフランス人としてではなく、ムスリムとして生きることを求めるのだ。フランス人は鋼鉄の壁を作り、その内部において“自由・平等・博愛の精神”のもとに生きるのだ。フランス人はムスリムに、その壁の外でなら、フランス国民として生きることを許したのだ。“博愛の精神”を発揮してね。

この本に登場する、一人のテロリストを紹介しておくね。
それは、一九九五年に警察との銃撃戦の末に射殺されたハリド・ケルカルというテロリスト。アルジェリア生まれで、二歳の時にフランスに移住した。フランス国民として育てられた若者が、やがてフランスを憎悪し、無差別テロを行う。ケルカルは一九九五年夏、パリの鉄道サン・ミシェル駅で爆弾テロの首謀者として指名手配された。この事件では八人が死亡し、およそ百人が負傷した。

リヨン郊外で育ったケルカルの両親は教育熱心で、ケルカルは地元で理系の名門高校に進学した。学生は、彼以外の全員が白人のキリスト教徒。彼はそこで差別という壁に直面し、始めて挫折した。トップクラスだったケルカルは、学校に居場所を見いだせず、やがてさぼるようになって地元の仲間とひったくりや自動車泥棒に手を染めた。そして警察に捕まり、退学になった。

十九歳の時、車上荒らしで捕まり、収監された。刑務所でイスラム教徒の受刑者と出会ったのを機に過激主義に傾倒した。「僕はアラブ人でもフランス人でもない。イスラム教徒になった。人種は関係ない」と、イスラム教徒として生きることによりどころを見出した。彼は父の故郷アルジェリアに行き、武装イスラム集団(GIA)に加わった。

なんにも荒唐無稽な話じゃない。どこにでも転がっている話だよね。日本だってさ、特別人種差別されたわけでも、人一倍不遇な育てられ方したわけでもないのに、オウム真理教に入信して、人殺しに走った人たちがいたじゃない。オウムだけじゃなく、一時はおかしな宗教に若い連中が取り込まれるってのがけっこうあったよね「わけがわからない」って言えば、日本のケースの方がよっぽど不可解だよね。

キャメロン英首相は二〇一五年七月に認めたってよ。『悲しいことだが、我々は認めなければならない。この国に生まれ育ちながら、英国人として生きられない人がいる』・・・失敗したんだよ。ヨーロッパは移民を統合できなかったんだ。

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多発するテロ、押し寄せる難民 欧州を覆う苦悩から世界の明日を読み解く
一  過激派志願の若者たち
二  ホームグロウン・テロリスト
三  共存の葛藤
四  立ちはだかる壁
五  シャルリー・エブド事件の衝撃
六  イスラムと欧州政治

やっぱりそういうことなんだな。・・・《統合できなかった》って言うのは、私は卑怯だと思うよ。移民は必要とされていたわけだよね。・・・あの頃のヨーロッパには・・・。あの頃のヨーロッパってのは、戦後の、「栄光の三十年」と呼ばれる長い経済成長期ね。もちろん、安い労働力としてね。

そのとき、すでに扉は開かれたんだよ。ヨーロッパの旧宗主国は、イスラム世界の旧植民地に対して、扉を開いたんだ。経済成長が終わって、ムスリムがはじく人の雇用を脅かし始めたからと言って、一度開いた扉は、もうそこを通る人たちによって破壊され、踏みつぶされて、見る影もない。・・・極論すればそういうことだな。もはや白人たちが脅かされるのは、“雇用”だけじゃなくなっちゃいましたね。

一九七〇年台半ばで「栄光の時代」が終わって、・・・それでも景気が良ければ分け前もあったわけだけど、全般的なヨーロッパの凋落傾向の中で、今では軋轢ばかりが目立つようになった。欧米がもて囃した《アラブの春》以降はひどい状態になっちゃってさ。昨年はホームグロウン・テロリストばかりじゃなくて、シリア難民の激流がヨーロッパを席巻した。

問題は複合的だけど、ただ、この本のテーマ、『イスラム化するヨーロッパ』という題名にてらして考えるなら、すでに安価な労働力として彼ら移民を受け入れた以上、ヨーロッパは白人だけのものじゃなくなってるよね。・・・日本も教訓とすべきところだね。



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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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